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AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者 新井紀子
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた! これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。
AI vs. 教科書が読めない子どもたち
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2018/05/02 04:26
AIというものには何ができて何ができないか、人間との違いは何か。
25人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新井先生のような研究者さんが、このような形で最新の研究成果と知見を広くシェアしてくださることはとてもありがたいです。自分でも以前高校生と接して「何だ、これは」と思ったことがあるのですが、新井先生の大規模な研究・調査でわかったことと符合しています。
「~以外の…(リンゴ以外の果物、のような)」の「以外の」が読めていないとしか考えられない、というくだりには、ぞっとしながら「ああやっぱり」と思いました。そして、そのことについて大人たちの一部が「不必要に難しい文章を読ませて学生を混乱させている」的に反応するということには、ひたすらぞっとしました。まずは大人が、人の話、聞けよ……ということですよね。「教科書が読めない子供たち」は、大人の鏡です。文科省が数学の「行列」をどう扱っているのかというところでは、文字通り、目を疑いました(私が読み間違えているのだと思いました)。
また、AIというものには何ができて何ができないか、それはなぜなのかという説明が、これまで読んだAI関連の書籍の中で最もはっきりしていて、わかりやすかったです。根拠のない幻想を振りまく夢物語ではなく、こういう冷静な説明が、もっともっと広く読まれるようになるべきです。
その上で「人間には何ができるのか」を建設的に考えていかねばならない。実際、ワープロやパソコンの時代になって「漢字なんか書けなくったっていい」という極論がさほど極論に見えなくなっている現実にも、人間は冷静に対処できています。そういう意味で、希望は持てる本です。が、ぼーっとしていては希望すら持てない。そういうことではないでしょうか。
電子書籍で購入。紙の本での感覚でマーカー引いてメモ(コメント)書いてたら、hontoのリーダーでマーカーの数の上限を超えてしまいました(マーカーの上限なんて、あるんですね……それじゃ基本、小説のように読み流すものにしか使えないです)。
AI vs.教科書が読めない子どもたち
2018/05/29 11:20
AIは意味が理解できない。求められるのは意味を理解する人材。
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Hdylw? - この投稿者のレビュー一覧を見る
・AI研究は今どこまで進んでいるのか?
・具体的にAIにできることとできないことは何か?
・「AIにできない仕事」が多くの人間にはできるのか?
・教科書が読めない子どもたちとはどういうこと?
など、思わず誰かに「ねえ、あの本読んだ?」と話したくなるような話題がたくさんつまった一冊でした。
【人間の仕事の多くがAIに代替される社会はすぐそこに迫っている】
牛乳配達屋、切符を切る駅員、タイピスト。これまでも、新しい技術が人々の仕事を奪ってきましたが、それにより失われた仕事はとても「限定された」ものだったといいます。けれども、今回のAIの登場による変化の数々は、かつてのものとは質的な違いがあり、日本でも近い将来、働く人々の約半数が、少なくとも今の仕事を失ってしまう危機に晒されると著者の新井紀子さんは語っています。
新井さんは、2011年から「ロボットは東大に入れるか」というAIプロジェクトを主導されている数学者の方。(TEDでも分かりやすく研究内容を紹介されています)さらに、このプロジェクトと並行して、新井さんは日本人の読解力についての大がかりな調査・分析を実施します。そこで明らかになった「まさか」と思うような子どもたちの読解力の実態とは・・・
【文章を読むのは苦ではないのに、中身はほとんど理解できていない子どもたち】
・中学校を卒業する段階で、約3割が表層的な読解ができない
・高校生の半数以上が、教科書の記述の意味が理解できていない
全国2万5000人の基礎的読解力を調査した結果、こんな驚きの実態が見えてきたというのです。
【AIは意味が理解できない。求められるのは意味を理解する人材】
何が人の読解力を左右するのでしょうか。ここが一番読者として気になる部分ですが、残念ながら調査の結果、普段の読書習慣も学習習慣も、読解力には何の影響も見られなかったそうです。つまり、今のところ「こうすれば読解力は上がる」という明確な手立ては無いとのこと(人によりけりですよね)
しかし、読解力を上げる方法は無い、というわけではなく、埼玉県戸田市の学校では、教科書に書かれた文章を説明するのに、例えば算数なら図やグラフも組み合わせて理解を深められるようにするなどの授業改善に取り組んでいるようです。
なお、この本の印税は、2018年度からRSTを提供する社団法人「教育のための科学研究所」に全額寄付されるとのこと。それを原資として、「中学1年生全員にRSTを無償で提供し、読解の偏りや不足を科学的に診断することで、中学卒業までに全員が教科書を読めるようにして卒業させること」が新井さんの今目指している未来、と書かれています。
2018/05/13 23:53
ドラえもんはこない
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じぇい - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読むまで近い未来にはドラえもんとタチコマがやってきて人間は楽ができると思っていました。
しかし、どうやら人間が楽できる社会は来ないようで…?
これから人工知能が発達していく中で私達人間がどうあるべきなのか、その役割を考えるためになる本です。