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長いお別れ
著者 中島京子
認知症を患い、正常な記憶が失われていく父。日々発生する不測の事態のなかでも、ときには笑いが、ときにはあたたかな感動が訪れる。
「十年か。長いね。長いお別れ(ロング・グッドバイ)だね」
「なに?」
「ロング・グッドバイと呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」
東家の大黒柱、父・昇平はかつて区立中学校長や公立図書館の館長をつとめ、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし。
娘が三人、長女の茉莉は夫の転勤で米国西海岸暮らし。次女の奈菜は菓子メーカー勤務の夫と小さな子供を抱える主婦、三女の芙美は独身でフードコーディネーター。
ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう。
迷子になって遊園地へまぎれこむ。
入れ歯の頻繁な紛失と出現。
記憶の混濁により日々起こる不測の事態――しかし、そこには日常のユーモアが見出され、昇平自身の記憶がうしなわれても、自分たちに向けられる信頼と愛情を発見する家族がいつもそばにいる。
認知症の実父を介護した経験を踏まえて書かれた短編連作。
暗くなりがちなテーマをユーモラスに、あたたかなまなざしで描いた作品は、単行本発表時から大きな話題になり、中央公論文芸賞や日本医療小説大賞にも選ばれた。
映画化決定!
解説・川本三郎
長いお別れ
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長いお別れ
2018/06/04 20:01
いざ直面したら、どうなのか
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
校長先生をしていた父は、認知症。妻と三人の娘たちが、父を看取るまでの物語。アメリカでは認知症の事を、長いお別れという。少しずつ壊れていく父と、母の介護の様子。現実のものとして身につまされる。色々考えさせられた。一晩に三回も洗濯機を回さねばならないとか、自分が病気になったら誰が面倒を見るとか、辛いね。当事者は物語のように客観的に暮らせないし、終わりがいつなのか疲弊してくると思う。三人の娘がいるのは心強い。いない人はどうするの?
長いお別れ
2020/01/28 21:02
お別れ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が長生きするようになったことで、認知症を発症してしまう人が多くなっています。この話は決して人ごとではなく、自分のこととして読ませてもらいました。介護する方もされる方も大変だと思います。
長いお別れ
2018/07/15 20:51
認知症が進んでいく父親と、それを支える家族の話。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トモ - この投稿者のレビュー一覧を見る
身近に認知症の家族がいた身としては、とりたてて新鮮味がある内容ではなかったが、老親の将来に不安のある方には、参考になるかも。
最後まで自宅で面倒を見ようとする献身的な妻、それぞれに事情があにも関わらず、協力的な三人の娘達には、頭の下がる思いだった。