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3件
吉田松陰 留魂録 (全訳注)
著者 古川 薫
切々と愛弟子に訴える最後の訓戒
炎の教師、松蔭の遺書
読みやすい大文字版
身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置まし大和魂
志高く維新を先駆した炎の思想家吉田松陰が安政の大獄に連座し、牢獄で執筆した『留魂録』。
愛弟子へ切々と訴えかける最後の訓戒で、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の傑作を味読・精読する。
吉田松陰 留魂録 (全訳注)
05/22まで通常990円
税込 693 円 6ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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吉田松陰留魂録
2015/08/22 12:21
遺書
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しましま - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田松陰の遺書『留魂録』の原文と訳文が載っているので初心者でも読みやすい。遺書自体は5000字ほどの冊子なので、解題や史伝が紙数の大半を占めているが、幕末にそれほど詳しくない私にとってはかえって良かったと思う。
吉田松陰留魂録
2020/04/07 10:03
吉田松陰が投獄された際に、愛弟子たちに書き残した最後の訓戒集です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、長州藩士であり、思想家・教育者として知られる吉田松陰による書の現代語訳版です。吉田松陰は、私塾「松下村塾」で後の明治維新で重要な働きをする多くの若者に思想的影響を与えたことで有名ですが、安政の大獄に連座し、投獄された際に、愛弟子たちに訴えかけた最後の訓戒として書かれたのが、同書『留魂録』です。同書は、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の代表でもあり、全16章の中には、「此の回の口書甚だ草々なり」、「要諫一条に付き」、「吾れ此の回初め素より生を謀らず」、「今日死を決するの安心は」、「東口揚屋に居る水戸の郷土堀江克之助」などのテーマで書かれた文章が収められています。ぜひ、吉田松陰の遺書とも呼ばれる同書を精読してみてください。
吉田松陰留魂録
2002/10/20 17:17
種をまく
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田松陰は、この『留魂録』を書きおえた翌日、すなわち安政六年(1859)十月二十七日に処刑された。つまりこの書は松陰の遺書であり、門下生への最後のメッセージになった。『留魂録』は密に門下生の間で回覧されて、松陰の意思を継ぐ者たちのバイブルとなったという。きっと維新の原動力となったのだろう。わずか三十年あまりの生涯なのに、その影響力の大きさにはただ驚くばかり。
死を目前とした時に書かれた文書なので、非常に張り詰めた緊張感のある文章なのだが、ある種の達観の境地というか悟りの境地というのも感じられる冷静さも同時に含む。
松陰は、人の寿命は定まっていないという。しかし、十歳には十歳の四季があるだろうし、二十歳にも二十歳なりの四季がある。百歳にも百歳なりの四季があるという。そして、自分は三十歳で死ぬが、既に四季を巡ったのだから、どんな実であるか分からないがとにかく実をつけたのだという。自分の意思を受けついでくれる人があれば、その種子は途絶えることはないだろう、と述べている。自ら実となり種となり、それを受けついだ人がまたあらたな実をつけていく。自身では何も成し遂げられなかったという後悔が感じられない。自ら礎となり、仲間に自分の意思を託して、死を受け入れる松陰の姿がある。文字通り、この書は「魂」を書き「留」めたものである。