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スピノザ エチカ
スピノザは『エチカ』の中に自己の哲学思想のすべてを結集させた.典型的な汎神論と決定論のうえに立って万象を永遠の相のもとに眺め,人間の行動と感情を嘆かず笑わず嘲らず,ただひたすら理解しようと努めた.ドイツ観念論体系成立のうえに大きな役割を演じ,また唯物論的世界観のすぐれた先駆的思想でもある.
スピノザ エチカ 下
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エチカ 倫理学 改版 上
2003/06/17 23:24
生きることの眩暈
15人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:バナール - この投稿者のレビュー一覧を見る
意あって力及ばず、というのがそのころの僕の実態であったと思う。
たぶん同じような境遇にいた僕の友人たちも似たようなものだったとそう思いたい。
当時、村上春樹の新刊は一大ブームを巻き起こし、買ってすぐに読んだ記憶がある。『蛍』が本当に好きだったので、一度目はあっという間に読み終えた。
僕の通うキャンパスには影も形も残っていなかったテイストに酔いしれたものだ。めずらしく続けてもう一度読もうという気になり、再読したあとに、それはたぶん夜遅い時間だと思うが、これはやばいと声が出ていた。
なにがやばいのかは往時も今も見当はつかないが、上下二巻の赤表紙と緑表紙をごみ箱に放り込んだ覚えがある。
(僕は高校生ぐらいから本に対する執着(愛着)心といったものがあまりなく、なんのためらいもなくもういいやと思った本はすべて捨てていた。必要ならばもう一回買えばいいと金もないのにいまもそう思っている。たぶん、悪癖なのだろう。)
村上の小説と決別し何を勢い込んだのか僕は岩波文庫の哲学書上下二巻に取り組み始めた。
『ノルウェイの森』から『エチカ』への転回はそのようにして行われた。
ノートをとりながら書物を読んだのはほとんどそれが初めてだったと思う。
極めて思弁的でありながら途中で放り出したくなるような箇所はひとつもなかった。けれどもそれは読解が容易に進行するということを意味はしない。
少しづつ本当にゆっくりと読み進めた。意味がわからないところは意味がわかるまで、どうしても分からないところは、分からないという感じが僕のあたまに馴染むまで立ち止まった。
そのようにしてようやく読み終わったときのノートも感慨も僕の元をすでに去ってしまったが、やばいというあの時の感覚は僕の邪魔をしないぐらいにまで小さくしぼんでいた。
ある種のリハビリが僕の中でなされたのだろう。
それがベストの選択であったかどうかの自信はもちろんないが間違いではなかったと思う。100%の恋愛小説から逃れるためには幾何学美を備えた倫理の書が必要だったのである。
スピノザは言う。
なにかから遁れるためには、そのなにかを考え続けるしかない。
そしてそのような時にだけ、ひとはそのなにかから遁れることができる、と。
僕は本当のところ“なに”から逃れようとしていたのだろうか。
小説は人を怯えさせるし、哲学も人を不安にする。小説は人を助けるし、哲学も人を救う。けれども小説も哲学もない世界で人は生きることも死ぬこともできはしないのだ。
エチカ 倫理学 改版 上
2020/05/06 10:40
17世紀のオランダの哲学者スピノザによるユークリッド幾何学の形式に基づき神、人間の精神について定義と公理から定理を導き演繹的に論証しようとした書です!
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、17世紀のオランダの哲学者バールーフ・デ・スピノザによって、もともとはラテン語で書かれた書です。同書は、ユークリッド幾何学の形式に基づき神、人間の精神について定義と公理から定理を導き演繹的に論証しようとしたもので、副題も含めた正式名称は、『エチカ - 幾何学的秩序に従って論証された』となっています。原書は、「第1部 神について」、「第2部 精神の本性と起源について」、「第3部 感情の起源と本性について」、「第4部 人間の屈従あるいは感情の力について」、「第5部 知性の力あるいは人間の自由について」という5部構成になっており、形而上学、心理学、認識論、感情論、倫理学の内容がそれぞれに配列されています。ただし、中心的な主題は倫理です。岩波文庫では、上下2巻シリーズで刊行されており、同書はその上巻ですが、ぜひ、下巻も合わせてお読みください。
エチカ 倫理学 改版 下
2020/05/04 08:12
17世紀のオランダの哲学者スピノザの代表的著書です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、17世紀のオランダの哲学者、スピノザの代表的な著書で、ユークリッド幾何学の形式に基づき神、人間の精神について定義と公理から定理を導き演繹的に論証しようと試みた書です。岩波文庫からは上下2巻で刊行されており、同書はその下巻です。実は、著者であるスピノザはユダヤ教を破門され、スコラ哲学と近代哲学を研究した人物で、『エチカ』の全体構成は、「第1部 神について」、「第2部 精神の本性と起源について」、「第3部 感情の起源と本性について」、「第4部 人間の屈従あるいは感情の力について」、「第5部 知性の力あるいは人間の自由について」となっています。同書下巻は、上巻に引き続き、第4部から始まっています。

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