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父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。―――1万年前から現代まですべてを紐解く「資本主義」全からくり
著者 著:ヤニス・バルファキス , 訳:関美和
十代の娘の「なぜ、世の中にはこんなに格差があるの?」というシンプルな質問をきっかけに、元ギリシャ財務大臣の父が経済の仕組みを語る。「宗教」や「文学」「SF映画」など多彩な切り口で、1万年以上の歴史を一気に見通し、「農業の発明」や「産業革命」から「仮想通貨」「AI革命」までその本質を鮮やかに説く。
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。―――1万年前から現代まですべてを紐解く「資本主義」全からくり
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父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
2020/08/17 20:35
革ジャンにスキンヘッドでバイクを乗り回し、マスコミには揶揄交じりに「政界のブルース・ウィリス」と書かれたこともあります。
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオハシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやすごかった武闘派だ、読んでよかった・面白かったなどという言葉ではうまく表現できないが、とにかくすごかった2019年3月の本。
確か春ごろに、「これ超面白そう!」と思って買ってあったのですが、どんどんどんどん読まなきゃいけない本が加速してきて後回しにされてきたんですが、正月休みである程度さばけたので、やっと読みたい本として読んでよかった本。あとからいろんな仕掛けを読み返すと、翻訳者があのFACTFULNESS を訳された関美和さんなんですね。
内容に関しては、多くのレビューアーがそれぞれのコメントをなされていると思うので、ほかの方のコメントも参照いただきたいのですが、プロローグを読んだだけで作者の意気込み・熱意がビリビリと伝わってきて、以下の部分が大好き。「この本の執筆は、楽しい作業だった。脚注も参考文献もつけず、学術論文の作法も気にせずに書いたのは、この本が最初で最後だ。」
あとはストーリーの途中で「マトリックス」の世界が表現されているのも好き。 なるほど! と思わされた。
あとのなるほど!は、(いつも通り?)訳者あとがきに書かれてあって、『できるだけ専門用語を使わず、地に足のついた、血の通った言葉で経済について語ったもの』です。
===
P244
大切な判断を他人まかせにしないためには、経済とは何か、資本主義がどのように生まれ、どんな歴史を経ていまの経済の枠組みが存在するようになったのかを、自分の頭で理解する必要があるのです。
(中略)
だからこそ、日本で多くの人がもっと経済について自分の言葉で語れるようになるといいし、本書が経済と資本主義について考えるきっかけになることを願っています
===
いや、なるほど!となったところはそのつづき
===
P245
ギリシャの経済危機の最中2015年に財務大臣に就任しました。 そしてEU当局が主張する財政緊縮策に敢然と「ノー」を示し、大幅な債務帳消しを求め、国民投票でも緊縮策の受け入れ反対を勝ち取りました。(中略)その強硬な姿勢のため、やがて、より融和的な大臣が後任に指名されましたが、その大胆な主張は世界的に大きな注目を浴びました。
さらにバルファキスは、学者または政治家らしからぬその風貌も話題になりました。革ジャンにスキンヘッドでバイクを乗り回し、マスコミには揶揄交じりに「政界のブルース・ウィリス」と書かれたこともあります。
そんな著者が書いた本書は、現代の経済の本質を鋭く突いた内容が大きな話題を呼び、ヨーロッパを皮切りに各国でみるみるうちにベストセラーとなり、いまや世界25か国で出版が決定しています。
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いやほんとすごい本だった。
ぜひ多くの方に読んでほしいです!!
父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
2020/09/21 10:09
「差」があるのはたまたま
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:翔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さまざまな「差」が生じてしまうのには、たまたまその環境だったから、というのが往々にしてあります。人の責任にするのではなく、その人たちを取り囲んできた周りの環境によるのだと考えることで、少しずつ優しい気持ちになっていけます。
父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
2020/01/05 22:03
ギリシャ経済危機の当事者からみた「世界の見かた」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
交換価値と経験価値を峻別することを手掛かりに市場社会の仕組みを解き明かす視点が面白い。資本主義は、予言の自己成就、なかんずく楽観的憶測を燃料に、自己の欲を満たすために駆動する錬金術であるという。そして、市場社会への転換は交換価値が経験価値を凌駕したことを起点とする。
筆者は古今東西の優れた物語は、寓話としてわれわれの不安を映し出す鏡とみる。この逸話による脚色が文章に色を加え、より腑に落ちる。
しかし、現代への警鐘一辺倒かというとそうではなく、資本主義経済にはじめから埋め込まれた安全装置を、希望を見出す。マルクスと同様に。
筆者は読者を、若者を、人間を励ます。