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ツインスター・サイクロン・ランナウェイ
著者 小川一水(著)
人類が宇宙へ広がってから6000年。辺境の巨大ガス惑星では、都市型宇宙船に住む周回者(サークス)たちが、大気を泳ぐ昏魚(ベッシュ)を捕えて暮らしていた。男女の夫婦者が漁をすると定められた社会で振られてばかりだった漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで強力な礎柱船(ピラーボート)に乗り組む。体格も性格も正反対のふたりは、誰も予想しなかった漁獲をあげることに――。日本SF大賞『天冥の標』作者が贈る、新たな宇宙の物語!
ツインスター・サイクロン・ランナウェイ
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2024/01/27 05:38
なるほど百合SF
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投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
片道で逃げて行った先の世界で初めて見る/触れる多様な社会(2作目までからの予想以上に多様)を描きつつ、二人が「漁師」のスキルを活かす道を見つけていく…という中盤あたりの設定だけでも何冊も巻を重ねられそうなところ、終盤でまたいろいろ明かされてジェットコースターのような展開。
この詰め込み過ぎなあたりが新刊が出ると前巻までの内容が抜けていた理由でもあるかもしれない(笑)。
とはいえ、今回の種明かしはだいぶ頭に残りそうだ。
あと「百合」要素がこれまでのような私的なものから本シリーズのSFテーマそのものに。なるほど百合SF?
2024/01/27 05:36
ラストはランナウェイ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
思った以上にガチ百合なのはともかく(笑)、SF的な設定のアクロバットもグレードアップ。
各巻、昏魚の特性を原理から考え直して、経験的に行なわれていた漁を超える漁法を編み出す、という点は共通している。
観察の重要性、という点では「科学の方法」を描くハードSFになっているあたりが上手い。
ラストが今いるところからのランナウェイになるのは共通の物語構造?
今回のエピローグを読むと、オープンエンド的に二部作で完結でも大丈夫な構成ではあるが、まだまだ続けられる要素も仕込まれている。
2024/01/27 05:32
大長編?のはじまり?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たこい - この投稿者のレビュー一覧を見る
百合SFアンソロジー掲載の百合バディハードSFの長編化。
短編を長編の一部として組み込むやり方じゃなくて、基本構成を踏襲しつつ、この世界の成り立ちに関する仰天アイデアで軸を通してハードSF的にも説得力をアップしつつ、男女の役割が固定化された社会の中で、そこからずれていく行動や心理をじっくり描きこんで社会派SFとしての説得力もアップ。すごい力技。
で、思った以上にスカッと楽しく読んでスカッと中身忘れてたんだけど(笑)、『2』読み始めたらあまりにも前回からのストレートな続きになってて(続編じゃなくて長編の1巻、2巻だよこれ)、話がつながらないので読み返し、『3』が出てさらにまた再読。
けっこう入り組んだこの世界の設定がなかなか頭に定着しない(笑)。
そうだったそうだった、そういう話でそういう展開でそう次に引いてるんだった。
最近、小説もマンガも続刊が出る時には既刊の内容が頭に残ってないことが多いのは老化現象なんだろうなあ…
(そうそう、長くなりそうなので紙の本は手放して電子書籍で買い直した)
紙の本ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3
2023/09/06 07:05
どこまで行くんだ
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
君たちはいったいどこまで行くんだ?
テラとダイの二人は、遙か宇宙の星々を駆け巡り、あちらこちらに混乱の渦をまき散らしながら、迷惑千万な旅を続けている。
ところが彼女たちは、空間的な意味だけではなく、精神的、宗教的にも遠く離れた世界に行ってしまったことが判明した。
何と、もうすでに死んでいるだけじゃなく、人間でもなくなってしまっていたいたなんて。
それなのに、あくまでも人みたく我儘で無茶苦茶で愛おしい。
この二人、いったいどこまで、いつまで二人旅を続けるのだろう?
先輩カップルの後をたどって、事象の向こうまで行ってしまいそうな勢いです。
相変わらずのハチャメチャ、ワクワクな二人旅ですが、この先、こいつらがどこまで行くのか。最後まで見届けたいもんです。
2020/03/23 08:56
ガス惑星と百合の相性が悪いわけないんだよな
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MotoR - この投稿者のレビュー一覧を見る
わざわざこのレビューを見に来ている方の8割くらいはご存知だと思うんですが、この本は百合アンソロジー「アステリズムに花束を」に収載された短編が元となっています。それに基づいたレビューというか感想です。
まず短編との違いについて。端的に言ってしまうと、これは短編版とは別物です。ネタバレになりそうなので詳しくは書けませんが、ディテールとボリュームをこれでもかと加えられた結果です。私はこれを読んだあと短編版を読み返しまた戻ってきました。その点でこの本は短編版既読者にとって非常にお得であると言えるでしょう。おそらく値段の4倍くらいの価値はあると思います。
次にお話そのものの内容について。ただこれは詳しく語るに及びません。百合、ガス惑星、漁業、ムラ社会……商品説明にも書かれていることですが、これらのワードの組み合わせにピンときたら購入すべきでしょう。幸い本書は非常に安価です。
読め。