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3件
ノルゲ Norge
著者 佐伯一麦
染色家の妻の留学に同行し、作家はノルウェーに一年間滞在した。光り輝く束の間の夏、暗雲垂れ込める太陽のない冬、歓喜とともに訪れる春。まっさらな心で出会った異郷の人々との触れ合いを縦糸に、北欧の四季、文学、芸術を横糸に、六年の歳月をかけて織り上げられた精神の恢復と再生のタペストリー。野間文芸賞受賞作。
ノルゲ Norge
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ノルゲ
2015/12/19 01:43
ノルゲ!
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投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
ターミネーターや猫バスを知らないおれが、ノルゲでヴェーソースの鳥を英語で読み、メシアンの鳥を聞く。知識の偏りが凄まじい。ここにはまぎれもない「おれ」そのものが存在している。痛みの描写にも、空間の描写にも、おれの身体感がひしひしと伝わってくる。
焦燥感とともにWindowsのレジストリ―を探るようすをここまで執拗なタッチで書いた作家がこれまでいただろうか。
それにしても、異国の地での人間関係といい、時間の流れといい、なんという心地よさだろう。私は間違いなく「鉄塔家族」よりこの「ノルゲ」が好きだ。
ノルゲ
2023/06/21 01:39
ノルウェー滞在記
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ノルゲ」というとなぜかスパイのことを連想するが、単にノルウェーのことらしい。若い頃の作品と通底しているところもあり、とういより変わらぬスタンスで、一人称は「おれ」で、語られるエピソードもお馴染みのもの。この小説は妻と二人て滞在した(格好いいものではなく質素な暮らしの)1年を作品にしたのだが、ほんとうに佐伯一麦らしい。住まいの細かいところとか、パソコンの復旧作業を細かく書いたり、病気のことを書いたり上げればきりがないほど。
作中にヴェーソスというと作家の訳が試みられて興味も惹く。ヴェルレーヌの詩も引かれている。
何が、とは言いづらいが充実した読書であったと思う。三浦雅士の解説と年譜も充実。
ノルゲ
2019/01/28 18:05
ノルゲはノルウエーのこと
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ノルゲってタイトルはどこから来ているのか、読む前にそのことばかり考えていたのだが(それはオーバーとしても考えていたことは事実だ)、そうかノルウエーNorgeに留学した奥さんについていったからノルゲなんだ、英語表記ではNORWAYだがノルウエーの自国表記ではNorgeだ。昔、スカンジナビア半島の切手を集めていたことがあるのでそのことを思い出した。北欧は福祉サービスが行き届いていいよねと、私は簡単に考えてしまうのだがドラッグや移民の問題という負の一面があることも知る。ちなみにこの小説では結末がかかれていない98年ワールドカップは予選リーグでノルウエーは強豪ブラジルを破り決勝トーナメントに進出している。あの頃のNorgeは結構強かった記憶がある