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ぶんてつさんのレビュー一覧

投稿者:ぶんてつ

72 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本現代思想入門

2023/03/27 02:42

かつて「現代思想」にかぶれた人も楽しめる書

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002年の内田樹による『寝ながら学べる構造主義』では、フーコー・バルト・レヴィ=ストロース・ラカンが構造主義の「四銃士」だった。

その後、フーコーはポスト構造主義のメンバーにも入れられていたが、フランスの「現代思想」は、構造主義とポスト構造主義を合わせたものというのが私の認識だった。

それが2022年のこの本では、「現代思想」の代表者として、デリダ・ドゥルーズ・フーコーが挙げられている。ラカンはルジャンドルと共に、「精神分析と現代思想」として、1章が与えられている。

取り上げられるメンバーの違いからもわかる通り、この本では、ポスト構造主義が「現代思想」とされている。

そして、デリダは「概念の脱構築」、ドゥルーズは「存在の脱構築」、フーコーは「社会の脱構築」と、極めて明快に解説してくれる。

また、この本の面白いところは、第6章に「現代思想のつくり方」という章が設けられているところだ。自分で作ってこそ、本当に理解できたと言えるということだろう。

構造主義の面白さから「現代思想」にかぶれた私でも、著者のわかりやすい解説で、充分に楽しめた「現代思想」入門でした。

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紙の本

紙の本心的外傷と回復 増補版

2023/03/15 22:48

トラウマになりうる事例とそこからのリカバリーに関する書

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中井久夫先生が翻訳されているということで手に取った。

まだトラウマを「心的外傷」と訳すことが適切だった時代の壮絶な事例の数々。

第一部は、ベトナム戦争、レイプ、児童虐待、ホロコースト、家庭内暴力など、
様々な症例におけるトラウマの諸相が描かれている。

そして、残念ながらこれらの事例は決して過去のものではない。
戦争は各地で起きているし、レイプもアメリカのみに限ったものではない。
家庭内暴力に至っては、日本でも育児放棄を含めて聞かない日がないくらいだ。

第二部は、回復の諸段階として、どのようなことが必要かが述べられている。

「心的外傷体験の中核は無力化と離断であり回復の基礎は有力化と新しい結合である」
ということから、有力化の一環として損なわれた心的能力を創り直すことが目指される。

再形成が望まれる心的能力は次の6つ。
「基本的信頼を創る能力」
「自己決定を行う能力」
「積極的にことを始める能力」
「新しい事態に対処する能力」
「自己が何であるかを見定める能力」
「他者との親密関係を創る能力」

これらの能力が私に備わっているだろうか。考えさせられる本である。

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紙の本

紙の本構造人類学 新装版

2023/07/06 20:46

構造主義人類学の楽しさが詰まった論文集

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本には、著者の約30年間に書かれた約100本の論文から17篇がまとめられている。

著者は構造言語学の成果や数学の変換理論を人類学に適用し、構造主義人類学を確立した。構造主義者として有名だが、人類学者や民俗学者としても、きわめてまっとうな学者で、どの論文も面白い。

この本では、未開社会の親族関係、社会組織、宗教、神話、芸術に構造分析を試みており、その一つ一つが人類の謎を解き明かしてくれるようで楽しい論文集である。

また、人類学は無文字社会に文明が流れ込むことによって、その研究分野が狭められていく運命にあるが、最終章では将来の人類学の教育についても考察されていて、興味深い。

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紙の本

来日時の日本公演集で分かりやすくて面白い

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

レヴィ=ストロースが、1977年10月17日に夫人同伴で来日、6週間滞在した際の講演・対談をまとめた本。分厚い著作に尻込みしてしまう人も、この本なら内容が良く理解できて面白いはず。

新書などの簡単な解説書を読んだことがある人なら、レヴィ=ストロースの構造主義の解説などは、とても興味深く読めると思う。

また、分厚い著作を執筆する際には、当然民族学者としての慎重な考察がなされているわけだが、この本の中の対談では、常にたくさんの切り口で物事を考え、検討している様子がよくわかる。

たとえば、通時態や共時態なども解説されると難しく感じられるが、レヴィ=ストロースはもっとラフに物事を捉えるきっかけにしているのではないかと、次のような個所を読むと感じられる。

