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4件
ミステリーの人間学
著者 廣野由美子
読者を謎解きに導く巧みなプロット.犯罪にいたる人間の内面への緻密な洞察.19世紀前半ごろ誕生した探偵小説は,文学に共通する「人間を描く」というテーマに鋭く迫る試みでもある.ディケンズ,コリンズ,ドイル,クリスティーなど,英国の代表的なミステリー作品を取り上げ,探偵小説の系譜,作品の魅力などを読み解く.
ミステリーの人間学
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ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む
2023/10/31 15:10
「ミステリー」の定義って何?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ミステリー」と「探偵小説」「推理小説」の違いなんて考えたことはなかったが、
“探偵”なるものが出現して、区別しやすくなったのかな?
人間観察のファクターが、重要なのがよくわかってきた。
「好奇心と想像力、集中力、細部を観察する力」が、名探偵に共通する資質らしい。
シャーロック・ホームズ、ブラウン神父、エルキュール・ポアロの違いも解り易い。
探偵小説の誕生
心の闇を探る、被害者はこうしてつくられる
世界一有名な探偵の登場、トリックと人間性
暴かれるのは誰か、英国ミステリーのその後
読んだことのない小説の解説では、登場人物の名前がわかりにくくて困った。
ミステリーの人間学 英国古典探偵小説を読む
2009/05/28 23:07
「人間性の探究」という通奏低音が聴こえる英国ミステリー考
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人間性の探究」という通奏低音が、英国ミステリーの核として響き、深い所まで浸透していることを論じた一冊。チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズ、アーサー・コナン・ドイル、G・K・チェスタトン、アガサ・クリスティーの作品を取り上げながら、伝統的な英国探偵小説の底流をなしているのが「人間性の探究」にある、ということを見ていくのですね。
作品に占めるウエイトの違いはあるにせよ、この五人の作家が描きたかったテーマ、最重要の関心事として、人間の心の秘密にスポットライトを当て、その謎を探ろうとする「人間性の探究」があったこと。そのことが、個々の作品への丁寧な検証によって、分かりやすく文章化されていたところ。「なるほど」という説得力があったところ。そこに好感を持ちました。
<探偵はあたかも不死身であるかのごとく、あらゆる危険を脱することができる。というよりも、そういう設定にしなければ、そもそも話が成り立たないのだ。>(p.13)、<ポーの探偵小説の特色は、人間をまったく非感傷的に扱っているということである。>(p.24)、<英国ミステリーの「人間学」への第一歩は、人間の心の謎に焦点を当てたディケンズによって、踏み出されたのである。>(p.72)といった的確な考察のなかでも、アガサ・クリスティーの十一日間の失踪事件に著者が思いを致す次の件りが、特に印象に残ります。
<(前略)クリスティー自身が心に深い傷を負ったことにより、人間性への洞察が深化したこと、それが以後の彼女の作品にも反映しているということである。独創的なトリックの創出が続けられる一方で、クリスティーの探偵小説はさまざまな人間の側面を描きつつ広がり深まっていった。>(p.175)
本書ではまた、著者の論旨をより明確にするために、探偵小説のネタをばらしているものがあります。エドガー・アラン・ポー、ディケンズ、コリンズ、コナン・ドイル、チェスタトン、クリスティー、各作家の代表的なミステリー作品のネタがばらしてありますので、未読の方は注意が必要でしょう。
2025/01/22 22:32
狭義のミステリーに留まらず
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般的にイメージされる狭義のミステリーに留まらずチャールズ・ディケンズやウィルキー・コリンズなどを含む19世紀イギリス小説の古典を通してミステリーを考察していく。