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3件
人体六〇〇万年史
著者 ダニエル・E・リーバーマン , 塩原 通緒
非力なヒトはなぜ厳しい自然選択を生き残れたのか。走る能力の意外な重要性とは何か。脂肪が健康を害するなら、なぜヒトの体は脂肪が溜まりやすくできているのか。2型糖尿病など、現代人特有の病はそもそもどうして現れたのか……。人類進化の歴史をさかのぼることは、不可解な病がどこから来たのかを教え、ヒトの未来を占うことにもつながる。「裸足で走ることへの回帰」を唱えて名を馳せた進化生物学者リーバーマンが満を持して世に問う、人類進化史の決定版。
人体六〇〇万年史 下
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2025/01/03 09:35
600分の1に過ぎない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
99万年の歳月をかけて狩猟採集社会に適応してきた我々ホモサピエンスの体質が、1万年前からの農業革命、250年前からの産業革命にうまく適合できないのは当然すぎることである。最終章でその点になんとか折り合いをつけようと何種類かの提案がなされている。提案そのものは妥当である意味平凡なものであるが、そこへ至るまでの膨大な考察の積み重ねがあるので随分と説得力がある。
2025/01/03 09:34
なぜわたしたちが生き残ったのか?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
数百万年も前からアフリカの大地で進化していった数多くのいとこたちの間でなぜわたしたちが生き残ったのか?という疑問にある程度応えてくれる。以前よりこの分野には興味があったのでかなりの類書を読んできたが、随分と読みやすかった。様々な化石を事細かに分類するのではなく、ホモ・エレクトスの亜種たち と大きくまとめた点がユニークである。
後半は一転して、進化と病気 というテーマになる。まあ地球温暖化と同じで、変化が急すぎるということなんだろうな。
人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病 下
2016/02/18 17:10
ミスマッチ病は進化の代償か?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人体は環境の変化でこの形になり、自ら環境にも影響してさらにまたその形を変えていく。本書はヒトの体の歴史を環境との関係から考察し、まとめたものである。
邦訳の上巻部分は霊長類からヒトへの進化から農耕文化の頃まで。段階を追って環境と人体構造の変化が起きたことを丁寧に説明する、事実の列挙的な感が多い。下巻になり産業革命などの影響を語る部分から、次第に著者の主張したいことが明確になってくる。
ミスマッチ病という言葉がキーワードになってくるのだが、自分なりに要約すると現代的な病気は人間が環境に適応していく変化の速さよりも環境を変化させる速さの方が速く、そのために起きたものだということだろう。わかっていても甘いものがやめられないとか、具体的な身近な話題に近づけて説明されているのでわかりやすい。しかし問題は大変複雑だということがわかってくる。
身体の変化速度が追い付かないほど環境を変化させている現代の私たち。便利になることのジレンマというのだろうか。本書は悩ましいが重要なポイントを理解させてくれるものだった。