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4件
諸説あります。
著者 著者:眞村 六郎 , イラスト:双葉 はづき
誰もが振り返る美貌を持ちながら、ニコリとも笑わない男――美術史准教授・五条雪彦。彼の助手となった心理学専攻の雨音は、畑違いの分野に苦戦中だ。しかも、頼れる彼のもとには絵画以外の謎も持ち込まれて――?
五条雪彦の新説な美術史 諸説あります。
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諸説あります。 五条雪彦の新説な美術史
2021/06/28 18:42
切実に続きが読みたい
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【ネタバレ】
美術史専攻の准教授である幼馴染の雪兄の研究室に助手として配属された院生の雨音。
研究室の数と院生の数のミスマッチから自身の専攻である心理学関連の研究室に配属されなかったために雪兄が引き取ってくれたと感じている雨音は、
恩と恋心と変わらず子供扱いされる距離感に自分の立ち位置を定められずにいる。
門外漢ながら雪兄に行動分析学の見地から名画の解釈を求められ、
二人で論じながら身の周りで起こる小さな事件を片付けていく新説日常系ミステリー?
奇論暴論と呼ばれようとも作中で語られる名画の考察はとても面白かった。
「ダヴィンチ・コード」もそうだったけど、美術史やその解説本を読むのは飽きちゃっても、
こうして小説内でストーリーに絡めて話されると興味深く読めるし、頭に入ってくるから楽しい。
雨音は家族全員亡くした雪兄に寄り添いたいと思いながらも腫れ物に触れるような形でいて、
その時々で離れた方がいいかもと悩んだりする。
正直だいぶ上から目線で哀れんでいるように見えて「ん?」と思うところもあったし、
関係が進展しなかった感じだけど、雪兄は好きで雨音を側に置きたいみたいだし、
ちょっと捻くれててもよさそうだ。
引っ込み思案で慣れた雪兄や友人相手以外では上手く話せなかったりする雨音が、
内心では結構辛辣だったりツッコミ気質なのも面白い。
三大名画四点の説明の時に「ベストスリーのレギュラー争いなんてしないで四天王にすればいいのに」みたいに考えてるの笑った。
二人が進展しなかったことも含めて、名画の新解釈も面白かったし、できれば続きが読みたい作品だった。
読み返すかわからないから好きだったところ書き残しておこう。
雨音が話題を逸らしたい時に名画の解釈の話題を振ると、
すぐに雪兄がそっちに食いついてしまうのチョロいと思ってたけど、
最後で実は好きな美術の話題だから逸らされてたんじゃなくて、
好きな美術の話題に雨音が興味を持ってくれてると感じで嬉しくて付き合ってたのが発覚したの、普通に萌えた。
専門外の分野でも無理やり助手にしたのも側に置いて美術を好きになって欲しかったからだし、
ラストで淡白なのをひっくり返したのはとても良かったね。
諸説あります。 五条雪彦の新説な美術史
2019/07/08 09:07
中高生の女子が表紙絵に惚れていました笑
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
美術(有名絵画)を新しい解釈・歴史的背景を織り交ぜながら物語が進んでいく小説で、ちょっとした美術解説書を読むよりも面白く、絵画について学んでいくことができます。
もちろん、美術に疎い人でも楽しめるような内容になっていますし、行動心理学も出てきますので、心理学に興味がある人も飽きずに読めるかも!
恋愛要素もありで、小説としても十分に面白いのですが…ヒロインの女の子が、ちょっと性格に難ありかな…。
主人公なのに、性格がよろしくないとやっぱり入り込みにくいので…もうちょっと、とっつきやすさがほしかった。
せっかくの恋愛要素も、そこで少し薄らいでしまいます。
表紙絵は、中高生の女の子にはウケるみたいで「イケメンだ!」と言って、どんどん触れていました。
美術に興味のない女子が手にとるような装丁イラストはよかったと思います。
2020/09/04 22:55
もっと面白くなるポテンシャルはあるのに、ちょっと残念な読後感
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界的に有名な絵画の歴史的背景や従来の解釈プラス登場人物が加える新たな考察など、美術に関する部分は興味深く読みました。普段芸術に触れる機会があまりなくても楽しめましたし、美術館に行きたくもなりました。美術史関連の本をお求めの方にはいいと思います。
ただ、作品のもう1つの軸となる、ちょっとした謎解き部分はイマイチでした。知性と教養、専門知識を備えたイケメンが謎を解くというストーリーなら、個人的には宝石商の謎鑑定をお勧めします。
加えて、登場人物の魅力に欠け、特に、ヒロインに感情移入というか共感しづらいというのは致命的だと思います。ヒロインはいい子で、その友人はクセがあるけれどいい子、他の女性はこぞってヒロインに敵意を持っている感じで薄っぺらいのは、著者が男性だからでしょうか?健気を全面に出すヒロインは男性が思い描く理想の女性なのかもしれませんが、「なんかなぁ~」と思いながら読み進め、結局そのまま読了。ただ、薄っぺらいのは女性だけで、男性、特に初老の男性は人生経験に比例した深みを感じさせる人が少なくとも2名描かれていました。あくまでも個人の感想ではありますが、もっと登場人物に厚みというか深みが加われば作品の魅力が増して続刊を読みたくなるかもしれません。本作を読み終えての感想は、続刊が出ても定価で購入することはないと思います。