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9件
彼女は頭が悪いから
著者 姫野カオルコ
2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場!
私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?
深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。
現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」!
横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。
偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。
そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。
しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。
柴田錬三郎賞選考委員絶賛!
無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静
どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛
女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生
テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子
平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子
※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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彼女は頭が悪いから
2023/02/15 21:29
自分自身の心のうちをのぞき込まれる
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
東大生による集団強制わいせつ事件の事実をベースに、その真相に迫ろうとした創作小説だが、ぞわぞわと気分が不快となり、何か違和感を抱飽きながら、最後まで読み進んでしまう。この小説では、学歴が地位を表すかのように、人生を社会を生き抜いていく人々が描かれ、相対的に低位にある人をモノのように扱うむごい事件が起きる。現代社会の持つゆがみの表現型であり、地位というものが周囲から支えられて初めて存在することを知らない有能な無知の者が多いことを示す。自分自身がその一人かもしれないと、おぞましい気持ちになる。
2021/09/14 02:28
淡々と
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はらみ79 - この投稿者のレビュー一覧を見る
淡々とした描写だけに、余計に心が掻き立てられます。
行間に作者の怒りが滲んでいます。
実際こんな酷い目に遭っていなくても、気持ち的に似た悔しい思いをしている女性は沢山いるのではないかと思いました。
辛くなるけど、何度も読み返したいです
2024/06/05 02:55
無知が生み出してしまった優越感や蔑み
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本が好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
上野千鶴子の東大祝辞でも取り上げられた作品だったので、電子版で読むことにした。想像以上に後味が悪くなるほど優越感、蔑み、(人としての)無知を抉り出している作品。上野千鶴子の祝辞が理解できなかった人にこそ読んで欲しいと思う反面、この小説の東大生同様「話が通じず」に終わってしまうのだろうかという恐怖も覚える。電子版の巻末に第32回柴田錬三郎賞選評が出ている。こちらも流石に秀悦で多くの人に読んで欲しいと思った。