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17件
幸福な食卓
著者 瀬尾まいこ
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。吉川英治文学新人賞受賞作。
幸福な食卓
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幸福な食卓
2017/05/18 22:06
生きるのが下手くそな家族の物語。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
素敵な作品との出会いは嬉しいが、素敵な作家との出会いは
もっと嬉しい。その作家の他の作品をまだ読んでいないのだから、
宝の山にあたったのと同じことだ。
新規開拓には失敗がつきものである。
でも、こんな出会いがあるから、たまらない。
幸福な食卓の冒頭を引用する。
>「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
> 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。
> 私は口に突っこんでいたトマトをごくりと飲み込んでから
>「何それ?」と言って、直ちゃんはいつもの穏やかな口調で
>「あらまあ」と言った。
出だしで完全につかまれてしまった。
一行目もインパクト大だし、狙いすぎかもと、分析している先から、
三行目・四行目で後頭部をはたかれる。
なんだ、何がおきたんだ、いったいと、頭の中はパニックである。
のんびりとした空気感。でも、口に出しているセリフは過激。
とても不思議な香りが作品を包んでいる。
文章も、ぐいぐいという感じではないのに、小気味よく次々と
引っ張られてしまう。間の取り方に絶妙なものを感じる。
主人公は中学生の佐和子。父は変なことを言い出すし、
母は家出している。兄もなんだかとぼけている。
そんな不思議な家族が、不器用に過ごしている。
「幸福な朝食」「バイブル」「救世主」「プレゼントの効用」の
四章からなる。
でも、何となくだが、「幸福な朝食」が読者の反響を得て、
続きが書かれた気がしなくもない。
微妙に四編が独立しているし、四編目の最後の仕舞いは
短編の結末であって、この家族の物語の終わりという気がしない。
佐和子の心の痛みや安らぎ、父の、母の、兄の気持ちの動き。
ほんのりと漂う家族愛をかみしめながら、独特の空気感を
満喫した。ちょっとごつごつした朴訥な部分と、不思議な
時間軸に浸れる作品である。
ひょっとして、いつか続編がでないかなあ、などとほのかな期待を
してしまった。
幸福な食卓
2007/11/17 17:49
切ない話でした
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:shino - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の展開に涙・涙でした。
普通のようで普通でない人達..の葛藤をたんたんと描いているところがさすがでした。
登場人物が生きるのに実はとても必死で、前向きで、読み終わった後とても優しい気持ちになれる本でした。
幸福な食卓
2021/11/15 07:06
まさか
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
泣いてしまうとは…何気ない日常を描いた話だと思っていたけど、不意に訪れたお別れに、図書館で読んでいたのに、泣いてしまった。
その後、レンタルで映画を見たが、大浦クンを演じていたのが、勝地涼さんで、そうか!立派な俳優さんになられたなぁと思った。