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yaebaさんのレビュー一覧

投稿者:yaeba

49 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本はじめてのタロット

2007/06/03 22:48

偶然は必然であり、必然は偶然である

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

夢で懐かしい友達に会った翌日、道街でその友達とばったり会った、など不思議な体験をしたことはありませんか?
本来なら無関係なはずの二つの出来事が意味を持ってつながっているかのように感じられるこの現象を、心理学者ユングは「シンクロニシティ」と名づけています。
鏡リュウジ氏は当書の中で、タロット占いが当たる理由のひとつとして、この「シンクロニシティ」を挙げています。偶然に引き出されたカードの中に、現実の出来事があらわれる、と。
わたしはまさに、この「シンクロニシティ」によって、当書に出会いました。
先日、初めてお金を払ってタロット占いを経験し、自分でもタロット占いをしてみたいと興味をもっていました。あるお店でタロットカードのフェアを行っており、たくさんの種類の絵柄のカードを見たのですが、どれもピンと来ず、結局購入しませんでした(絵柄が恐かったから、、というのもあります)。
数日経って、タロットカードを買うのをあきらめかけていた頃、何気なく歩いていた書店で、当書が占いとはまったく関係ないコーナーの平台に無造作に「ポンっ」と置かれていました。
「タロット」の文字に目を奪われ手にすると、鏡リュウジ氏の著作、そして私の大好きな荒井良二さんの絵柄のタロットカード付でした。迷わず、購入しました。
こうして出会ったカードたちを使って占いをしていると、占いというよりも、偶然にめくったカードと現実の自分とを照らし合わせる「自分を読む」という行いであると感じます。
タロットカードのリアルなイラストを夜ひとりで眺めることは、私にはやや抵抗がありますが、また荒井良二さんのイラストが非常に愛くるしく、「DEATH」などの嫌なカードが出てきたとしても、受け止められるだけの力をもっています。
また、物事には二つの側面があるということを鏡氏の言葉を通じて考えさせられます。
たとえば、終わりを意味する「DEATH」のカードについてはこうです。
−死神のカードが出たからといっていたずらに恐がる必要はありません。このカードが求めているのは、死そのものではなく、新しい復活であり、自分で自分を変えていくことなのですから−
そして、達成を意味する「THE WORLD」のカードについてはこうです。
−どんなことも頂点に達したあとには、それがまた壊れてゆくのも自然の摂理なのです。今がその占ったものが最高の状態であると考えるべきです。でも、これからはゆっくりと運の流れは下り坂になっていきます−
物事をどう解釈するのか、それによって運命は切り開いていけるのだなぁと考えると、なんだかワクワクしてきます。
わかりやすくて日常につかいやすい、なによりとっても可愛らしく、タロットカードに興味がある人にはぜひ、オススメしたい本です。
この書評を読んで当書を手にする人がいたならば、それもまた必然かもしれません。

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紙の本

紙の本暗いところで待ち合わせ

2002/12/18 00:13

気配を書ける作家

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

先月はじめて乙一氏の本(『失踪HOLIDAY』を読んだ。あまりに面白かったので、その他の作品も一気に読んでしまった。乙一作品にはいくつか共通している点がある。以下は私が感じる共通点であり、乙一作品を面白くしている要素でもある。

1 主人公が内気で社会とうまく馴染めない
2 動きがほとんどないのに(大した事件はおこらないのに)、展開がおもしろい
3 面白い比喩をつかう
4 微妙な感情の表現がうまい
5 ラストで謎が一気に明らかになる
6 意外な人がキーパーソン
7 読み始めたら止まらない。通勤電車で読んでいても眠くならない。

『暗いところで待ち合わせ』は以上の要素をどれも備えている。
内気な青年と盲目の女性のコミュニケーションを中心に話はすすんでいく。すぐに切れてしまいそうな細い細い糸を互いに手繰り寄せているような、繊細なコミュニケーション。その細い糸が、心の弱っている二人をたがいに励まし、勇気付ける。二人は会話せずとも互いを感じ取る。
気配−−。そう、乙一氏は「気配」を書ける作家なのだ。

