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16件
ファーストラヴ
著者 島本理生
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
第159回直木賞受賞作。
※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
ファーストラヴ
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ファーストラヴ
2020/05/23 19:10
性虐待だけでなく、テーマが沢山!
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あんず - この投稿者のレビュー一覧を見る
映像で観る前に読んでほしい!
アナウンサー志望のカンナが父親を刺殺、街をふらついているところを逮捕される。そして、被疑者の事件本を書かないか、と打診された診療心理士ユキ。
なので、この物語はユキの目線を通して物事を捉え、事件を追っていく形になっている。
なぜカンナは自分を責め続けるのか、虚言癖や豹変する性格など、取材を進めるうちに理由が徐々に明らかになってくるのだが、
「母親との確執、父との関係、恋愛とは何?」ー カンナへの問いは、いつしかユキ自身の過去とも重なる。
本書は男性と女性の考え方や行動の違いが極めて判りやすい。それ故、男性には多少難しいところがあるかもしれない。しかし、その点を”敢えて”判断して読んでほしい、と思うのです。
ファーストラヴ
2020/05/07 11:32
恋愛・推理・心理全てを絡める傑作
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:E司書 - この投稿者のレビュー一覧を見る
就活中の女子大生が父親殺しの容疑で逮捕。動機は自分でも分からないので見つけて欲しいという。事件についての執筆を依頼された臨床心理士の由紀は女子大生の過去、成長環境、周囲の友人関係等を取材。その過程で明らかになっていく女子大生の真実とは?真実を追い求める過程で自身の弟や親の人間関係や恋愛を絡めたストーリーは読みごたえ十分。女子大生の裁判は意外な真実の解明と結末を迎える。読み終えたときタイトルの意味がきっと見えてくる。
2020/04/12 00:25
やや平板な読後感
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家が体験より勉強に基づいて書いた作品か。やや平板な読後感を持った。父親を殺した罪で起訴された環奈は、裁判の前後で人物像が変わりすぎだ。変わった理由も書かれているが、十分には感じられなかった。性虐待は手垢の付いたテーマであるだけに、読み応えのある話を作るのは難しいと思う。