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15件
悼む人
著者 天童荒太
善と悪、愛と憎しみ、生と死が交錯する直木賞受賞作! 著者が切望した、「いま世界に一番いて欲しい人」とは?
不慮の死を遂げた人々を“悼む”ため、全国を放浪する若者・坂築静人。静人の行動に戸惑いと疑念を覚え、その身辺を調べ始める雑誌記者・蒔野。末期がんに冒され、家族とともに最後の時間を過ごしながら、静人を案じる母・巡子。そして、自らが手にかけた夫の亡霊に取りつかれた女・奈義倖世。
静人の姿が3つの視線から描かれ、その3つのドラマが、やがて1つの大きな物語の奔流となる。「この方は生前、誰を愛し、誰に愛され、どんなことで人から感謝されてでしょう?」静人の問いかけは、彼を巡る人々の心を、少しずつ動かしていく。
家族との確執、死別の悲しみ、自らを縛りつける呪縛との対決。そして避けられぬ死の傍らで、新たな命が――。静かな感動が心に満ちる感動の巨編!
静人日記 悼む人II
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悼む人 下
2020/06/29 22:22
悼む人とは・・・
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は2009年に第140回直木賞を受賞している。悼む人というタイトルは文字どおり”死人を悼む人”ということなのだが、本人よりも周りの人物がそのことについて語ってくれている。その悼むという行為について、まず、悼む人・静人に付きまとう週刊誌の記者・蒔野が「この世界にあふれる、死者を忘れ去っていくことへの罪悪感」、そして妻に殺された亡霊の朔也は「死んだ者の生きていた時間に、新たな価値を与える。その人物が、この世に存在したことを、ささやかに讃える」と解説する。この二人は、ともに初めは静人を偽善者と馬鹿にしていたのだが、最後は理解者となる。静人の妹、美汐に母が「生まれ変わるということがあるのなら、もう一度、この子のお母さんにしてくださいと神様にお願いした」と語る場面がある。母の頭の中には兄・静人しかないと思い込んでいた美汐にはうれしい言葉だっただろう
悼む人 上
2020/06/29 22:20
映画も観たくなった
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画化もされているのが観ていない。でも、高良健吾、石田ゆり子、大竹しのぶ、椎名桔平って、私が読みながら想像していた配役どおりだった。キャスティングに携わっている人って、小説を真面目に読み込んでいるんだね。当たり前か
悼む人 下
2016/08/16 21:41
時に誰もが「悼む人」
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投稿者:suka - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻はでは静人の世界観に感情移入できない部分も多かったが、下巻では清潔を飲むような清々しさを感じた。出会えたことに感謝する作品だった。
人々になかなか理解されない静人の悼みたが、時に人は誰もが悼みを行っているのではないかと思う。戦争の慰霊碑に頭を下げる。災害の被害者に黙祷を捧げる。不慮の死を遂げた死者を心に刻むことは、誰にもその瞬間がきっとあるはず。
終戦記念日の翌日に読了し、ふとそう思った。