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4件
生物学探偵セオ・クレイ
著者 アンドリュー・メイン , 唐木田 みゆき
教え子の殺害は本当に熊によるものなのか? 生物情報学者のクレイは偽装を見破り、背後にいる恐るべき殺人鬼の存在に迫るが……新シリーズ開幕!
生物学探偵セオ・クレイ 街の狩人
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生物学探偵セオ・クレイ 2 街の狩人
2020/03/24 10:43
“生物学探偵”というより“生物行動学探偵”という性格が鮮明になってきました。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
“生物学探偵”というより“生物行動学探偵”という性格が鮮明になってきました。よって対象となる犯罪者は一定の行動パターンを持つ“連続殺人者”であり、何らかの行動パターンを有することになる。さて、1作目ではどんどんのめり込むうちに科学者としての好奇心が勝り、違法行為なんのそのハチャメチャ捜査で暴走でしたが、少しは学習したようで潜行する形での捜査に変更。その結果、違法すれすれ、いや違法の範囲での闇捜査、闇処刑へと入り込んでいく。かなり危ないダーティヒーロー、アメリカ版“必殺仕事人”の方向に向かうのかな。さて作品評価ですが、やはり初盤が抽象的な表現が多くて何ともまどろっこしい。標的が明確になって来る中盤以降は見えない敵を追い詰めていく展開にワクワクするが、それでも翻訳の問題なのか抽象的過ぎる文章が何ともまどろっこしい。また、難解な概念やアメリカ人にしか通じないような捻った記述が多く(連続殺人事件の事例などもしかり)、私にはすんなりと通じない部分がかなりあるのが難点。とは言え、誰もが気付かなかった大量の“連続殺人事件”をその行動理論から暴いていくという設定は興味深いものあり、実に捨てがたい魅力を持っている。次作にも期待してしまいますね。
生物学探偵セオ・クレイ 1 森の捕食者
2020/03/24 10:35
何とも運の悪い偏屈な生体情報工学者の執念の勝利物語でした(笑)。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも運の悪い偏屈な生体情報工学者の執念の勝利物語でした(笑)。主役のセオ・クレイが初めはちょっとした好奇心から、そして徐々に研究者としての習性からのめり込み、自分がまずい状況に陥ってることに気付いた時点では完全に研究テーマとしての魅力に取り込まれてたという展開が、意外に真実味があって良い。普通の人間なら違和感を感じる展開だが、研究者となるとすんなり受け入れられるから不思議。かくして謎の連続殺人鬼の痕跡を丹念に追っていくが、終盤約100ページは急展開の活劇物へ変身。特に最後は超人同士の戦いみたいな壮絶さ。楽しみ満載でした。しかし、主役のセオ・クレイだが、警察とは別に証拠を鑑定したり、遺体は盗んで毀損するはの違法行為しまくり。しかも、殴られ、銃撃されで全身ボロボロ。正しく、ちょっとダーティなスーパーヒーローってとこですね。“ちょい悪・超人もの”とでも分類されるのかな(笑)。
<超蛇足> P-177の、「水害を避けるため子供を湖に捧げた結果、湖が干上がり骸骨ばかりの湖底だけが残った」というたとえ話、グーーですね。
生物学探偵セオ・クレイ 1 森の捕食者
2019/06/29 04:34
意外にも面白い!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物情報工学を専門とする学者で、生物学の大学教授であるセオ・クレイはモンタナ山中での調査を終えてモーテルに戻ってきたところを、急遽警察に拘束されて尋問を受ける。全く心当たりのないセオだが、他者とのコミュニケーション能力に自信のない自覚のある彼は正直に受け答えしようと考える。どうやら彼は殺人の第一容疑者とみなされていたようだが、被害者はクマに襲われたという検視結果が出て、セオは即刻釈放された。被害者はセオのかつての教え子で、研究者として独り立ちしていたジュニパーだった。セオはまったく知らなかったが、たまたま近いエリアでフィールドワークをしているときだったために疑われたのだ。
ジュニパーの記憶はわずかしかない。自分は教師として一体彼女に何を教えたのか。自責の念にかられたセオは独自に調査を開始、これはクマではなく“クマを装った人間による殺人ではないか”と仮説を立てるに至る。しかし警察はまったく信用してくれず、セオは一人でこの仮説を証明するためにフィールドワークに乗り出す・・・という話。
これが意外にも、結構面白かったのです!
他者とのコミュニケートには問題ありでも、頭の中では饒舌すぎるセオ(そう、しかもこの話は一人称形式なのだ)。
科学的発想と根拠のある仮説でガンガン進み、身に危険を顧みないということにすら気づいていない学者バカ気質、そのくせ性善説なのかな?というくらい最悪の事態を想定しないであとから気づく(カリン・スローター世界の後ではその「ぬるさ」が意外に心地よかったりする)。
リチャード・ドーキンスとスティーヴン・ジェイ・グルード論争が下火になったのは、「進化の過程が非常に複雑なものであり、遺伝子か生物かという論議は決定的要因を単純化しすぎるという考え方が主流になったからだ」、などの発言にニヤリとさせられるしね。
学術的根拠で畳みかける前半が章立ても短いこともあってすごく読みやすく、話に入り込みやすくなっているところにシュール展開がきて、見事な省略法(そこがツッコミどころでもあるけど)。終幕はド派手な冒険小説のようでありながら、結構大味になってしまっているのが残念。次のシーズン更新が決まっていないアメリカの連続ドラマの最終回みたいだった。
セオ・クレイのシリーズは続いているようなのですが、一作目のラストでここまで行っちゃったら次作はどこから始めるのか、いったい何人が生きているのか知りたい。次の邦訳もお願いします。