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婚礼、葬礼、その他
著者 津村記久子
大学時代の友人結婚式に出席中、上司の親の通夜手伝いに呼び出されたOLヨシノ。
二次会幹事とスピーチを相方に押し付け、喪服に着替えて急きょタクシーで葬儀場へ。
既に大多数の社員が集まり、打ち合わせを重ねるなか、ヨシノを猛烈な空腹感が襲う。
「マジマ部長の親父とやら、間が悪すぎる…もう一日ぐらいなんとかならなかったのか」
ヨシノのてんやわんやな一日はまだまだ続く。芥川賞候補作。
09年に「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年に「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞を受賞し、
いまもっとも乗っている女性作家の傑作中篇。「冷たい十字路」を併録。
解説・陣野俊史
婚礼、葬礼、その他
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紙の本婚礼、葬礼、その他
2018/02/14 23:50
この一体感!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
友人の結婚式に参列中、急遽呼び出しされた先が会社絡みのお葬式。なまじ「アットホーム」な会社だけ、行かないわけにはいかない。「結婚式」を理由に断ってしまいなさいよと誰しも思うだろうが、有無を言わさず行かざるを得なくなるのが、この津村文学の不条理なところだろう。しかし面白さはここではない。タイトル「婚礼、葬礼、その他」の「その他」の部分なのだ。主人公の彼女が直面する苦悩とはいかに。これはもう人間なら誰しも経験があること。なので、彼女の苦しみを読者は120%自分の苦しみのように感じ取れるはず。この一体感は神級。
電子書籍婚礼、葬礼、その他
2018/06/30 09:21
面白い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みむら - この投稿者のレビュー一覧を見る
たった1日の出来事に翻弄され、ココロが上下左右に
津村さんの独特の言い回し、表現の絶妙な風景、
理不尽な大人社会が面白く、そしてイライラ、
私は面白かったと思います。
紙の本婚礼、葬礼、その他
2016/10/23 09:53
おかしみと、ちょっとの恐ろしさ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「婚礼、葬礼、その他」。結婚式と葬式(通夜)に、同じ日に出席することは人生でそうはないはずで、そんな奇跡?に遭遇・巻き込まれた主人公のドタバタ劇。役割を全うできない知人、思惑を隠しきれない他人に振り回されて、なんとか自分の役割を全うしようとして・・・。おかしくて仕方がなかったし、空腹の辛さが痛々しいくらい伝わってきた。腹が減っては戦はできぬが、腹をくくればできることもある。
「冷たい十字路」。こちらはちょっと怖い。人は自分が受けた小さな苦痛と、自分のそばで他人が受けた大きな苦痛の、どちらを恐れるのだろうか。他人の苦痛に動揺しても、結局半径5m以内の安全を守る行動を取るだけ。逆に善意から5mのラインを超えた結果、不幸を招くことだってあり得る。いくら気を付けても不幸はかいくぐってやってくるもの。まずはそれを認めよということか。後味は悪いけど説得力はあった。