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12件
神様のメモ帳
著者 著者:杉井 光 , イラスト:岸田 メル
路地裏に吹き溜まるニートたちを統べる美少女・アリスは、ニート探偵。 高校1年生の僕・藤島ナルミと同級生の篠崎彩夏を巻き込んだ怪事件―― 都市を蝕む凶悪ドラッグ “エンジェル・フィックス” の謎を、自室にひきこもったアリスが暴いていく。 そして事件解決へ向け、普段は不真面目なニートたちが動き出す!
神様のメモ帳9
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神様のメモ帳 1
2013/06/18 14:43
it's the only neet thing to do.
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポトフってどんな豆腐? - この投稿者のレビュー一覧を見る
一言でいうと"巧い"。これがまず出てくる。練達な文章の数々。かつて引きこもりのニートだった著者の文章力とは思えない。とにかく肩の力を落として読んでても読みやすい。スイスイすいすい…どんどん読める。というか引き込まれる。いや魅き込まれる。
個人的には3巻までまとめて読んで貰いたい。4巻は短編集なので一応の区切りがつくのが3巻なのだ。ラノベというとテンプレートな設定・登場人物・読みづらい文章。そして忘れてならない気持ち悪いほどに女子の好意に疎い主人公のガキ。本作にはどれも要素が入っているのに限りなく臭みがなく処理されているので"一般人"にも薦めやすい。ただ"ニート探偵"という奇妙な肩書きを持つ痩躯の少女を受け入れられるかが本作の壁ではないかと思う。そこは純粋に頭を柔軟にして受け止めていただけると嬉しい。
ある意味で読み手を選ぶがそれを差し引いても★5つは揺るがない。
表題のit's the only neet thing to do.はとある有名な作品の台詞をもじったもので後々大きな意味を持つ。こちらの作品も出来れば手にとってもらいたい。決して後悔はしない。本を読んで感動する。それだけで人生は豊かになるのだ。
神様のメモ帳 5
2010/05/08 14:54
大人率が高めの短編集
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集なので普段はメインに来ないような人をメインに、ということなのかもしれないが、エピソードの中心にいる人の大人率が高め。ミンさんや彼女の同級生二人(酒屋&ゲームセンター)に巻き起こる事件への、ニート探偵の活躍が描かれる。
ミンさんの狙われたさらしとはなまるの新作スープの関係にまつわるエピソード「はなまるスープ顛末」、近所の酒屋さんで起きた異物混入事件とその背景にある人の想いを描く「探偵の愛した博士」、四代目不在の平坂組にかかってきた脅迫電話から始まる「大バカ任侠入門編」の既出短編3本とと書下ろしが1本。
この書下ろしが、アーケード型ネットワーク対戦野球ゲームを巡って起きるヤクザとのリアル野球対戦に関する話なのだけれど、最後にきちんとネットワークゲームに話がつながっておさまるところがきれいだった。あと、過去に登場したヒロインもちょこっと登場するしね。
新聞に載るような大きな事件ばかりではないけれど、そこに関わる人たちにとっては人生を左右するような大きな事件であって、その助けを求める小さな声に応えるところにニート探偵の価値がある。
どうしようもない状況だと思っても諦めずに探せば、ギリギリ切り抜けらられる細い道はどこかに残されているのかもしれないと思えるストーリーだ。
神様のメモ帳 4
2009/07/18 16:02
自分ひとりなら何とか生きられる。でも、誰かの人生まで背負って生きるのは楽じゃない。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分から見ると明らかに苦境に陥っている他人がいる。それを助けるのはやさしさである、というのは常に成立する命題ではない。それが対等(だと思っている)関係であればなおさらだ。なぜなら、相手にだってプライドはあり、苦境から抜け出すことがプライドを失うことより価値があるかどうかは本人にしか分からないことだから。
ゆえに、相手が助けを求めるまで助けない、というのは十分に納得のいくルール。しかし、このルールは頑なに守り続けなければならないものではない。だって、相手に確かめても良いのだから。助けようか?って。
ニート軍団にありながら実は全然ニートではない、雛村壮一郎と平坂組のお話。インディーズバンドのプロモーションという仕事に駆り出された藤島鳴海が出会う、過去の記憶。テツの時と同じように、誰かのために作られた真実が誤解を生み、結果として絆が壊れそうになる。
鳴海は自分の生き抜ける社会の隙間を見つけた感がある。壮の事業も含めて、現実の写像のように見えなくもない。だから今回は、初めから最後まで、鳴海が頑張って働いています。…ニートじゃねぇ。