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4件
Self-Reference ENGINE
著者 円城塔 (著)
彼女のこめかみに埋まった弾丸。鯰文書の謎を解き明かす老教授の最終講義。床下の大量のフロイト。異形の巨大石像と白く可憐な靴下。岩場を進む少年兵の額に灯るレーザーポインタ。反乱を起こした時間。そして、あてのない僕らの冒険──これはSF? 文学? あるいはまったく別の何か? 驚異のデビュー作。
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Boy’s Surface
2023/05/09 08:53
円城塔は、非常にめんどくさいことを書くのだが、文章は至って平明で、たぶん小学生でも読める。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『Boy’s Surface』
報告書による報告書。
絶えず分岐し続ける構造による絶えず分岐してるはずの報告。
読者が読むのはあくまでもそのうちの一つに過ぎないはずである。
だからこれは、無限を調べる無限を内に含んでいるであろう、あるいは自身無限であるような構造のお話。
調査中である以上、無限であるとは確定しないし、無限であるであろう構造についての調査は、無限に終わらないはずである。
途中メビウスの輪のような構造という言葉が出てくるから、この短編は一応終結を迎えるのだが、メビウスの輪という言葉が示すように、終わりが同時に始まりとなってる。
この短編は、ある夫婦の話でもあるのだが、お互いの作品を読まないらしい、円城塔、田辺青蛙の関係なども、ふと思い浮かんでしまう。
こういう下世話な感想は、この作品にふさわしくはない。
『Goldberg Invariant』
計算機が拡張する世界での争いらしきもの。
『虚無回廊』のような探査行でもあるが探査する計算機自体計算される対象であるし、計算された結果のようである。
素直に変奏曲と捉えていいのだろう。
変わっていくことで私は曖昧なものとなっていくが、計算自体は積み重なってるはずなので、多分事細かな曖昧に変化する。
『Your Hands Only』
複数の物語。
これはつまり無数の物語を含む。
多分、不遇に生涯を終えた、チューリングと彼の考案した機械から、考案されている。
だから、これは機械の一面なのだと思われる。
語り手はラブストーリーを強調するが、読み手をユニットとして組み込むこの文章が、そう言った物語にとどまらないと思う。
でも、ラブストーリーを強調することは、アラン・チューリングとともに、意味があるのだと思われる
『Gernsback Intersection』
非常に砕けたというか、饒舌に語られる少年少女のすれ違い。
子供を作ることが何度も出てくるから、あるいは受胎したのがこの物語なのかも。
ある少女が思い描いたことが現実化し、ある少年が思い描いたことが現実化して、それがある地点で交わる、あるいはすれ違う。
そういうはなし?
0:
円城塔は、非常にめんどくさいことを書くのだが、文章は至って平明で、たぶん小学生でも読める。
円城作品を読んで育った世代が多分すでに現れてるはずで、そういう人がどんな物語を紡ぐのか楽しみである。
円城塔は数学的に書いていると想像される。
この書かれてるものが、設問であるのか、演算であるのか、解答であるのかはよくわからないが、作者自身による解読ないしは設計図というものが想定される。
それは描き始める前に存在したのか、書き上げてのちも存在するのかはわからないが、いずれかの時点には存在したと思う。
であるなら、円城塔作品は常にヴァリアントをふくんでいるはず。
もしくは、ヴァリアントの統合が小説として結晶するのか。
『What is the Name of This Rose?』
文庫書き下ろしの解説めいた小説。
0:でつぶやいた感想を裏付けてくれるもんもある。
円城塔は、読書メーターに登録していて、感想こそ書かないものの、何に関心寄せているかが伝わってきて、ただ読んだって報告がファンには重要な意味を持つ。
実際この解説/短編は、ボルヘスやエーコの衒学的メタフィクションを多分に意識している。
意外と文系ど真ん中
Boy’s Surface
2017/10/15 23:30
わからなくても面白い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Luncheoner - この投稿者のレビュー一覧を見る
わからなかった。...正直言って、よくわからなかった。
“自称”恋愛小説。数学的小説と言うんだとか言わないんだとか。
恋愛の要素はほんのわずか。ふつうに書けばすぐに終わるものを、無駄に難しくして(例えばレフラーボールに語らせてみたり)書いている。
そして、作者により書かれた解説。これも結構意味不明。なんか途中時間戻ってるし。結局Boy's Surfaceの(0,0)が何を表してるか、くらいしかわからなかった。それでもヒントは得られた。“理解しようとしないこと”。結局わからないんかい。
そんな感じでわけわからなくも読み終わったが、雰囲気だけで楽しめた。なんか頭を使った気がする。大丈夫。読書当時中学生だったから。
そんな感じの恋愛小説。読んでるうちは、ただひたすらに読んでるだけだったけど、思い出してみれば確かに恋愛だったかも。再読すればもう少しわかるのかもしれないが、そんな大変なことをする気は未だない。いちいち調べていたらきりがないと。
個人的には、「我はデルタなりエプシロンなり —途上なり部分なり」と言うのが気った。
2021/10/15 04:25
恋愛とSFの融合
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
初恋のメカニズムを、数学的なアプローチで解き明かしていくのがユーモラス。未来のテクノロジーの中にも、人間の温かさが受け継がれていくことを願うばかりです。