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人間にとって健康とは何か
著者 斎藤環
「病気の原因を探る」理論は時代遅れ、ヒトラーは凄まじく「健康度」の高い人物、「幸福の法則」はほんとうに存在する……現代医療の最先端を俯瞰しながら、「健康」と「幸福」に潜む逆説を鮮やかに読み解く! 近年、医学界では健康についての考え方に大転換が起きている。病気の要因を除去する「疾病生成論」から、健康の要因を支援・強化する「健康生成論」へ。そもそも、そこで人間が「健康」であるとは、いったいどういうことなのか? 本書では、ひきこもり問題の第一人者である斎藤氏が、SOC(首尾一貫感覚)、レジリエンスなど最先端の概念を縦軸に、ヒトラー、ヤンキー、橋下徹、旧日本軍など多彩な例を横軸にして、みたこともない斬新な「健康論」を展開していく。さらに著者は問う。「幸福」は「健康」と深く関係するが、なぜ人は「世界一幸福だ」とはいっても「世界一健康だ」とはいわないのか。その背後に潜む「健康と幸福の逆説」が解けたとき、誰もが驚愕することだろう。気鋭の精神科医が、「健康」と「幸福」の常識を一変させる。内容例:なぜ「心が折れる」という表現は流行したのか/SOC、レジリエンス……「心の健康」を示す尺度とは/SOCの高い人には、よくも悪くも「鈍感さ」がある/ヒトラー、アイヒマンに宿る「健康な狂気」とは/ストーリーを書き換えることなく成功するヤンキーたち/「多様性」の担保が危機的状況の「同期」を防ぐ/「弱いきずな」が地域のレジリエンスを高める/家族システムは単純な因果律では説明できない/幸福をめぐる格言から浮かび上がる六つの分類/幸福の才能とは「あらゆる偶然を必然と感ずる」こと/「フロー体験」と依存症、中毒は区別すべし/仏教こそエビデンスに基づく真の「幸福の科学」?……ほか
人間にとって健康とは何か
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人間にとって健康とは何か
2019/07/25 09:02
SOCとかどうなんだろうね
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投稿者:Yo - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神科医である著者が、これまでラカン的な「病者」にこだわりすぎていたという反省から、「何が健康か」について検討した本です。
健康の定義というとWHOが有名ですが、これからは高齢化(病気をもつ人が増える)+少子化(病気になっても人手が足りないから病院にかかれない)=病気をもったまま地域で暮らす、ということになるのは間違いないので、健康の考え方にもパラダイムシフトが起こるでしょう。今後、健康は病気と対立する概念ではなくなり、自己実現の達成度とか満足度とか、適応力とか有意味感とか、そういう要素が重要になるのかもしれないと思いました。客観的な科学的判断だけでなく、主観や社会的合意の領域が拡大するとも言えます。
正直、雑誌連載をそのまま載せただけのようで、内容はまとまりに欠けますが、これからの健康を考えるのに興味深い一冊です。
人間にとって健康とは何か
2018/07/14 10:59
心の健康、幸福など様々な話題
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまがわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『従来の医学は「疾病生成論」、現代医学は「健康生成論」』。
「心の健康」を示す尺度としての、SOC、レジリエンス。
病跡学から見た歴史上の有名人。
日本のヤンキー文化論、組織論、リーダー論、幸福論、ポジティブ心理学、マインドフルネス…。
などなど、様々な話題に言及されている。
本書は、「健康は生成する」というタイトルで、雑誌『Voice』に掲載された連載を、
加筆修正して一冊にまとめたものだそうだ。
それぞれの話題について、丁寧に論じられているものもあれば、
分量的にそうでもないものもあるので、読者が興味を持った話題について、
本書内で紹介されている本など、別の本に当たってみるのも良いのかもしれない。
もちろん本書だけでも、面白い。
人間にとって健康とは何か
2016/11/24 20:31
枝葉末節多し、論旨は通っている?
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直、分かりにくかった。
理解力の問題と言われればそれまでだが、正直、議論はそんなに緻密ではないように思える。閑話休題の多さに現れるように、ふわふわとあちこち触手を伸ばす議論は、言葉の定義を曖昧にしたまま展開して結論付けてくる。そんな結論がこじつけに思えてしまう。なんていうか、言われてみればそうかもしれないけど・・・物を見る視点としては持っていてもいいか・・・というのが読後感。すみませんね。
健康と倫理のパラドックスは、まあ分からないでもない。
毎日定時に変える医療従事者、オフ優先で自己研鑚しない医療従事者。
確かに健康度は高そう、でもそんな人たちに見てもらいたくない。
もちろん相手のことを思うと、そこそこの腕で過労死せずに長く働ける人の方がいいけど、健康に重大な支障をきたしたとき、そりゃあベストの医療を求めるのが人情。
この辺が、医療従事者に自己犠牲を強いる隙なのか。
医療従事者にもそのへんの苦悩があって、自己犠牲が美談になりやすい。難しいね。