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3件
藍色時刻の君たちは
著者 前川ほまれ(著)
2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽(こはね)は、統合失調症を患う母を抱え、介護と家事に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を見る凜子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町にある親族の家に身を寄せていた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人が前向きな日常を過ごせるようになっていった矢先、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去や、青葉が抱えていた秘密と向き合うことになる……。宮城県出身の現役看護師による、魂が震える傑作!
藍色時刻の君たちは
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2025/04/24 17:33
山田風太郎賞
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
とてつもなく読むのがしんどい。これは小説の体をなしたノンフィクションだった。現実に、いる人々の11年間だ。後半の希望も、それまでの絶望とは釣り合わない。それでも、一人残らず生きていくのだ。なんで兼業でこんな作品を書けるんだろう。
藍色時刻の君たちは
2024/02/13 11:56
傑作
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災とヤングケアラー。
2つの大きな題材をうまく融合させて書いてる。
書かずにいられなかったんだろうなと思わせる文章。
傑作。
藍色時刻の君たちは
2023/07/27 10:13
ヤングケアラー
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮城の港町で暮らす三人の高校生の目を通して、ヤングケアラーの日常、震災との向き合い方を描いた再生の物語。
前情報なしで読み始めたとは言え、2010年の港町設定なのに、少女達が置かれている立場にばかりに注意がいってしまい、すぐに震災に繋がる話だと気付けなかった。毎年あの時期になると考える事なのに、裏を返せば「毎年あの時期にしか考えない」とも言える自分への戒めのようにも感じた。
「家庭内の事だから」となかなか外に助けを求められない心境。それを作り出した周りの大人の対応。くだらないプライドが余計に状況を苦しくして、その皺寄せを受けるのはいつも一番弱い立場の者。その負のループを、敢えてさらりと描いている所が良かった。下の世話や暴力など、そういう扇情的なシーンを悪戯に使わず伝えているから、高学年くらいからオススメ出来る作品。二段組の長編で、内容もずっと明るいものではなかったけど、くどさを感じず読む事が出来た。
大人でもあまり知らないものだったり、日本には色んな制度がある。そういう制度をもっと開放的にするべきだと思った。
作品を通し、著者の切実な痛みが滲み出ているのをしっかりと感じた。