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これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学
著者 マイケル・サンデル (著) , 鬼澤忍 (訳)
日本中が熱狂したベストセラーが紙版の文庫化に合わせて大幅値下げ。
さらに世界初公開、マイケル・サンデル氏の次作『それをお金で買いますか』より「序章」を先行収録いたしました。
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。
これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学
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これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学
2016/05/24 07:52
とても面白く、考えさせられる一冊です!
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ハーバード白熱教室』として2010年にNHKにて放映されたので、内容についてはご存知の方も多いと思います。たとえば、1人を殺せば、5人が助かるという状況があった場合、私たちは1人を殺すべきか?金持ちから高額の税金をとって、貧者に配分するというのはどうか?など、道徳的に、倫理的に考えさせられる課題が突き付けられ、私たちはその課題の前に立ち止まってしまいます。本書は、こうした難しい課題や問題に対して、明快に解答を与えていきます。テレビでご覧になった方も、活字でもう一度、読みなおされることをお勧めします。
これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学
2016/02/12 14:51
「正義」をめぐる哲学の問題を紐解く!
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kybeatle - この投稿者のレビュー一覧を見る
「1人を殺せば5人が助かる。あなたはその1人を殺すべきか?」正解のない究極の難問に挑み続けるハーバード大学の名講師マイケル・サンデル教授の問いに取り組むことで見えてくる、よりよい社会の姿とは?
NHK『ハーバード白熱教室』とともに社会現象を巻き起こした大ベストセラーが待望の文庫化!!
読めば読むほどその面白さに引き込まれていきます!
これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学
2017/01/11 21:49
考え抜く力を育てる一冊。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
マイケル・サンデル教授の専門は政治哲学で、ハーバード大学で
教えるようになって三十年以上です。
正義と銘打った講義を設けたら大変人気が出て、これまでに
14,000人以上の人が履修しました。この一冊は、長年にわたる
講義を元に構築されています。
哲学ですから、書かれたというより積みあがっている感じがします。
例示も具体的で、カントやアリストテレスなど、誰もが知っている
思想家からの引用も多いです。
名前は聞いたことはあるけれど、中身はよく知らないという人が
多いのではないでしょうか。
大学の講義がベースなので平易とは言えない部分もありますが、
素人でも手に取れるようかみ砕かれています。
多面的に議論を展開しているので、哲学の入門書としても
最適です。
第一章は「正しいことをする」
ここから議論が始まります。
メキシコ湾で発生したハリケーンの被害により、電気が止まり、
屋根の上に木々が倒れかかり、緊急避難的にモーテルで
寝泊まりするはめになった人がいました。
ところが、そこで請求された金額が法外なふっかけだったのです。
あえて法外なふっかけと書きました。
市場原理主義者なら、需要と供給に則っただけとの考えに
なるでしょう。業者にしてみれば、大量のバックオーダーを抱え、
作業条件も悪く作業員の確保もままならないわけですから、
不当な金額を請求したわけではないとの思いもあるでしょう。
正しい価格とは何でしょうね。
古代から現代まで、脈々と受け継がれる哲学を学ぶ必要性が
言及されています。
正義と権利、義務と同意、名誉と美徳、道徳と法。
政治哲学者は、このような理念について考え抜いているのです。
わたしは、市場原理ですべて決まる的な考え方に違和感を持って
いましたし、事件があった時にまき起こる自己責任という言葉も
気になっていました。そんな感覚に考え方を示してくれる本でした。
理想通りにいかないことはいっぱいあります。
この本を読んで、心が少し整理されました。
答えは一つではないかもしれませんが、考えることが大事ということが
伝わりました。