- みんなの評価
2件
ペルディード・ストリート・ステーション
著者 チャイナ・ミエヴィル , 日暮 雅通
〈クラーク賞/英国幻想文学賞受賞〉蒸気機関と魔術学が統べる都市国家ニュー・クロブゾン。中心に巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションが聳えるこの暗黒都市で、統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。自ら犯した大罪のため、翼を奪われた〈鳥人〉ヤガレクは、命にも等しい翼の復活をアイザックに依頼するのだった……。現代SF界の旗手が、SF/ファンタジイ・ジャンルの新たな可能性を示した巨篇。
ペルディード・ストリート・ステーション 下
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
ペルディード・ストリート・ステーション 上
2024/02/26 22:21
怪獣大決戦
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
発端は罪を犯して羽を奪われ飛ぶ能力を失った鳥人種族の男が、フリーの科学者アイザックを訪ねてくるところから始まる。荒野の果てから都市にやってきた鳥人の依頼に応えて、彼が再び飛べるようにするため研究を始め、それまで独自に研究していた理論と結びつけた発見を得る。それは物質の状態の変化の際に発生する巨大なエネルギーを取り出そうという、全く新しい物理理論だった。架空の理論であり、この世界には核物理学も量子力学も存在しないのだが見た目には何もないところに実は存在しているするエネルギーを取り出すという、ちょっと核融合に近いイメージな気もする。だが彼の合法、非合法を問わない研究方法の過程で、謎の蛾のモンスターを解き放ってしまう。
この怪物によって次々と犠牲者が生まれ、都市は大混乱となり、これを倒す方法を練るが、一方で反政府活動に関わっている疑いがかけられて政府に追われる立場になってしまい、逃亡者となりながらの戦いになる。
鳥人種族だけでなく、この世界には遺伝子工学なのか魔術なのかで生み出された多種多様な種族が雑然とした環境に暮らしていて、アイザックの恋人も昆虫人間だ。種族ごとに文化や言語があり、相互に完全理解することは不可能だが、なんとか隣り合って暮らしている。ミエヴィルの『言語都市』ではまったく人類とは意思疎通の不可能な言語を持つ種族と共存する惑星が舞台だが、これはともに怪物に立ち向かう人々が、それぞれの論理でなんとか協力し合う過程の物語でもある。さらに廃棄された機械たちが自らを再構成して知性を持ち、都市の情報を統合して、政府の知らないところで影の支配者になろうとしていてる。政府も市民をおびやかす怪物の退治のために、特殊部隊を送り出すとともに、巨大な蜘蛛の姿をした「大使」に協力を依頼するのだが、この「大使」は次元を行き来して、人間の手の及ばない現実や意識の世界に生きているが、アイザックとも共感して共闘する。こうしてさまざまな種族どころでない、怪物たちが激突することになるが、蒸気機関が主な動力源であるこの世界では、怪物を一発で倒せるような強力な兵器類も持っておらず、怪物も立ち向かう側もみな傷を負いながらの、血みどろの死闘となる。
この物語から教訓めいたものを見い出そうとするなら、多くの異種族が共存して暮らしている多様性のあり方だろうか。アイザックはこの戦いの中で、少しずつ異なる文化を受け入れる方向に進むが、そもそもこの都市ではは異種族同士が敵対したり排撃したりすることもなく、また相互に補い合い、適度に無視し合って、そこそこうまく共生しているのであって、改めてそこに駄目押しのように異文化への共感を強調するのは、なんかそういうことを言ってみたかったのかなあと思う。モンスターとの戦いのスペクタルが圧巻で、混沌とした都市の描写も魅力的だが、クライマックスに至るまでに人物たちが異種文化への理解を深めていくところに説得力があるし、構成の面白みということかもしれない。
ペルディード・ストリート・ステーション 上
2019/07/22 14:08
想像力不足
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナナカマド - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間とその他のいろいろな生き物の共存する世界を描いたSFです。
登場キャラクターが人間だけで無く、
どのような姿なのか想像がつかないキャラクターも沢山いるので、
小説の中の光景が上手く想像できず、
苦戦しました。
ですが、
物語自体は大きく動いていくので、
とても面白く読みました。