まだ乙一氏の作品を読んだことがなく、しかし気になっているという人は、ぜひぜひこの作品から読んでみてください。
乙一作品の中で、私はこの作品が一番好きです。

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紙の本

紙の本思いつき大百科辞典

2005/05/22 17:02

たまらなく軽やかな大辞典☆

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「頭に浮かんできた言葉を思いつくままに、順番にかいていった百科事典」とあるとおり、あいうえお順に色んな言葉とイラストがズッシリ詰まっています。
雑誌『pooka』の人気連載をまとめた一冊で、ズシっと重くて、ビニールのカバーが、百科事典風です!
付録でついてくるポスターもうれしい。
(あ)あたり
(い)イヒヒヒヒ
(う)ウスターソース
(え)えんえい
(お)おっかない
っというように、いろんな言葉がごっちゃまぜ!100%ORANGEの可愛いイラストがたくさん見られる、贅沢な画集でもあります。
ことばをこれから覚える子どもにも、
ことばをすでに覚えてしまった大人にも、
ことばとの素敵な出会をもたらしてくれます。
この世界すべてが、
100%ORANGEの視点を通して、
楽しく、愛らしく見えてくる!!
重いけれど、たまらなく軽やかな大辞典です☆

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紙の本

純粋で、優しくて、強い

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

純粋さ、優しさ、強さ
ちひろの絵に描かれた瞳にじっと見つめられると、
自分の中のそれらが じわりじわりと あふれ出してくる。
いつの間にか、大人になると失ってしまう、強さ。
人は大人になるたび、迷いやすく、弱くなっていく。
子供はか弱いけれど、純粋ゆえのまっすぐな強さ、迷いのない強さを持つ(同時に、心細さもあわせもっているけれど)。
ちひろの絵には、そんな子ども時代の感情を思い出させる力がある。
そして、ちひろの描く純粋さや強さにリアリティがある理由は、
少女時代から戦争、結婚、と人生の変化を経てもなお変わることなく持ち続けた、
「ちひろ自身の純粋さや強さ」
ゆえであると、この本を読むことで悟った。
彼女の人生を知ることで、
よりいっそう、いわさきちひろの絵が好きになった。
彼女の純粋さや、優しさ、強さに私は憧れる。

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紙の本

紙の本アルゼンチンババア

2007/06/17 14:44

どうして人は遺跡を作るのか?

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

18歳の女子高生・みつこの母の死から物語は始まる。
母の死後、墓石職人の父が「アルゼンチンババア」と呼ばれる、街でも有名な風変わりな女性の住むビルに出入りしていると知り、みつこはそのビルを訪ねる。
みつこと父、そしてアルゼンチンババアと猫たち。
通称「アルゼンチンビル」で繰り広げられる、風変わりで優しい関係。
母を亡くした後、父が「曼荼羅」について、みつこに話す場面がある。
「宇宙は、平面じゃなくて、時間もないんだ。それで、何層にもなっているんだよ。
その何層にもっていうのが、からくり箱みたいに時間も何もかもひっくるめて全部つながっていて、
理屈じゃないし、絵にもできないんだ。どの部分も全ての部分に通じているわけだよ。
奥の深い空間が、ずっとずっと果てしなく重なっているんだ。
それで、それをなんとかして表そうとしたのが、あれなんじゃねえかな」
そして父はその抽象的な概念を、曼荼羅をつくるという行為で具体化していく。
母の死で始まった物語は、父とアルゼンチンババアの恋、二人の子どもの誕生につながり、そして・・・。
私たちは、この途方もなく広がる宇宙の中、そして無限の年月の中、生まれた。この永遠に対し、ささやかな抵抗の試みを行っていく、それが生きるということなのかもしれない。
出産を控えての執筆というよしもとばななの背景を考えると、新しい命を生み出すということはある意味では自分の遺跡をつくるということにつながるようにも思える。
前頁に対訳があり、奈良美智の写真と絵が、この小説世界としっくりとなじんでいる。
もしも外国人の友人がいたならば、誇りを持ってプレゼントしたい、アーティスティックな一冊である。
文庫版もあるが十分なアートワークを望むなら、
ハードカバー版を購入することをオススメしたい。
さらりとしていて手に取りやすいのに、内容は深く、胸に残る。

