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1件
あいまいな日本の私
著者 大江健三郎(著)
「私は渡辺一夫のユマニスムの弟子として,小説家である自分の仕事が,言葉によって表現する者と,その受容者とを,個人の,また時代の痛苦からともに恢復させ,それぞれの魂の傷を癒すものとなることをねがっています.」――一九九四年ノーベル文学賞受賞記念講演ほか,全九篇の講演に語られた,深く暖かい思索の原点と現在.
あいまいな日本の私
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2025/04/01 02:45
日本人2人目の栄光
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あいまい」スピーチが放った、聖なる光に目から鱗です。人間失格の1948年を越える、日本文学における新しい聖書として今も輝いてます。
あいまいな日本の私
2003/04/05 20:36
あいまいな日本の私
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:五十棲達彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は1994年度のノーベル文学賞受賞記念講演「あいまいな日本の私」を含む講演収録である。大江健三郎以外の日本人のノーベル文学賞者は川端康成であるが、川端はその授賞式で「美しい日本の私」という講演をした。大江はこのタイトルのもつ神秘主義を鋭く指摘した上で、明治維新から引き継がれてきた「あいまいさ」こそが日本人の精神構造における本質であるとしている。大江健三郎は戦後文学の旗手として時代精神をリードしつづけてきた。大江文学の魅力は個人的な具体性からテーマ性へと止揚しているところにある。この「あいまいな日本の私」を読むことで、はじめて大江が追求してきた日本人の精神性とその責任性について知るとこができるが、それ以上にこの題名の「あいまいな〜」が世界から見られている日本と日本人を言い表す一番的確な文学的表現であるといえるのではないか。一読するには十分過ぎる内容である。
あいまいな日本の私
2001/03/06 14:44
ノーベル賞受賞講演
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大江健三郎氏のノーベル賞受賞講演をまとめたもの。題名は同じく日本人としてはじめてノーベル賞を受賞した川端康成氏の受賞講演「美しい日本の私」を意識したものだと思います。
大江氏はこのほんのなかで少年期に読んだ心底魅惑された二冊の書物があった、それは「ハックルベリー・フィンの冒険」と「ニルス・ホーゲルンソンの不思議な旅」だといっています。