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4件
地球にちりばめられて
著者 多和田 葉子
「国」や「言語」の境界が危うくなった現代を照射する、新たな代表作!
留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。
誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。
「国はもういい。個人が大事。そこをいともたやすく、悲壮感など皆無のままに書かれたのがこの小説とも言える」
――池澤夏樹氏(文庫解説より)
地球にちりばめられて
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地球にちりばめられて
2022/09/06 11:31
私が好きな多和田ワールド
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のひとり、Hirukoの祖国・日本が消えてしまった、何があったかは作品中ではわからない、甚大な原子力事故があったのかもしれないし、小松左京氏の小説のように地震がおこって「日本沈没」が現実になったのかもしれない、どうやら彼女は祖国に帰れないことは確かなようだ。そんな彼女はパンスカで話す。「汎スカンジナビア」の略のこれはデンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語が絶妙に混ざった言語、彼女の存在はユニークだが、他の登場人物も負けず劣らずだ、言語学を学ぶ学生、クヌートは普通の人に思えるが。しかし、昔、鮨という食べ物を生み出したという国の存在が人々から忘れさられようとする世界、国力は著しく低下してしまった我が国は地震で沈没しなくても、すでに沈没寸前なのかもしれないと、この小説を読みながら考え込んでしまった
2025/05/30 12:25
言語を巡る旅
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投稿者:まさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
故郷の消滅を機に同じ母語を話す人を探して旅に出るHiruko。
言語への関心ばかりで、故郷への想いや悲壮感はあまり感じられない。
確かに言語はアイデンティティを形作るものだけど、なんだか冷たい。
この情報社会の中で、国の消滅に対して具体的情報を誰も知らず、日本らしき国そのものが人々の認識から元々なかったかのようで、消されてしまったよう。
消滅の謎は解明されず、あくまでも焦点は言語。日本語の枠で生きている身としては、言語の壁を超えて動き回る彼らを少し羨ましく思った。
地球にちりばめられて
2024/04/22 20:07
すごい作者だ
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表現がとても繊細で、ユーモアがあって面白い。
さすがだと思います。三部作との由、続けて読破したいと思います。