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マイケル・K
著者 J.M.クッツェー(作) , くぼたのぞみ(訳)
内戦下の南アフリカ.手押し車に病気の母親を乗せて,騒乱のケープタウンから内陸の農場をめざすマイケル.内戦の火の粉が飛びかう荒野をひたすら歩きつづける彼は,大地との交感に日々を過ごし,キャンプに収容されても逃走する.・・・・・・国家の運命に巻き込まれながら,精神の自由を求めて放浪する一個の人間のすがたを描く,ノーベル賞作家の代表作.
マイケル・K
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マイケル・K
2021/04/13 22:37
南アの白人政権が最後の悪あがきをしていたころのお話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語に出てくる北部の戦争というのは、南アが軍事介入したにもかかわらずアンゴラ、モザンビーク、ローデシア(現ジンバブエ)、ナミビアといった諸国の白人政権が次々に崩壊した戦争のことをさす、主人公マイケルKがどんな肌の色を持った人なのか、そのことが当時の南アではとても意味を持っていた、は直接的には書かれていない。それがわかるのは訳者のくぼたのぞみ氏によると「CM」という記述だけだという、C=カラードM=男性、カラードというのは混血やアジア系を指す。1980年代のアパルトヘイトが風前の灯となっていた南アの状況を理解できていないとこの小説で作者が語ろうとしていたことの数%も理解できないだろうと思って私はこの本を読む前に南アの歴史について予習した、それにしてもあの時代にこの小説を発表した作者の勇気に敬服する