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お勝手太平記
著者 金井美恵子
優雅なる脱線、冴えわたる悪口
金井ファン待望、痛快痛烈な最新小説
趣味は手紙を書くこと。
「手紙の吸血鬼」と化したアキコさんが
お勝手の話題を書きに書きまくった手紙、その数50通。
料理、裁縫、映画、イヤな男等々・・・・・・。
名手の文章が存分に味わえる、贅沢な書簡小説。
ちらし寿司製作騒動、不二家のフランスキャラメル、”萌え”について、
新聞の幼稚な投書について、パジャマの好み、歌謡曲の歌詞について・・・・・・
ついつい、お喋りの長くなるアキコさん。
もちろん、著者ならではの小説的企みや、映画や小説の話題(レヴュー)も満載です。
お勝手太平記
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お勝手太平記
2015/08/26 09:30
手紙形式の魅力をフルに生かしている。
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずけずけとものを言う性質のおばさんが、主に気の置けない友人たち(時に知人を含む)に書いた手紙からなる作品。形式ばった手紙ではないから話し口調で、それもあちこち話が飛んだり、文章の中でも話がねじくれていったりする。そういう意味ではかなり読みにくい文章。けれど、それでいて読ませる魅力がある。崩れた文章だからこそ、生身の人間を感じるような、その人の息遣いまで聞こえてきそうな生気に溢れている。
書き手のアキコさんは、ずいぶん批判がましいことを世間の人に対しても、友人に対してもするのでその毒舌ぶりも魅力のひとつ。中学生からの友人らしいマリコ、弥生、みどりのそれぞれに書く手紙から、時々お互いの悪口を言ったり喧嘩したりしている様子もうかがえる。特にマリコとは角突き合わせることがよくあるようでかなりきつい悪口を書いたりしている。けれど、会えば会ったでぺちゃくちゃおしゃべりに興じるだろう様子も想像できる。なかなか想像力をかきたててくれる作品でもある。