レヴィ=ストロース 「京都の料亭では、サービスが完全に通時的で、何のつぎに何が出てくるということがきまっていましたが、隠岐の宿では、いろいろの御馳走が一度に運ばれてきて並べられました。驚いて尋ねますと、ここでは順序なんかはじめからなく、ただ配置だけが大切だという話でした。右に置くべきものは右に、左に置くべきものは左に置かなければならない。それはきっちりきめられている。つまり規則は完全に共時的です。」

これに大橋保夫は日本人らしい生真面目さで次のように答えている。
「地域による違いではなくて、旅館ではサービスの人手が足りないという問題もあるかと思いますが、通時的なものがいかに共時態にルール化されているかを考えるのは面白いですね。」

レヴィ=ストロースも当然フランスのレストランと家庭料理でのもてなしに違いがあることは分かっているわけで、それでも日本の旅館というものが、料亭のようなサービスを目指していないことを理解しているように、次のように受けている。
「もちろん、通時態なしに共時態は考えられません。」

このやり取りだけでも、通時態や共時態の意味がリアルに分かるし、常に物事を分析して捉えるレヴィ=ストロースの姿勢がよく分かる。

とても分かりやすくて面白い本になっていると思います。

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紙の本

100分de名著の拡大版

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

NHKの「100分de名著」という番組では、伊集院光さんは「未読の人」という難しい役割を担っている。

この本は、その伊集院さんが番組で紹介した名著を、番組終了後に読んだ中から3冊厳選して、もう一度番組で解説してくれた先生とトークを繰り広げた対談集の第2弾。

取り上げられている3冊と対談相手は次のとおり。
1.松尾芭蕉『奥の細道』、長谷川櫂(俳人)
2.ダニエル・デフォー『ペストの記憶』、武田将明(東京大学教授)
3.コッローディ『ピノッキオの冒険』、和田忠彦(東京外国語大学名誉教授)

この本を拡大版だと思ったのは、武田将明さんの次のような「見えない」ということに関する「脱線めいた話」も載っているため。少し長くなるけれど、今の自分の興味に合致していたので、引用させていただく。

「アダム・スミスという経済学者がいます。彼が『国富論』の中で「見えざる手」という議論をしているんですね。この比喩を通じて、人間の経済活動には、何か見えない力が働いている、とスミスは指摘したのです。
 すると後世の人たちは、これを「神の見えざる手」と少し言い換えて、資本主義経済のもとでは、みんなが自分なりに利益追求していても、神様みたいな存在がうまく調整してくれるものなんだと解釈しました。今でも自由主義(リベラリズム)を擁護する議論は、この楽観的な見方に基づいています。
 でも、フランスのミシェル・フーコーという思想家は、そういう解釈が本当に正しいのか、と問い直すんです。むしろ「見えない手」という言葉で大事なのは、見えないことにあるんじゃないか。つまり、何か世の中を動かす原理はあるんだろうけれども、それが見えないことに人が気づいている。そこでどうするのか?というのが、近代の人たちが置かれている状況の根本なんだという話をしています。」

夏目漱石は文学とは認めていないが、近代小説の出発点に位置づけられることもある『ペストの記憶』から、経済学や現代思想にまで話が及ぶ楽しさ。
伊集院さんのラジオの経験や落語に関する話も名著の理解を助けてくれる。

「100分de名著」で伊集院さんの視点に馴染みがある人には、拡大版として楽しめる本になっています。

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紙の本

紙の本中井久夫 人と仕事

2023/10/19 17:45

中井久夫を知るための丁寧な入門書

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中井久夫さんが精神科医になるまでのいきさつから著者との最後の日までが、とても丁寧に描かれている。

著者の最相葉月(さいしょうはづき)さんは、『絶対音感』や『セラピスト』などを執筆した方。
気にはなっていたが、今までその著作を手にしてはこなかった。これを機に読んでみたいと思った。

中井久夫さんと言えば、もちろん精神科医として有名な方。
ただ、本人の著作だけを追いかけていると、中井さんの丸ごとを理解できないと感じてきた。
そんなとき、この本と偶然に出会った。そして、私にとって、とても良い入門書となった。

中井さんをより深く知るために、手がかりとなる記述がたくさん出てくる。
たとえば、「中井久夫には、二つの顔があったといわれる。一つは精神科医としての、もう一つは文学者としての。」という記述。
中井さんを知る人には、当然のことで、よく「いわれる」ことなのだろう。
しかし、私のようなにわかファンにとっては、大きな発見だった。

