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認知バイアス 心に潜むふしぎな働き
著者 鈴木 宏昭
「なぜあの時あれを見逃してしまったのか」「なぜこんなものを買ってしまったのか」「どうしてあんな簡単な問題が解けなかったのか」---誰しもが日常的に経験しているであろう、なぜか誤って認識したり、いつもならするはずのない判断や行動。それはなぜ起こるのか。このようなふつうの行動に現れる心の働きの偏り、歪みのようなものである「認知バイアス」について、わかりやすい事例を挙げて解説します。
認知バイアスという言葉は、一般的にも時々使われるようになってきて、なんだかよくわからないけど間違ってしまった、おかしなことをしてしまった、というときに認知バイアスという言葉で片付けようとする安易な解決も見られがちですが、著者は、「知」を身体、社会、感情、環境なども取り込んでトータルな人間の理解を深めようとする認知科学に基づき、理論的に分析しています。また、なぜ誤るのか、そして誤ることには意義があるのか、それは何なのかを解き明かします。
認知メカニズムは、ある状況では賢い判断をするように働き、ある状況では愚かな判断を生み出す。つまり人間は賢いようで愚かで、愚かなようで賢いものであるということがわかる1冊。
第1章 注意と記憶のバイアス:チェンジ・ブラインドネスと虚偽の記憶
第2章 リスク認知に潜むバイアス:利用可能性ヒューリスティック
第3章 概念に潜むバイアス:代表性ヒューリスティック
第4章 思考に潜むバイアス:確証バイアス
第5章 自己決定というバイアス
第6章 言語がもたらすバイアス
第7章 創造(について)のバイアス
第8章 共同についてのバイアス
第9章「認知バイアス」というバイアス
認知バイアス 心に潜むふしぎな働き
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認知バイアス 心に潜むふしぎな働き
2021/01/17 13:34
判断をする背景にある「バイアス」を理解する
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
判断を下すとき、後から考えても「なぜ?」とさえ気が付かないことも多い。
その判断の元となる「バイアス」を、詳細に分類・解説してくれる。
注意と記憶のバイアスから始まり、
リスク認知、概念、思考に潜むバイアス
無意識の働きによる自己決定のバイアス
人間だからこその言語・創造にかかわるバイアス
それぞれの章にブックガイドがあり、さらに詳しく調べることができる。
例題もわかりやすく、これから心理学を学ぶ人の座右の書!
2023/05/14 18:46
認知は難しい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の認知について例えばメディアは珍しい事項を取り上げるため珍しい事項のの方が多いように感じてしまったり、囚人のジレンマの実験の被験者に関係のない映像を見せるだけで判断が変わってしまったり(しかも本人はそれに気づかない)など人の認知がどのようなものか紹介されており面白い。
2023/02/11 03:58
無意識のうちにやってしまう認知バイアス
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:魚大好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白い発見がたくさんあった。人はどんなに気をつけていても自分の物差しで考えてしまう生き物。人の記憶は曖昧で見たこともないことを見たと思ってしまうこともあるし、外的要因が私たちの行動を決定つけてしまうことだってある。だけど人はそれを自分の意思だと勘違いをする。
興味深かったのは、言語が思考停止させるということ。言葉はとても便利なツールだけど、言葉ばかりに頼っていては物事を本当に理解したとは言えない。体を動かしながら言葉を使うことが理想的。
「文、文章、発話を理解するとはその中の言葉を理解するのではなく言葉によって語られた状況、世界を理解することである」
これ、本当に納得した言葉。特に母語以外の言語を使って対話していると身に染みて感じる。だからこそ、その国の文化的背景や社会情勢等を知り、体験することも言語学習には必要なんだと腑に落ちた。