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6件
水晶のピラミッド
著者 島田荘司
エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが5000年の時空を超えて突然甦り、空中30メートルの密室で男が「溺死」を遂げる! アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格ミステリーの大作。
水晶のピラミッド
05/08まで通常1,210円
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水晶のピラミッド
2020/09/04 16:15
古代エジプト、タイタニック号沈没の夜、そしてアメリカ西海岸で起こる怪事件
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
「文明の死は常に溺死である」
印象的な言葉に導かれるようにして、今回、御手洗潔が取り組むのは、密室での溺死事件。
とはいえこの物語は、そんなとおり一辺倒の紹介など拒絶するかのように展開します。
本編とどのように関係するのかわからぬまま読者を引き込む、古代エジプトを舞台にした悲恋物語。タイタニック号に乗り合わせた推理作家(ジャック・フットレルがモデルでしょう)が出会った奇怪な事件。
そして現代。スクーバで海に潜った御手洗が出会うのは、エジプト神話の冥府の神アヌビスを彷彿とさせる狗頭の怪人。
ミステリに読みなれたがゆえの、読者の固い頭を粉砕するかのごときストーリーの果てにあるのは、まさに「文明の死」の姿……。圧巻の傑作です。
水晶のピラミッド
2003/04/08 09:07
上から見下ろすのか、下から見上げるのか、
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kyk - この投稿者のレビュー一覧を見る
1986年のアメリカ、1912年のタイタニックの船上、紀元前5000年ごろ?のエジプトが交錯するミステリ。
アメリカで起きた密室殺人とタイタニック、エジプトを結びつけた豪腕ぶりは「バカミス」かと思うほど。
念のため断っておくと、ちゃんと本格ミステリとしての側面もありますよ。
御手洗や石岡とレオナの関係も別に重要ではなく、シリーズものにありがちな人間関係の機微のようなものは一切ないと割り切って読む方が楽しい。
トリックや大風呂敷の纏め上げ方はこのぐらい大味な方が笑い飛ばせていいのでは?
何も緻密に練り上げていくだけが本格と呼ばれるミステリではないでしょう。
もっと深読みしたければ「文明の死」をモチーフにした観念小説ともいえるかも。そう言う観点から読むと★★★☆(3.5って意味)。
密室での殺人を取り上げた本格ミステリとして読むのならば下から見上げて驚嘆することが、「文明の死」をモチーフにした観念小説として読むならば、上から見下ろして嘆息することができる。
水晶のピラミッド
2001/06/05 21:11
本格ミステリーの大作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十時 - この投稿者のレビュー一覧を見る
御手洗潔が探偵のシリーズ五作目。原寸大のピラミッドに隣接する塔の、最上階での溺死事件。付近では異形の怪物が、目撃されていた。
前半は一見無関係と思われる古代エジプトのロマンスや、沈没したタイタニック号のエピソードが続く。事件に花を添えるが、やや冗長な感じがする。複雑な謎を、御手洗が簡単に解いていく様は痛快で、本格ミステリーの醍醐味を味わえる。ピラミッドに関する珍説も面白い。