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グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす
著者 飯田 洋介(著)
日米を巻き込んだ「もうひとつの独仏戦争」
プロイセンがフランスを終始圧倒して勝利した"普仏戦争"の裏で、ビスマルクは米国にアプローチし、国際法に頼ろうとしていた――なぜか? ビスマルクによる米国との交渉、国際社会への訴えから、日本・中国での停戦工作までを地球規模で描く、知られざる近代史!
〈目次〉
第一章 普仏対立へ ――ルクセンブルクをめぐる戦争の危機
第二章 米国への打診
第三章 独仏開戦とフランス海軍への対応
第四章 北ドイツ沿岸の戦況
第五章 極東への影響
第六章 パリ宣言への幻滅とフランスへの反撃
終章 海からみたビスマルク外交
グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす
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グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす
2021/05/24 11:13
普仏戦争を海の視点から紐解く新鮮さ
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
普仏戦争はパリ陥落など陸上の戦いでブロシャ(独軍)が勝利するが、海上戦役では圧倒的にフランス海軍が有力であった。このためバルト海、地中海、南米、極東、日本に至るまでドイツ商船が鹵獲されたり出港できない事態が頻発した。これに対処したビスマルクの外交上の苦心や明治政府寺島外務卿の米英公使を頼っての活動等が広く史料を渉猟して描かれている。最近こうした近代史をグローバルヒストリーとして捉え直す著作が出てきているが、こうした篤学者の著作を読むのは面白い。
グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす
2021/10/13 13:51
グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
独仏戦争(従来は普仏戦争と呼ばれていたが、南ドイツ諸邦も参戦しているため)においては、陸上戦力ではドイツが圧倒していたが、海軍の方はフランス軍が戦力で圧倒し、ドイツ軍は少ない戦力で河口や港湾を守るしかなかった。そこでビスマルクは国際法や国際世論に訴えかけ、また戦前にはアメリカでの軍艦調達など様々な方法でフランス海軍に対抗しようとした。しかしその過程はビスマルクは国際法に失望していく過程と重なり、著者は様々な資料を基に論じている。
意外だったのは、東アジアに駐留する独仏海軍の艦長、現地の大使レベルでは停戦を望んでいたということ。独仏戦争は世界中に関係しており、まさしくグローバル・ヒストリーにふさわしいと思う。
グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす
2021/05/18 16:19
鉄血宰相の真意
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mt - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツの完勝という印象の強い普仏戦争(著者は独仏戦争と呼称)を、「海」からの視点でとらえることで、新しい側面を見せてくれる。陸では負けなしでも、海では弱小のドイツ軍という現実を前に、ビスマルクが得意の外交で悪戦苦闘する様子は面白い。国際法を武器にフランス海軍の通商破壊戦を止めようと目論むも、海軍大国イギリスは動かず、列強諸国も冷ややかな反応といいところは無し。後年、鉄血宰相が岩倉使節団に語った「強国は自国に有利な時だけ国際法を使い、それ以外は武力に頼る」の真意が、奈辺にあったのかがよくわかるところである。