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プロ野球「経営」全史
著者 中川右介
長嶋も江夏も、イチローも大谷も登場しない、オーナー企業の視点から描く日本プロ野球「経営」全史!
1936年から歩みを始める日本プロ野球の歴史は85年。その間、球団オーナーとなった会社(個人も含む)は55社にものぼります。草創期の鉄道、新聞から、戦後の映画、食品、流通小売、そして21世紀に入ってからのITベンチャーまでの流れは、日本経済の構造変化と産業交代の姿そのものです。
草創期から変わらぬ球団がある一方で、1年に満たずに撤退したオーナー企業もあり、日本の会社の栄枯盛衰を描いた経営・ビジネス書として読みごたえがあります。
もちろん、本書はプロ野球本ですから、各球団オーナーの動向を時間軸に沿って追いながら、チームの年度別の観客動員数や順位、さらには世間を揺るがせた事件(「空白の一日」など)にも触れます。
「膨大な資料の中から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる」という執筆スタイルで評価の高い著者。本書では「経営」という切り口でプロ野球史を丸ごと取り上げた超意欲作です。
プロ野球「経営」全史
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プロ野球「経営」全史 球団オーナー55社の興亡
2024/12/26 10:31
プロ野球「経営」全史
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Hidek - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本にプロ野球が出来て現在までの経営母体について書かれた一冊です。
私の感覚では東京読売巨人軍が一番長い歴史を持った球団だと思っていたのですが、経営母体が一貫しているのは阪神タイガースだと知り驚きでした。
また、球団の経営母体が、鉄道、新聞社から食品、流通会社へ、そしてITへとその時代を反映したものへ変遷していった様はある意味歴史の鏡だと感じました。
面白かったです。
プロ野球「経営」全史 球団オーナー55社の興亡
2024/04/22 16:17
オーナー企業の変遷に見る日本プロ野球史
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は阪神タイガースファンとしてちくま新書からタイガースの年代記を出しているが、本書はオーナー企業の変遷という視点から1936年の誕生以降の日本のプロ野球の歴史が書かれている。
プロ野球が野球というスポーツを興行することにより成立している以上、球団経営は重要となってくるのは当然であり、選手や球場を確保した上での興行となれば多額な費用も発生することから、資金力の無い企業ではオーナーにはなれないのは当然である。
かくしてオーナー企業には、その当時一番資金力のある企業が名を連ねることとなり、オーナー企業の変遷を辿ることは日本の産業構造の変遷を辿るのと同じになる。戦後を見ても新聞社(読売、毎日、中日、西日本)、鉄道会社(阪神、阪急、南海、近鉄、東急、西武)、映画会社(松竹、大映、東映)からやがて食品会社(日本ハム、ロッテ)、スーパー(ダイエー)、ノンバンク(オリックス)そして球界再編時にはIT企業(楽天、ソフトバンク)とその時代の産業構造を映す鏡となっていると言ってもよい。
本書の特徴としては選手のことよりオーナー企業の経営者についての記載の方が多いという点でプロ野球本としては特殊である。私としては戦前の創成期のプロ野球球団がどういう企業によって経営されていたのかがよく分かったし、中日のオーナーに大島家(新愛知)と小山家(名古屋新聞)が交互にオーナーになっているのが愛知県の新聞が国家統制により統合して中日新聞となったのに起因しているとか、戦前からの球団でオーナー企業が変わっていないのは阪神だけ(巨人は読売グループの中でオーナー企業が変わっている)とかは初めて知ったが、阪神も村上ファンドの件で阪急阪神ホールディングスの子会社にはなっているものの、保証金の都合上オーナー企業は阪神のままではある(ある意味儲からないブレーブスを売却した阪急が儲かるタイガースに関係しつつある気もする)。
国税により子会社である球団経営への支援が経費として認められることから、パ・リーグ球団ではオーナー企業による赤字補填に頼って経営努力を怠った結果として2004年のプロ野球再編問題を招くが、それ以前の西武に身売りする前の太平洋クラブやクラウンライターが名義料を支払っていたライオンズ、わずか1年間で身売りした日拓ホームと今となれば懐かしい名前であるし、日本ハムやオリックスは球団経営に金もかかった分宣伝になり、規模拡大を実現している。
特殊なのは筆頭株主のマツダが創業者一族に引き取らせて経営から手を引くことにより松田家の個人商店となっている広島だろう。
経営体としてのプロ野球球団を安定させるためには自前の球場あるいは球場管理者に球団がなる必要があり、日本ハムが札幌ドームから撤退して自前の球場を持ったのもその時代の流れからは当然の話であり、「球場を借りて興行すれば良い」という正力松太郎の発送は否定され、甲子園球場を建設した阪神の方が先を読んでいたということとなる。
産業構造の変化という点で言えば、ニュースが紙媒体からネットに移行している現在、部数減と広告収入減が言われている新聞社がこの先どうなるのかと思うし、最近のオーナー企業の交代で言えばプロ野球というコンテンツを有効活用することなく、経営赤字を垂れ流すだけだったTBSと企業PRという明確な目的を持ったDeNAへの身売りも当然の結果と思えるし、企業として明確な目的と戦略無しに多額な資金を要するプロ野球球団を保有するのは止めておいた方が良い。
2023/07/12 20:00
裏話
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
裏話というと、失礼かもですが、なんだかそんな感じのお話がたくさんでした。かつては、鉄道会社が、プロ野球球団を所持して、色々と変遷のあと、今は、……みたいなお話です。プロ野球大好きな方は、もちろん、あまり関心の無い方にもオススメ