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現代思想入門
著者 千葉 雅也
人生を変える哲学が、ここにある――。
現代思想の真髄をかつてない仕方で書き尽くした、「入門書」の決定版。
* * *
デリダ、ドゥルーズ、フーコー、ラカン、メイヤスー……
複雑な世界の現実を高解像度で捉え、人生をハックする、「現代思想」のパースペクティブ
□物事を二項対立で捉えない
□人生のリアリティはグレーゾーンに宿る
□秩序の強化を警戒し、逸脱する人間の多様性を泳がせておく
□権力は「下」からやってくる
□搾取されている自分の力を、より自律的に用いる方法を考える
□自分の成り立ちを偶然性に開き、状況を必然的なものと捉えない
□人間は過剰なエネルギーの解放と有限化の二重のドラマを生きている
□無限の反省から抜け出し、個別の問題に有限に取り組む
□大きな謎に悩むよりも、人生の世俗的な深さを生きる
「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する。それが今、人生の多様性を守るために必要だと思うのです。」 ――「はじめに 今なぜ現代思想か」より
* * *
[本書の内容]
はじめに 今なぜ現代思想か
第一章 デリダーー概念の脱構築
第二章 ドゥルーズーー存在の脱構築
第三章 フーコーーー社会の脱構築
ここまでのまとめ
第四章 現代思想の源流ーーニーチェ、フロイト、マルクス
第五章 精神分析と現代思想ーーラカン、ルジャンドル
第六章 現代思想のつくり方
第七章 ポスト・ポスト構造主義
付録 現代思想の読み方
おわりに 秩序と逸脱
現代思想入門
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現代思想入門
2022/04/24 14:31
現代思想に興味がある人、あるいは全く興味がない人にもぜひ読んでほしい1冊。
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:coziro - この投稿者のレビュー一覧を見る
私のように現代思想を勉強したいのだけど、何から手を付けてよいかわからない人のための入門書。
著者の本は『勉強の哲学』もそうだが、徹底的に読者に寄り添ってくれる。
こんな感じだ。
『確認ですが、本書においては、デリダに「概念の脱構築」、ドゥルーズに「存在の脱構築」を見て、最後のフーコーが「社会の脱構築」なのでした。』
と、デリダ、ドゥルーズに続いてフーコーの解説に入る前に、おさらいをしてくれる。
(ちょうど前の記述を忘れかけている頃合いを見計らって)
あるいはまた、『ここ、かなり難しい話だと思います。ですが(中略)「否定神学批判と合わさることで理解できると思いますので(中略)大丈夫です』と、迷路に入りかけて不安な読者を安心させてくれる。
この1冊で「現代思想が分かった!」とはとてもならないし、「なんとなくわかった」までも難しいかもしれない。
けれども、近代以降の思想の流れはざっくりつかめるし、その中で入門書の紹介があり「よし、ほかの入門書も読んでみよう!」という気にさせる。
おまけに付録として哲学書の読み方のレクチャーまである。(これがまた秀逸)
まさに手取り足取りで、恐る恐る現代思想の入り口をのぞき込んでいる初学者を導いてくれる。
「おわりに」にある次の一文に、著者の熱い思いが吐露されていて、私など、涙ぐんでしまった。
『本書は、「こうでなければならない」という枠から外れていくエネルギーを自分に感じ、それゆえこの世界において孤独を感じている人たちに、それを芸術的に展開してみよう、と励ますために書かれたのでしょう。』
理想的な、入門のための入門書。
現代思想入門
2023/03/27 02:42
かつて「現代思想」にかぶれた人も楽しめる書
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶんてつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年の内田樹による『寝ながら学べる構造主義』では、フーコー・バルト・レヴィ=ストロース・ラカンが構造主義の「四銃士」だった。
その後、フーコーはポスト構造主義のメンバーにも入れられていたが、フランスの「現代思想」は、構造主義とポスト構造主義を合わせたものというのが私の認識だった。
それが2022年のこの本では、「現代思想」の代表者として、デリダ・ドゥルーズ・フーコーが挙げられている。ラカンはルジャンドルと共に、「精神分析と現代思想」として、1章が与えられている。
取り上げられるメンバーの違いからもわかる通り、この本では、ポスト構造主義が「現代思想」とされている。
そして、デリダは「概念の脱構築」、ドゥルーズは「存在の脱構築」、フーコーは「社会の脱構築」と、極めて明快に解説してくれる。
また、この本の面白いところは、第6章に「現代思想のつくり方」という章が設けられているところだ。自分で作ってこそ、本当に理解できたと言えるということだろう。
構造主義の面白さから「現代思想」にかぶれた私でも、著者のわかりやすい解説で、充分に楽しめた「現代思想」入門でした。
現代思想入門
2022/07/21 16:44
大学生におすすめ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくらの - この投稿者のレビュー一覧を見る
『現代思想は差異の哲学である』とある。この差異の哲学(必ずしも定義に当てはまらないようなズレや変化を重視する思考)というものがとても重要な考え方だと思った。また、脱構築の基本的発想はフィールドワークにおいてよく使われるものと同じだと思った。こんな感じのよく分かんないけどなるほどって思うような所が多く面白かった。