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19件
暗いところで待ち合わせ
著者 乙一
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。書き下ろし小説。
暗いところで待ち合わせ
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暗いところで待ち合わせ
2002/12/18 00:13
気配を書ける作家
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yaeba - この投稿者のレビュー一覧を見る
先月はじめて乙一氏の本(『失踪HOLIDAY』を読んだ。あまりに面白かったので、その他の作品も一気に読んでしまった。乙一作品にはいくつか共通している点がある。以下は私が感じる共通点であり、乙一作品を面白くしている要素でもある。
1 主人公が内気で社会とうまく馴染めない
2 動きがほとんどないのに(大した事件はおこらないのに)、展開がおもしろい
3 面白い比喩をつかう
4 微妙な感情の表現がうまい
5 ラストで謎が一気に明らかになる
6 意外な人がキーパーソン
7 読み始めたら止まらない。通勤電車で読んでいても眠くならない。
『暗いところで待ち合わせ』は以上の要素をどれも備えている。
内気な青年と盲目の女性のコミュニケーションを中心に話はすすんでいく。すぐに切れてしまいそうな細い細い糸を互いに手繰り寄せているような、繊細なコミュニケーション。その細い糸が、心の弱っている二人をたがいに励まし、勇気付ける。二人は会話せずとも互いを感じ取る。
気配−−。そう、乙一氏は「気配」を書ける作家なのだ。
まだ乙一氏の作品を読んだことがなく、しかし気になっているという人は、ぜひぜひこの作品から読んでみてください。
乙一作品の中で、私はこの作品が一番好きです。
暗いところで待ち合わせ
2005/09/24 05:14
悪趣味と背中合わせだ。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:豆丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はっきり行って乙一は文章を読ませるのがとてもうまいと思っていた。
だからウッカリ一気読みして、ウッカリとても楽しい時間をすごしつつ、ウッカリ切ない気持ちでしんみりしてしまった。
・・・が、冷静に考えたら、盲目の女性の家に忍び込むって、とっても悪趣味だよ・・・。
私は眼も見えるし、同居人もいるが・・・想像したらカナリ気持ち悪い。
そんな設定なのに爽やかに読ませる乙一・・・恐るべし!
暗いところで待ち合わせ
2005/05/05 10:41
設定の面白さ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
目の見えない一人住まいの女性宅に、殺人事件の容疑者として追われる男が住み着く。目の見えない女性は、男が自宅に入り込んだ事に気が付かないのだ。触れそうで触れない、両者。この危うい設定にハラハラさせられる。
そのハラハラ感に気を逸らしていると、思わぬ結末に圧倒される。見えないパンチで殴られたような衝撃。そう来たか、と。
でもこの作品はやはり、サスペンスでもホラーでも無く、純愛小説に分類したくなるような物語だと思う。