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ブラック・ブレット
著者 著者:神崎 紫電 , イラスト:鵜飼 沙樹
ウィルス性の寄生生物との戦いに敗北した近未来。人類は狭い国土に追いやられ、絶望とともに生きていた。そんな暗闇に閉ざされた世界で──。 東京エリアに住む少年・蓮太郎は、対ガストレアのスペシャリスト 「民警」 として、相棒の幼女・延珠とともに、日々、危険な任務を遂行していた。二人はある日、東京を壊滅させかねない極秘任務を受けるのだが……。 スリリングな近未来ヒロイック・アクション、ここに開幕!
ブラック・ブレット7 世界変革の銃弾
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ブラック・ブレット 黒の銃弾 1 神を目指した者たち
2011/12/21 13:34
人類が敗北した世界
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
あるとき、地球上にガストレア・ウィルスが蔓延した。このウィルスは血液感染により広がり、爆発的な速さで感染体のDNA情報を書き換え、その侵食率が50%を超えると形象崩壊と呼ばれる、見た目の変化を起こす。他の生物、例えば昆虫などの情報を取り込み、ウィルスが物理的サイズの変化に伴う強度の改変などを行って、要は怪物になるのだ。
そして2021年、人類はガストレアに敗北した。残された人類は、ガストレアが嫌う金属バラニウムで作った巨大なモノリスで都市を囲い、その中でのみ生きていくことが出来た。しかし当然、格差が生まれ、不均衡が生じる。日本にはそのエリアが、関東平野を含めて5つある。
そんな世界にあって最後の希望は、ガストレアと戦う民警の存在だ。彼らはイニシエーターとプロモーターという2人組から構成されていて、バラニウム製などの武器を作って、モノリス内に進入したガストレアと戦う。そしてこのうちイニシエーターは、胎児のときにガストレア・ウィルスに感染し、ゆっくりとその進行が進む、10歳以下の子どもたちである…。
この物語は、東京エリアに君臨する政治家・天童家を出奔した、天童木更と里見蓮太郎、そして里見のイニシエイターの藍原延珠たちの物語だ。
近未来において人類が敗北した世界での再起をかけた戦いの物語。人類以外に圧倒的に強大な敵がいるにもかかわらず、人類内でそれぞれの思惑により対立や抗争が起きているところが憐れ。
そしてこの危機を救う可能性があるのが、人類のエゴが生み出した存在というところが、またもや人間の一筋縄でいかない部分を象徴していると言えるだろう。
ブラック・ブレット 黒の銃弾 5 逃亡犯、里見蓮太郎
2013/08/26 16:11
急展開!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリッピー - この投稿者のレビュー一覧を見る
前回では英雄になった里見くんでしたが、今回では殺人犯として警察に追われることになります。
また、木更との関係についても少し動きがありました。
一年ぶりにの新刊ですがとても面白かったです。
ブラック・ブレット 黒の銃弾 2 VS神算鬼謀の狙撃兵
2015/08/24 10:05
利用され蔑まれる子供たち
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ガストレア・ウィルスにより、人類の人口は9割近くを失った。感染したものの多くはガストレアという新生物に変貌し、それを免れたものもガストレアに襲われ殺されたのだ。しかし、ガストレアが嫌う金属バラニウムと、ガストレア・ウィルスの進行が遅延しているイニシエーターと呼ばれる子供たち、そしてそれを導くプロモーターにより組織される民警が、かろうじて都市の形成を許していた。
そんな都市のひとつ、東京エリアの元首・聖天子の護衛の仕事を任された天童民間警備会社のプロモーター・里見蓮太郎とイニシエーター・藍原延珠だったが、超長距離狙撃により、危うく聖天子を暗殺されそうになってしまう。その犯人は、蓮太郎が偶然であった少女、ティナ・スプラウトだった。
イニシエーターとして利用しながらも、彼らを赤目と蔑み、人類とは別の存在として差別する多くの人間たちと、ごく少数のそうは考えない人間たちの政治対立。戦後の自分の立場を強化するために、人類同士で起きる対立。圧倒的な力を持つばかりに、その倫理観や幸せを捻じ曲げられて育つ、イニシエーターの子供たち。
そんな大きな世界構造・環境構造に起因する対立とは全く別に、非常に卑近な、天童木更と肉親の対立、蓮太郎を巡る司馬未織との女の対立など、過酷な時代にあっても身近な幸せを求める、あるいは失ったそれを取り返そうとする人間たちの悲喜交々が描かれる。
前巻で状況説明や人物紹介を終えたため、それらの設定に基づく、それぞれの立場の人間のあり方がよく見えるようになった。その意味で、今巻は前巻よりも面白いと思う。