- みんなの評価
8件
ポトスライムの舟
著者 津村 記久子
芥川賞受賞作
29歳、社会人8年目、手取り年収163万円。
こんな生き方、働き方もある。新しい“脱力系”勤労小説
29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のために、「時間を金で売る」虚しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気付くが――。ユーモラスで抑制された文章が胸に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。
ポトスライムの舟
05/08まで通常605円
税込 424 円 3ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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ポトスライムの舟
2023/08/01 18:21
良いです。
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:スッチー - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても面白かったです。良いです。興味のある方にはオススメです。とても素敵です。読みやすくて分かりやすくて最高です。
ポトスライムの舟
2019/05/12 22:38
この作者の独自の視点が楽しい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「十二月の窓辺」が2007年1月号、「ポトスライムの舟」が2008年11月号の群像に発表されている。「ポトスライムの舟」は第140回の芥川賞を受賞した。主人公の名前は「ツガワ」と「ナガセ」と違っているが新入社員として入った会社でパワハラを受けて退社した(作者本人にもその経験があるとのこと)辛い経験があり、現在は派遣社員として薄給で工場で働いているということを考えると、この二つの作品は繋がっているのだろう。「時間を金で売る」という少し聞きなれない言葉が作品中にでてくるが、作品を読みこんでいくとなるほどなと納得のいくセリフだということがわかってくる。この作者の作品は、独自の感覚があり「浮遊霊ブラジル」同様に楽しめた
ポトスライムの舟
2016/10/15 21:17
嘘臭くない、希望のようなもの
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作。主人公の時間は、労働と最低限の再生産で埋め尽くされる。生きるためにはそうしないといけないから。主人公の世界はさほど広がらない。そんな時間的な余裕はないから。ところが、自分の年収が、世界一周ツアー(ピースボート的な)の代金と同じと分かり・・・。
「十二月の窓辺」。恐いのは、自分に価値が無いと信じこませること。そういった言葉は心をすり減らし、やがて殺す。
二作とも視線は低く、淡々としている。高見から見通すようなえらそうな語りは無い。どこか閉塞的で、諦めがある。しらけるような嘘臭さと無縁なのがよかった。なぜか、小さな希望が残った。