私は中井さんが精神科医として有名になったので、時事的な話題についても意見を求められて、書き継いできたものが本になったのかと思っていた。
しかし、そのようにして中井さんの本を読むと、見えてこない部分ができてしまう。
それを「二つの顔」の一つとして、「文学者」を「精神科医」と対等に置くと見えてくるものがある。

中井久夫という人にとって、文学的なものがいかに大切であったか。
文学的な考察が単なる感想ではなく、本当に切実なものであったということが、はっきりと見えてくる。
そして、そのような「二つの顔」が必要だった意味も、この本は丁寧に描き出している。

また中井さんの本を読む楽しみが増えた。そう思える良い本であった。

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紙の本

宮本常一の入門書ではなく解説書

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民族学者の宮本常一さんを紹介する本書は、司馬遼太郎さんや網野義彦さんなどの宮本常一さんに対するエッセイだけでなく、宮本常一さん自身のエッセイや採話に、講演や対談と盛りだくさんの内容である。

また、「土佐源氏」の幻のポルノ版として、「土佐乞食のいろざんげ」も採録されている。

これから宮本常一さんを楽しく読んでいこうと、入門書のような感じで本書を手に取ったが、どちらかというと解説書という感じだった。

どのエッセイや評論も理解の助けになったが、巻末のブックガイドはとても参考になった。

入門書ではなかったが、宮本常一さんを知る初めの一冊としては間違いではなかったと思う。

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紙の本

紙の本野生の思考

2023/07/06 19:57

社会人類学の必読書

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「構造主義ブームの発火点」と言われる本だが、構造主義に興味がなくても、民俗学や人類学に興味のある人には必ず読んでもらいたい本。

そして、そういったことに興味のない人にも「思考」する楽しみを提供してくれる1冊。

この本は『今日のトーテミスム』という本の中で、著者が到達したそれまでのトーテミスムに対する考え方への否定的結論を前提にしている。

それまで西欧社会では、「未開社会」のある集団と特定の動植物や無生物(トーテム)との間に交わされる特殊な制度的関係は、トーテミスムとひとくくりに呼ばれていた。しかし、著者はそれぞれの「未開社会」では、同一のトーテミスムとして一般化できない種々の差異があり、むかしの民族学者たちが幻想に惑わされていたとして、トーテミスムの裏面の探究を行っている。

そして、その探究の果てに「野生の思考」が未開野蛮の思考ではなく、われわれの日常の思考の中にも色濃く見いだされることを明らかにしてくれる。とてもスリリングで楽しい本である。

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紙の本

紙の本生きがいについて

2023/06/27 18:13

人間が生きるというのは大変なこと

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この本を読んで、すぐに「生きがい」が見つかるわけではない。

むしろ、「生きがい」などということを考えずに一生を終えられるなら、この本を読む必要もない。

それでも多くの人間に、いつか生きる意味を問いたくなる時が来る。

「新しい生きがいを求めて」や「新しい生きがいの発見」の章をむさぼるように読んだ。

新しい生存目標の採用の仕方として、それまでの生きがいと同じ形の「代償」を採用する場合や、それまでとは違った生きがいに「変形」したり、「置きかえ」たりする場合が記述されている。

いずれも良いヒントではあるが、そう簡単に見つからないのも「生きがい」の特徴である。

著者は、そのことをわかっているからこそ、この本全体を通じて、「生きがい」の大切さを伝えているだけでなく、その採用の困難なことを伝えてくれている。だからこそ、この本は多くの人に読まれ続けているのだろう。そして、このような本が多くの人に読まれていることを知ることで、この世もまだ捨てたものじゃないと生きていける人もいる。

この本は、宗教に逃げることをしなくても、どんな人間にも必ず存在理由があるに違いないと、寄り添い語り掛けてくれる、そんな著作であるように思える。

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紙の本

100分de名著の延長戦

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NHKの「100分de名著」という番組では、伊集院光さんは「未読の人」という難しい役割を担っている。
それでいて、伊集院さんは名著の解説者に自分の意見を投げかけ、「初めて聞いた解釈、面白いですね」と言わしめるビッグバン的な「無知との遭遇」(伊集院さんの用語)現象を引き起こす名人芸を見せてくれる。

この本は、その伊集院さんが番組で紹介した名著を、番組終了後に読んだ中から3冊厳選して、もう一度番組で解説してくれた先生とトークを繰り広げた対談集。

取り上げられている3冊と対談相手は次のとおり。
1.カフカ『変身』、川島隆(京都大学准教授)
2.柳田国男『遠野物語』、石井正己(東京学芸大学教授)
3.神谷美恵子『生きがいについて』、若松英輔(批評家、随筆家)