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紙の本

紙の本少年文芸 Vol.01

2005/05/22 17:22

ゴッチャリ感がたまらない!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

谷川俊太郎の詩に西原理恵子のイラスト!
町田康の詩に舞城王太郎の切り絵!
田口犬男の詩に吉田戦車のカエルの絵!
と、ビッグネームがずらりと並ぶ文芸誌の創刊号!
これは見逃せない、と読みました。
詩と小説とマンガを3本柱としており、かなりの読み応えがあります。上記のようなコラボレーション作品は、アートとアートが出会い新たな世界を生み出していますし、個人的に好きなアーティスト(石原まこちん、西岡兄弟)の作品もチェックできました。さそうあきら、こうの史代、近藤聡乃、島田虎之助、といったアックス系マンガ家の参加にも驚きです。
また、かなりの数のアーティストが参加しているので、これまで知らずにいた人の作品にも出会うことができました。私は、「村田朋康さん」という人の作品に初めて出会い、感銘を受けました。。。
詩、マンガ、小説、イラストと普段はジャンルが分かれてしまいがちですが、この雑誌には垣根がありません。いろんなアートがごちゃまぜとなって、雑誌の雰囲気をつくりあげています。そのゴッチャリ感がたまらない。
贅沢な創刊号、これで800円というのはお得です。
次号の少女特集が楽しみですし、今後どんな雑誌に成長していくのか見守っていきたい、と思わせる雑誌です。

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紙の本

紙の本舞姫 4 (MFコミックス)

2003/11/01 14:39

陰と陽、黒と白…妖しさと美しさ

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

主人公はバレエ教室の娘、六花(ゆき)。六花は何をやってもトロく、いつも一歳上の優秀な姉、千花(ちか)に頼ってばかりいる。

六花は「自分は足が180°開脚できない体質」という、バレリーナとしては致命的な欠陥を知りショックを受ける。踊ることをあきらめかけていた六花の前に、転校生空美が現れる。空美の家庭環境はかなり劣悪で、貧しい。荒んだ環境の中で、バレエを踊る時間こそが生きている時間なのだ。そんな空美の天才的なバレエを見て、六花は再び踊りはじめる。
4巻は3人のバレエコンクール結果発表から始まる。

この漫画にはいくつかの対立構造がある。

まず、六花と千花の性格。同じ環境で育ちながらも、その性格は対照的である。自信に満ちた千花に対し、いつもモジモジしてしまう六花。母親は常に千花にばかり期待をかけている。

そして、六花千花姉妹と空美の環境。六花と千花の家は裕福な家庭で、バレエの先生である母からバレエを教わり、公務員の優しい父に可愛がられている。
対して、空美の家は限りなく貧しい。父はアル中で、国からの保護を受けて生活している。母は、空美に卑猥な写真のモデルをさせて生活費にしている。

性格も環境もそれぞれ異なっているものの、少女3人は「舞に魅せられた」という点で同一である。

「踊りたい」

舞に賭ける少女達の情熱は美しく、そして激しい。

この4巻ではコンクールで良い成績をとった千花がバレエ教室でいじめにあう。バレエという白い美しい世界の中で、ドス黒い嫉妬心が渦を巻く−−。

白と黒の対立構造というのは山岸涼子の得意とする所である。
人は誰しも、ジェラシー、嫉妬心、欲などの醜い汚い部分を持っている。山岸はそれをあえて美しいものに表現させることで、白と黒の見事なコントラストを生むのだ。

そしてそれは、人間の姿そのものだと言える。

だから山岸涼子の作品は怖く、かつ面白い。

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紙の本

戦闘マシーンか、人間か。

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人類の運命を背負って生まれた四人の少年・少女達。
仲間と共に、大切な人を守る為、人類を守る為、巨大な悪の組織と戦う。

