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10件
哲学と宗教全史
著者 著:出口治明
ライフネット生命創業者でAPU学長出口治明が初めて語る哲学と宗教全史。世界史、哲学、宗教が一冊に凝縮!世界最古の宗教、ギリシャ哲学と東洋哲学、ルネサンスと宗教改革から20世紀まで東西完全網羅!ヘーゲルの三兄弟はキルケゴール、マルクス、ニーチェ!巻頭巻末ジャバラに3000年の哲学と宗教人物相関図付き!
哲学と宗教全史
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2020/02/28 11:00
広く遍く拾ってある名著
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:漣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホモデウスを読んだときと、同様の感覚になりました。
知らないことを知る悦びですね。
本書にこんなことは一言も書いていなかったかもしれませんが、私は『文明は発展したが、ヒトは一歩足りとも前進していない』そんな風に読み取りました。
それを悲観的に捉えるか、ありのままに捉えるか、可能性を諦めないか。
少なくとも私は絶望視はしていません。
こういう本を書いて下さる方が居る限り、まだまだ世の中捨てたもんじゃないよと思わせてくれました。
いい本に出会えた奇跡と筆者の出口さんへ感謝します。
ありがとうございますm(__)m
哲学と宗教全史
2020/02/28 11:19
古代ギリシャから現代に至るまでの哲学と宗教について解説した画期的な一冊です!
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本人があまり知らない宗教と哲学について、古代ギリシア時代からヘレニズム時代を経て、ルネサンス、宗教改革、さらに近代から現代に至るまで、当時の社会や世界に影響を与えた哲学者及び宗教家とその思想、信仰をつぶさに解説した画期的な一冊です。これ一冊を読めば、世界における哲学と宗教の歴史の概要がよく分かります。また、それらの一つひとつの思想は、現代の私たちの社会においてもとっても有用です。
哲学と宗教全史
2022/04/24 22:53
人類の「知の系譜」を通観できる歴史書
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
450頁超の大部な本書を書店で、これなら読めそうと活字の大きさやビジュアルの有無を確かめてから買い求めた。古代より現代に至る思想家の出現を対比した「年表」が巻頭と巻末に綴じ込まれており、相関関係や対立構造が辿れて便利だ。
尤も、人物索引や事項索引が設けられていない点は「学術書」としては如何なものか。主にビジネス書を手掛ける出版社が、初めからビジネス・パーソン向けの「教養書」としての位置付けをしたせいだろう。
民間企業のトップを務め、国際交流・異文化相互理解を目指すユニークな大学の学長たる著者ゆえに、哲学と宗教の「通史」を語る筆致にも教養志向が窺える。
「人類の知の葛藤から生み出された哲学や宗教を学ぶことは、日常のビジネスの世界にとっても、有益となるのではないかと思うのです」と著者は、はじめにで執筆目的を吐露する。
ふんだんに肖像画を載せるのも、思想家たちが「同じように血の通った人間なのです。ぜひ、彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います」との配慮からだ。
思想家たちの主要著作の邦訳本を著者が懇切丁寧に紹介してくれるので、読者は興味関心をもった哲学者の原典に当たれば、論説・主張の理解を深めることができる。
馴染みが薄く基礎知識に乏しいセム的一神教「イスラーム教」の発展(ムハンマドの後継者争いからシーア派・スンナ派に分裂)の歴史を説く第8章が有益だった。ギリシャ哲学、ユダヤ教、キリスト教との密接な関係や東南アジア地域が最大のイスラム教徒を抱える現実など、いずれも興味深い。
私は唐宋での「禅宗」発展史と周張二程から朱熹に繋がる儒教(朱子学)大成の歴史に関心があったのだが、「年表」を見れば判るけれど、中世以降はもっぱら西洋世界の思想史・宗教史(ルネサンスや宗教改革など)が中心となるため、第8章(4)節での「仏教と儒教の変貌」と題しての概観的記述に止まった点が少し残念な気がした。
とは言うものの、人類の「知の系譜」を通観できる歴史書として、本書は通読に値する価値があると断言できる。20世紀を代表する哲学者に僅か五人しか選ばない(ベルクソンやハイデガーさえ落選させる)著者の勇気と英断に、正直舌を巻いた。