「100分de名著」で伊集院さんの視点に馴染みがある人には、延長戦として楽しめる本になっています。
(深堀を期待する人は、上記3冊のNHKのテキストを読んだ後に、この本を読むほうがいいかもしれません)

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紙の本

紙の本「ひきこもり」救出マニュアル

2023/05/16 18:48

Q&A方式で具体的にアドバイスした治療者の本気の処方箋

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対象を当事者や関係者に絞り込んでいるというが、「ひきこもり」を理解する上でとても役に立つ。
Q&A方式で具体的に関係者からの質問にアドバイスした本気の処方箋は、著者の覚悟が感じられる。

著者は「ひきこもり」を病気ではないと断言する一方で、放置してもそこから抜け出せないままになることがきわめて多いとも言う。
だからこそ、そこに変化を呼び込みたいのであれば、第三者による支援や治療が必要とされるので、このような処方箋を提示している。

しかし、ここでその一部を抜粋したり、興味のあるところを紹介するのは、大部な本となってもこの本を記した著者の想いに反すると思うので、著者の精神分析における視点を語った個所を紹介させていただくことにする。

『あらゆる人間は自己愛を持っています。およそ愛とは、すべて自己愛の変形です。これが私が依拠する、精神分析の視点です。そして、自己愛は他者に向けられることによって成熟した形(他人への思いやりなど)へと変化していきます。言い換えるなら、他者という鏡を欠いた自己愛は、非常に不安定なものになてしまいます。
ひきこもった生活には、自己愛を支えてくれる他者との出会いが、徹底して欠けています。そのような状況に長く置かれると、自己愛は状況をきわめて不安定なものにするでしょう。それでも生きていくためには、人間は自己愛にしがみつくしかない。
彼らの行動が結果的に自己中心的に見えようとも、それは彼らがまさに健全な自己愛を持ちながら、それを支える他者が欠けていることの結果なのです。』

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紙の本

経営という視点を身に付けたい人におすすめ

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本は、『「会社を経営する」ということ』をベースに、その後の環境変化や小宮さんなりに深く考えたことを付け加えて再構成されている。
タイトルが違うので、まったく別物だと思って手に取ったが、結果的には小宮さんの作品の中でも特に良いものに巡り会えたという感じがした。

まず、経営とは何だろうか。それは「企業の方向付け」をし、「資源を最適に配分する」ことをした上で「人を動かす」ことが、経営である。

では、強い会社の3つの条件は何だろうか。
1.商品、サービスで他社との違いがはっきりしていること
2.自分が戦おうとしている市場で必要な財務力がある
3.ビジョン、理念がしっかりしている

そうだとするなら、強い会社になるための戦略立案には何が必要かと言えば、内部環境と外部環境の分析である。
内部環境には、ヒト、モノ、カネ、情報、ノウハウ、時間など外部環境には、市場、競争、法律、人口変化、景気など。
中でも、21世紀の日本の外部環境で、どの企業にも関係のある重要なものは、次の4つ。
1.少子超高齢社会
2.加速するハイテク情報社会
3.日本国内の国際化
4.規制緩和

そして、日本企業が行うべき国際標準の経営とは、「お客様第一」であり、「キャッシュフロー経営」である。また、最も大切にすべき、お客様第一とは幸せの順番のことであり、幸せの大きさのことではないことに注意。

さらに、戦略策定に必要な9つのキーワードを簡単に要約してみると以下のようになる。
1.スピード経営
 自社が他社に対して優位に立てるプロセスにおけるスピードが、他社より早い。
2.事業ドメイン
 得意な事業領域で勝負する。
3.イノベーション
 小さなリスクは恐れずに新しいことへの挑戦(革新)をする一方で、大きなリスクは取らない。
4.ボーダレスマインド
 日本国内の急激な国際化に勝てるだけの世界で実践できる経営能力、商品、サービスを持つ。
5.ネットワーク
 人的ネットワークの確立。アンテナは高く、腰は低くして多くの人から情報得る。
6.環境
 「コンプライアンス」の重要性を認識。
7.キャッシュフロー経営
 現金をいかに「稼ぐ」か、いかに有効に「使う」か。
8.ビジョン・理念
 理念はビジョン追求における行動規範。
9.リレーションシップ・マーケティング
 コツは、「一番は偉い」と「あなたは特別」。
 お客を6段階に分け、「潜在客」・「顧客」・「得意客」・「支持者」・「代弁者」・「パートナー」へと関係を「深化」させていくことが重要。