この四人は「ARMS」という兵器を体に移植されている。通常は、ごく普通の少年少女であるが、「大切な人を守りたい」というような純粋な願いを強く思ったとき、自分の中にあるARMSが「力がほしいか?」と問いかけ、発動する。

彼らは人間以上の能力をもって生まれた。でも、自分の意志をなくしたまま先に進めば、人間以上ではなく人間以外になってしまう。「力に支配されたくない」。完全に兵器にならぬよう、自分の心や意志を保ったまま、彼らは必死に戦っていく。

戦いのシーンの連続の連続で一見すると残虐だけれど、その中には友情や希望、正義といった温かいものがつまっている。そういった感情こそが主人公たちを前進させる。そして、そうした感情を抱えているという事自体が、人間である証なのだ。

読んでいて、熱くなるマンガである。

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紙の本

早速試してみたくなる本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

コミュニケーション力が大切、コミュニケーション力をつけよう、とよく言われているけれど、「コミュニケーション力」というものは目には見えない曖昧な力です。どうやって鍛えたらいいのか分からない、という人が大半でしょう。

その方法を具体的に提示しているのがズバリこの本です。

「質問力」を意識することによって相手とレベルの高い会話がができ、優れた人から話を聞くことによって自分自身が成長できると斎藤氏は述べています。

谷川俊太郎、手塚治虫、黒柳徹子、村上龍、河合隼雄、ダニエルキイス、宇多田ヒカルら対話名人の名対話を引用して質問力向上のテクニックが説明されており、その対話の鮮やかさに感嘆すると共に納得させられます。

私が「使えそう」と思ったテクニックを以下に書き出してみます。

・うなずく→共感
・相手が話したい、自分が聞きたい話が「ストライクゾーン」
・お互いが好きなもの、接点を見つける→親密な会話ができる
・相手の発言の中から、ポイント・キーワードを探し、繰り返す→話を理解しているというサイン
・相手の劇的な変化について聞く→変化について、人は熱く語る
・「○○のコツは何ですか?」と聞く→具体的な話が聞ける
・抽象的な話になったときは「具体的に言うとどういう事ですか?」と聞く
・その人の本当に苦労した部分、力を入れている部分を把握し、結果よりも経緯について聞く→深い話が聞ける
・相手に対して事前に勉強しておき、他の人が気づかないようなポイント(相手が苦労しているけど表に出にくいポイント)を質問する

こんな風に質問をされたらさぞかし相手は気持ち良くなって、饒舌になるだろうなぁと想像できます。

質問力向上の為には「相手を把握する」ということが大切なのでしょう。そしてそれはコミュニケーション全般に言えることだと思います。自分だけを押し付けるのではなく、相手を把握する、ということ。
この本を読んで、会話、コミュニケーションは「自分と相手との経験世界をすりあわせていく」という実にクリエイティブな行為であると思いました。

仕事にもプライベートにも役立つ、
女性にも男性にも役立つ、
皆さんにオススメな一冊です。

自分の内側にある力に意識を集中し、それを伸ばしていくという斉藤氏の考え方が私は大好きです。

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紙の本

2002年、最高に愛らしい本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

100%Orangeとは二人組のイラストレーター。以前は雑貨屋にてグッズ・絵本販売などをしていましたが、ここ最近注目されつつあり、「Spoon」のイラスト、PARCOのポスター、小説版『アメリ』のカバーイラストなど、メジャー度が高まってきています。

この作品は、ネット上で連載中のウェブ絵本を「絵本」にしたもので、「ドーナッツタウン」という街に住む主人公「マイボー」と愉快な仲間達のキュートな生活を描いています。

キャラクターがどれも愛らしい。
・マイボー:ボーリング場で働いている。頭が「ボーリング球」。
・ハローさん:常にウサギのマペットを持った留学生。
・タケノコ先生:マイボーの家に生えてきたタケノコ。マイボーに物理を教えている。
・双子:同じ名前の双子、ジョディとジョディ。

などなど、ちょっぴりおかしなキャラクターたちが、愉快な言動を繰り広げています。
とってもキュートで、ポップで、シュールで、ハッピーな、愛すべき世界!!

