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5件
自分を好きになる方法
著者 本谷有希子
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
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2020/05/10 12:24
1人の女性の6日間から人生を考えさせられる1冊
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1人の女性の一生から6日間を切り取って人生を見つめる物語である。
16歳のリンデの1日から物語は始まる。リンデは席が近かったというだけでなんとなく一緒にいた2人の女の子たちに、"お互い心から一緒にいたいと思える相手が、必ずいるはず。私たちは、その相手を諦めずに探すべきだと思う。"と告げ決別する。この時リンデはリンデになったのだと思った。
それからのリンデは自分の気持ちに正直に生きている風に伝わってきたし、周囲も自由な女性という印象を受けていることが分かる。しかしありのままの自分でいることが時には摩擦を引き起こすということも長い年月の中で彼女は知ることになる。
印象的だったのは物語の後半にある3歳のリンデの1日だ。リンデの嘘を男の子がかばってくれる。そこに明確な理由なんてない。
16歳から47歳のリンデの人生を通して、お互い心から一緒にいたいと思う相手を探すことがこんなにも大変で、またその気持ちを維持することはもっと大変なんだと感じていたが、この1日は、子どもの頃は理由や他者の目なんて関係なく世界はもっとシンプルで穏やかなものだったなとふっと思い出させてくれた。
3歳から63歳までのリンデの6日間を通して読者は自分の人生を振り返ったり、あるいは将来の自分の1日を想像したりするだろう。その時に本書の題名について何を思うかはきっと読者それぞれなんだろうなと思った。
2020/01/31 23:46
静かに続く人生の素晴らしさ
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
思春期から壮年にかけての、ひとりの女性の生きざまにはリアリティーがあります。特別なドラマを描くことなく、多くの人の共感を呼んでいるのは流石です。
2024/07/27 00:24
いろいろ考える余地がある話
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投稿者:りら - この投稿者のレビュー一覧を見る
お互い心から一緒にいたい相手を探し続けるいろんな年代のリンデ。
どの年代でも自分勝手な解釈で生きており、人ってここまで変わらんもんかと滑稽ですらあった。
そういう意味では幸せなんかもしれん。
タイトルの意味を解説で理解した。
自分で自分が好きでないからここまで彷徨ってるんだね。
軽妙な言葉遣いで、独特のリズム感。
劇の脚本を書く人と知り、納得。
舞台っぽい空気感がある。
例えば、リンデ、何して暮らしているか謎モンダイなど、具体的な設定があえて描かれていないところなど。
しかし、私にはこの本の解釈をしていくのは少々難しく感じた。