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84件
池袋ウエストゲートパーク
著者 石田衣良
ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、マル暴に過激ジャーナリスト、カリスマダンサー……駅西口公園、通称ウエストゲートパークを根城にする少年少女たちが、発熱する都会のストリートを軽やかに疾走する。若者たちの現在をクールに、そして鮮烈に描く大人気シリーズの第一作。青春小説の爽快感とクライムノヴェルの危険な味わいを洗練させ、新しい世代から絶大な支持を得て話題となった連続ドラマの原作。
池袋ウエストゲートパーク ザ レジェンド
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ドラゴン・ティアーズ 龍涙
2012/04/18 15:02
龍の涙~中国格差社会と労働研修の実態
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず最初に書いてしまうと本作品で、主人公マコトにある種の大事件が起こる。とかく池袋ウェストゲートパーク(以下IWGP)シリーズファンにとっては、これ結構な事件。思わず「えー!?」と声が出てしまう事請け合いです。お楽しみにw。
さてIWGPシリーズも9作目。正直これまでの作品の中には、少々マンネリを感じる物もあってそろそろ潮時なのでは・・・なんて感も無くは無かったのだけれど。4つの短編からなる本作品は、これ非常に素晴らしい。前作の「非正規レジスタンス」も良かったけれど、並んでシリーズ中でも相当好きな作品と言えると思う。中でも表題になっている「ドラゴンティアーズ」がいいなぁ。色々な意味で、ぜひ皆さんに読んでもらいたい一作。
一見ラノベのようなタイトルだけれど、内容は全くさにあらず。中国の格差社会と、日本 への(労働研修制度という名の)出稼ぎ労働がテーマになっている。労働内容は苛烈を究める上、搾取を重ねられて手取りは時給で270円という状況。それでも3年働けば生涯賃金に近い物が得られるというから、来日した若者たちは必死だ。
その研修生の一人、中国人の美少女クーが、労働研修から逃げ出した。このままでは出稼ぎ労働従事者250人全員が、連帯責任で強制送還されてしまう。そこでクーを見つけ出して欲しいとトラブルシューター、マコトの元に依頼が舞い込んできたのだ。いや正確には、匿っているであろう地元中国系のマフィアとの折衝役。しかし苦労して出会ったクーから話を聞くと、苦役から逃げ出したいとか東京で遊びたいとか、そう単純な話ではなかった。労働研修では、病気で死にかけている父親を救えない。だからあえて夜の仕事に身を沈め、さらなる高給を得ようとしていたのだ。違法だと分かっていても、父親を救えないのでは意味が無いのだと言う。・・・こうなると、マコトにはもうする事がない。自分で道を選ぶことを諭すのだが。苦悩の果てに、クーが選んだ切ない道に胸が痛む。
がしかし!最後の最後に、見事な切り札が切られるのだ。しかもそれを切ったのが、最近主人公のマコトをも凌駕する人気を誇る、あの人だというのだからたまらない。「うわああああ、そう来たか!」と思わず声が出そうになり、涙腺が緩む。ひっさびさに、スカ!っとした気持ちになれました。
・・・そこで最初に戻るのだが、マコトの身に大変な事が起きるのだ。これはこれから後の作品にも、きっと大きく影響するんじゃなかろうか、非常に楽しみである。
IWGPシリーズ、本作を読んでやはり比類なき独特の世界を築き上げたなと感じました。この傑作ドラゴンティアーズを含め素晴らしい短編4作、ぜひ読んでみてください。
池袋ウエストゲートパーク
2007/07/28 12:23
内容の重さを感じさせない疾走感
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:@翔@ - この投稿者のレビュー一覧を見る
随分前に購入して今更ですが読んでみました。
現代の若者の間にあふれる問題を扱っていて過激な描写も多いのですが、さくさくと読み進むことが出来ました。
石田さんの書く文章はどんな内容を扱っていても知的さにあふれていてどこかやわらかいところが魅力だと思います。
ページをめくる手が止まらずあっという間に読めてしまう一冊です。
出てくるキャラクター一人ひとりの個性も光っていて軽快なテンポで物語が進んでいきます。
ぜひ他のシリーズも読んでみたいと思いました。
電子の星
2005/09/22 13:07
石田衣良ファンならずとも同じみの、I.W.G.P。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロングボーダー - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は、
「東口ラーメンライン」
「ワルツ・フォー・ベイビー」
「黒いフードの夜」
「電子の星」
4つのエピソードを収録。
「東口ラーメンライン」は、ドラマでGボーイズがラーメン店を
やるという話があり、そのベースになっているのかもしれない。
それ以外は、ドラマのシナリオで使われていないと思う。
シリーズ当初に比べ、マコトのキャラクターが定着し、
落ち着いてきたように思える。
小説の中だから。。。
と言えないようなエピソードたち。
面倒なトラブルと解っていても、立ち入らずにいられないマコト。
トラブルが解決した時に、依頼人だけでなくマコトも成長している
そういう構成もわるくないと思う。
石田衣良著書には、はずれがない。