日本のキャラクターものというよりも欧米のそれに近いかもしれません。スヌーピーとか、セサミストリートとか、チェブラーシカにハマったことのある人は、ぜひ「ドーナッツ!」もお試しくださいね! あまりの愛らしさに、自然と頬が緩んでくるハズです。

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紙の本

ONEFORALL,ALLFORONE.

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

様々な個性と能力を持った仲間達が、伝説の大宝「ONE PIECE」めざして真っ直ぐに航海していく、愉快な海賊冒険漫画。

単純で、でも人として大切なことが沢山つまっている大好きな作品。

読みながら、私の大好きなスポーツ・ラグビーに似ていると思った。

ラガーマンは実に様々な体型をしていて、ポジションごとにそれを活かした役割をする。
スクラムでは巨体の選手たちがガッチリと組んで力を押し合い、スクラムハーフの小柄な選手がスクラムの中に入りこんでパスを出す。司令塔のスタンドオフがゲームを組み立てる。センターが豪快なタックルを繰り広げ、足の速く小柄なウイングがトライに向かって走りこむ。そしてトライ、得点! キックの達人・フルバックがゴールを決めると更に得点が入る!
人によって得意不得意、向き不向きがあるけれど、仲間と力を合わせることによって目標へ到達するのである。

一人はみんなのために、みんなは一人のために。
ONE FOR ALL,ALL FOR ONE.

ワンピースの仲間達もまた、実に個性豊かだ。

 *海賊王を目指す、単純明快な主人公、ゴム人間・ルフィー。
 *お宝大好き、しっかり者だけど人情厚い、航海士・ナミ。
 *寂しがり屋で頑張り屋、可愛いトナカイ人間、医者・チョッパー。
 *ホラ吹きだけど憎めない、手先が器用な狙撃手・ウソップ。
 *キレイな女性には弱いけど、キックは強い海のコック・サンジ。
 *居眠り大好き、歩けば必ず迷子、でも剣は誰にも負けない・剣士ゾロ。
 *謎多き美しき女性、クールで冷静な歴史家・ロビン。

とにかく個性豊かで、自分にできることを精一杯頑張る姿が良い。バカにしあったりフザけあいながらも、仲の良い仲間達。それぞれに大切な過去や大事に想う人がいて、だけど自分の目標に向かって先に進んでいく。

和気あいあいの航海だが、途中で様々な人に出会う。いい人もいれば悪い奴もいる。そして許せないことには立ち向かい、正面から戦う。

しかしこの漫画においては、勝ち負けが大切なのではない。
ラグビーにおいてトライをとった選手だけが偉いのではない(その前にさまざまな選手の活躍と想いがパスによってつながって、トライを得るのである)のと同様に、勝負の過程における仲間との協力、思いやり、それこそがこの漫画の良さである。

そして、メインのキャラクターだけでなく、敵役や脇役も愉快で魅力的だ。作者は実に奇想天外な発想の持ち主で、楽しい気持ちで描いているのがこちらにも伝わってくる。

ストレートに、ドスンと心に響く、良質な漫画である。

(単行本にはSBSという質問コーナーや、ウソップ海賊ギャラリー団というイラストコーナーがあるので、ジャンプでしか読んだことがないという人も単行本の一読をオススメします)

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紙の本

紙の本短編集

2003/06/05 00:02

私達は、それぞれの瞬間に、それぞれの気持ちをもっている。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

何をしていても楽しい、恋のはじめのドキドキ感。
誕生日にふと感じる、将来への焦燥。
三角関係の、それぞれの複雑な心情。
強がっていた心がプツンと弱ってしまう瞬間。

ごくささやかな、一瞬の心情が散りばめられた作品集——まるで「感情のコラージュ」というのが第一印象。だが、この『短篇集』は単なる短篇の羅列ではなく、全体でひとつのまとまりを持っているように感じる。全てを通して読み終えたときにこそ、この作品の味わいが分かるだろう。