これから経営という視点を身に付けたいと思う人は読んでみることをオススメする。

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紙の本

いじめの被害者の安全の確保を図るのは「大人」の役目です

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

自身もいじめられっ子だった精神科医の中井久夫先生の「いじめの政治学」を子ども向けに訳した本です。

しかし、この本は『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997年)所収の「いじめの政治学」にもとづいた、いじめられている子供向けの本という体裁をとっているが、あきらかに「大人」へ向けた本だ。

もちろん、いじめられている子どもがこの本を読んで、中井先生に寄り添われていることを感じ、SOSを出すきっかけになればよいと思う。

ただ、いじめられている子どもがSOSを出すのはこの本に書かれている通り、なかなか難しいのが現実だ。

だからこそ、中井先生は「大人」に向けて、次のように書いている。
「その場に即して有効な手立てを考えだし、実行する以外にない世界です。わたくしのように初老期までいじめの影響に苦しむ人間をこれ以上つくらないよう、各方面の努力を祈ります。」

各方面というのは、われわれ「大人」だ。
いじめが見つけにくくなる理由や課程は、この本に書いてある。

いじめられ体験というのは言葉にとてもしにくく、中井先生でもジュディス・ルイス・ハーマンの『心的外傷と回復』が大きな触媒になったと感謝を記している。
中井先生が困難を乗り越えて、自信のいじめられ体験を言葉にしてくれたのだから、われわれはせめてSOSをキャッチする精度をあげる努力を怠らないようにしたいものだ。

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紙の本

紙の本最終講義 分裂病私見

2023/03/23 17:31

医師として生涯をかけた統合失調症への理解を伝えてくれる本

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1966年にウイルス学から転向して精神科医となった中井久夫先生の神戸大学医学部での最終講義(公開講義)。

医療関係者だけでなく、知的公衆にも理解できるようにと、望まれたものであり、出版については最終講義当日に用意していて、途中まで使用した元原稿にもとづいているということで、中井先生の統合失調症(この本では分裂病)に対する取り組みが分かりやすい。

治療法自体については、『精神科治療の覚書』の方を参照してほしいと、「あとがき」にはあるが、医者でない私には本書での中井先生の取り組みを知るだけで、統合失調症についてのイメージが具体化して有益であった。

講義の部分は94ページまでで、その後は詳細な「図版と症例・解説」が付されているが、93ページの次の個所が気になったので引用させていただく。

「分裂病は伝統的に躁うつ病と対照させて眺められてきたのですが、そうでなければならない理由はありません。仮に躁うつ病の代わりに多重人格を置いて分裂病と対比しますと、分裂病には自分が唯一無二の単一人格であり続けようとする悲壮なまでの努力がありありと認められます。何を措いても責任だけはわが身に引き受けようとする努力です。あるいは、人格のユニティ(単一・統一性)の維持を優先するか、コンフリクト(葛藤)の解消を優先させるかによって、ひろく精神障害を二つの系列に分けることができるかもしれません。」

最後に、140ページから3ページにわたる「付録」として、「仕事のみならず、一般に生活再開にあたっての助言」が10個ついているが、中井先生らしい助言だと感じさせられた。

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紙の本

紙の本人種と歴史 新装版

2023/03/16 04:28

人種に優劣はなく、ただ文化に多様性があるだけ

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著者は、この本の中で人種に優劣がないことを繰り返し述べている。

たとえば、「諸人種の文明に対する寄与を語る場合」に各大陸で「独自性があるとしても」、「それは地理的、歴史的、社会学的環境からきているのであって、黒人や黄色人や白人の解剖学的、生理学的体質にかかわる異った素質に由来するものではない」と、明確に語っている。

また、歴史は一直線に進歩してきたという社会進化論を批判し、歴史は進歩がないように見えるときも実際には進歩していることもあり、単に「各々の好みによって予め決定されている方向への最大の進歩だけ」を進歩とみなしているに過ぎないと手厳しい。

最後に、人類文化の差異に対して、著者は次のように締めくくっている。「われわれが、差異に対してなしうる唯一の要求(各人に対して相互的な義務をつくるような)は、差異の一つ一つがもっとも大きな寛容さで、他のものに貢献するような諸形態の下であらわれることである」。

文化は相互に差異があってこそ文化なのであり、差異があるからこそお互いに貢献でき、世界はこの文化の差異の共存によって成り立っている。

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