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ポアロ登場
著者 アガサ・クリスティー (著) , 真崎義博 (訳)
有名な女優のもとにダイヤの盗難予告が届いた。依頼を受けたポアロは、ダイヤにまつわる因縁話の裏にひそむ秘密を、みごとに看破する――「〈西部の星〉盗難事件」をはじめ、ポアロが手がけた初期の事件14篇を収録。彼のキャラクターの形成過程を知るうえでも興味深い、女史の処女短篇集!
ポアロ登場
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ポアロ登場
2021/03/31 15:26
アガサ・クリスティー初の短編集は自信のかたまり
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アガサ・クリスティーの作品に欠かせない名探偵といえば、「灰色の脳細胞」を駆使するエルキュール・ポアロ。
ポアロが初登場したのは、1920年に発表された長編『スタイルズ荘の怪事件』で、それから4年後の1924年に刊行された初の短編集が本作である。
この短編集には14篇の作品が収められていて、いずれもポアロとその相棒であるヘイスティングズが登場する。
いずれも文庫本にして40ページほどの短さだから、いかにコンパクトに事件とポアロによる解決がまとめられているかわかる。
もちろん読者としてはいささか物足りなさを感じるだろうが、ポアロが登場してまだ日が浅いことを考慮すれば、ポアロがどういう人物なのかわかるための一冊といってもいい。
端的にいえば、自負心が強く、ちょっと友だちにするには躊躇いそうだ。
だから、語り部でもあるヘイスティングズがよく耐えていると思わないでもない。
いくら傍で難解な事件の謎を解くのを見られたとしても、だ。
そもそもこの二人の出会いはあまり語られていないようで、最初の長編の際にスタイルズ荘のある村の郵便局前で偶然に再会したという。
14篇の作品ではポアロの名解決だけでなく、犯人探しに失敗した事件も描かれている。(「チョコレートの箱」)
ポアロがたどりついた犯人が間違っていることを真犯人に教えてもらうという結末だが、これなどはむしろアガサ・クリスティーが「どう私の謎のかけかたは」と自慢しているような気がする。
つまり、ポアロとアガサはよく似た性格だというところだろう。
ポアロ登場
2017/05/17 22:41
ポワロとヘイスティングズの名コンビ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポワロの短編集。どの話にもヘイスティングズが出ていて珍しさを感じました。ヘイスティングズは長編ではほとんど出てきませんからね。「チョコレートの箱」が一番印象に残りました。この話の最後に、ポワロがヘイスティングズに頼んだことは、ホームズの「黄色い顔」のラストのオマージュですね。
2015/09/27 23:53
14編を収めたポアロの短編集
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
日米のスパイ合戦がテーマだったり、世界最大の客船として名を馳せたオリンピック号が登場したり、ブームだった古代エジプト文明の王墓発掘が取り上げられたりと、作者が活躍した時代の英国の様相が描写されていて面白い。事件や推理自体は短編ということもあって伏線が少なかったりするけど、よく考えられたものだと思う。個人的には短編でホームズものに軍配が上がる気がする(実際ホームズ作品に影響を受けたのではないかと感じる短編も収録されている)。