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2件
ぼくらは星を見つけた
著者 戸森 しるこ
野間児童文芸賞受賞作家の最新作は「新しい家族」をつくるドラマチックでうっとりする物語。幸福な予感が幻想的な世界で描かれます。
丘の上の青い屋根のお屋敷に、彼女たちは住んでいました。ご主人のそらさんと、十歳の星(セイ)。そしてハウスキーパーのシド、白猫のダリア。そらさんの旦那さんは、十数年前に亡くなった、天文学者の桐丘博士です。専属の庭師と、そらさんの主治医が出入りするほかは、現実から切り離されたように静かなところでした。
ある日、「住みこみの家庭教師」という募集を知って、お屋敷にひとりの男性がやってきます。それが岬くん。この物語の主人公です。
岬くんは元美容師で、手品や楽器という特技も持ち合わせています。そらさんは岬くんを家族の一員として迎え入れ、星は紳士的でユーモラスな岬くんにすぐに懐きました。けれど無愛想なハウスキーパーのシドだけは、なかなか心を開きません。不器用だけど本当はやさしく思いやり深いシドに、岬くんは惹かれていきます。
その家族にはいくつか不自然な点がありました。「本当の家族」を求め続ける岬くんが、奇跡的な巡り合わせで「運命の人」にであう物語。
●金原瑞人さん、推薦!
『ロマンチックで、ちょっと切ない。
忘れられない荷物をひとつ心に残してくれます』
●書店員さんから、反響続々!!
背負わざるを得なかった「闇」があるから、
光かがやく主人公たちに、心打たれない読者はいないでしょう。
──紀伊國屋書店横浜店花田優子
不器用にしか生きられない。そんな、愛すべきキャラクターたちが、
すこしずつ「家族」になっていく姿から目が離せませんでした。
──クレヨンハウス 鏡鉄平
人は「母」に出会い、世界は宇宙のように広がっていく。
──ブックスページワンIY赤羽店 風穴真由芽
ここには、家族を愛する不器用な人たちの姿があります。
新たな変化を受け入れた登場人物たちに、安堵の気持ちでいっぱいになりました。
──丸善丸の内本店 兼森理恵
ぼくらは星を見つけた
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ぼくらは星を見つけた
2023/06/15 20:25
『ぼくらは星を見つけた』
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
丘の上にある青い屋根のお屋敷に住んでいるのは──
年上のパートナーに先立たれた四十代のそらさん
少し遠くの学校に通っている十歳の星(せい)
住み込みのハウスキーパーのシド
年とったおばあさん猫のダリア
夏の終わり、そこに一人の青年=岬(みさき)くんがやってきて、住みこみの家庭教師になりました
四人は「家族」のようにあたたかく暮らしていましたが、それぞれに秘密があったのです
《「運命の人」×「家族」を求める感涙小説》──帯のコピー
YA、児童書から幼年童話、絵本まで創作の場を広げる戸森しるこ12冊目の単行本は1年半ぶりの意欲作、2023年5月刊
《空でつながっていく運命の物語》──著者Twitterより
おだやかな暮らしがドラマチックに展開して、胸がいっぱいになる物語
Cコード「8093」だけど、児童書の棚に置いておくのはもったいない
[著者情報]
『ぼくたちのリアル』で第56回講談社児童文学新人賞(2015年)を受賞しデビュー、同作で第46回児童文芸新人賞(2017年)、第64回産経児童出版文化賞フジテレビ賞(2017年)を受賞
『ゆかいな床井くん』では第57回野間児童文芸賞(2019年)を受賞
2021年度使用開始の中学2年国語教科書(三省堂版)には短編小説「セミロングホームルーム」が採用
2023/05/22 20:27
家族の形
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
丘の上のミステリアスなお屋敷で「住み込み家庭教師」になった多彩な経歴の岬くん。歪な「家族ごっこ」の隙間から溢れる複雑な想いを、各々が敏感に掬い取り繋ぎ止める。儚い期待と思い遣りに包まれた、切なくも強いたった一つの家族の物語。
多様な家族の形があって、そこに正解はない。何が幸せかは一人一人が決める事で、形に固執する必要はない。ユニークな登場人物たちの光と闇に触れ、じっくりと導かれるような壮大さを感じた。現実的なのにファンタジーのようで、センスの光る異国風のニックネームも相俟って、ふわふわと無重力の宇宙と重なった。
雅な挿絵が世界観を広げるアシストを控えめに担っていて、とても良いバランスの作品。
すべては解決しない、そんな当たり前を手探りで進む「新しい家族」に優しい気持ちをもらえました。