そして、それぞれの作品には、ごくささやかな感情が表現されている。例えば、恋の始まりのドキドキ感を描いた作品のタイトルは「そして恋は始まっていく」だ。「そして恋は始まる」でも「そして恋は始まった」でもなく、「そして恋は始まっていく」なのだ。この作品には、まさに「始まっていく」の部分が描かれている。ささやかで、繊細。だからこそ、共感できる。

魚喃さんは、どうしてこんなにささやかな気持ちを表現できるのだろう?と不思議に思っていた時、ダヴィンチのインタビューを読んだ。記事によると、魚喃さんは「今ある感情」を残す為に日記をつけ、ヴォイスレコーダーでふと思ったことを吹き込んでいるらしい。

「なんかもったいない、と思うんですよ。今の感情を残しとかないと、1ヶ月後に今のこの感情を描けって言われても、描けないだろうし、だから今のうちに残しとこうって思うんです」(『ダヴィンチ』2003年4月号P96)

なるほど。それぞれの作品に、魚喃さんの味わったそれぞれの瞬間が映し出されているのだろう。そしてそれゆえ、感情がリアルに伝わってくるのだ。乾いた感情でなく、湿った感情が。

ところで、私はaikoの歌(特に歌詞)が好きだ。aikoと魚喃さんはまるで違うジャンルだけれど、作品が心にスーンとしみいてキュンとなる点で共通している。aikoもまた、ノートを持ち歩いて感情を書き留めているようだ。だから彼女の歌は私の心にまっすぐに届くのだ。
そしてまったく次元が違うけれど、私も書評に「いま」の感情を残したいと思う。本を読み終えた瞬間の感情、というのはその時にしか味わえない貴重な感情だ。そしてそれが誰かの心にしみいたり共感を生むのなら、それは素敵なことだろう。

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紙の本

紙の本サマー・バレンタイン

2003/05/07 22:51

満たされているのに、迫り来る不安を感じたら…

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

会社で働いて、友達と遊んで、オケイコに通って、飲み会に行って、デートして……24歳OLの主人公・詩織はそこそこ快適な毎日を過ごしている。だが、「皮膚の内側がひりひりするような感じ」や「暗い洞窟の前に立った時のような不安」を不意に感じて泣きたくなる時がある。満たされているのに迫りくる不安と孤独。自分はこれでいいのか?と自問自答を繰り返す日々…。

だが、高校時代の仲間達との6年ぶりの再会を通じて、詩織は昔の自分を思い出す。そして、現在の自分自身を正面から見つめられるようになり、自分の気持ちに正直に行動できるようになっていく……。

文章とストーリーはごく平易だが、それゆえ、心に染みる個所がいくつもある。唯川さんはOLとして10年間勤めていただけあって、OLの心理や行動をよく分かっている。24歳OLが主人公のこの小説は、24歳OLの私にとって身近であり、共感できる部分が多々あった。

この作品の中で、印象に残った台詞がある。

「私、幸福ってものは世の中に存在しないんじゃないかって思うの。不幸はあるのよ。それは現実として存在してるの。でも幸福はないの。ないっていうのはね、つまり、幸福っていうのは現象じゃないってこと。どんなことでもいい、それを幸福だと感じられるかどうかで決まるの。たとえば、ほら、サルビアの花がそろそろ咲きかかってる。それを見て、志織は幸福を感じられる?」(P158)

これは主人公の姉が主人公に対して言った言葉であるが、私は自分自身に言われているような気がしてハッとした。

幸福……。
人はそれなしに、生きることができない。
それが欲しくて、私達は生きるのかもしれない。
しかし、それは「在る」ものではなく、「感じる」ものなのだ。
そして誰だって幸福になれるのだ、それに気づいて、感じることができたなら。

あなたは、幸福ですか?

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紙の本

紙の本エースをねらえ! 1

2003/03/17 23:50

女の子たちの理想の構造

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有望なテニスプレーヤーだった宗方は、ある時、自分の余命が短いことを知る。そして自分の全てを注ぎ込むことのできる素直なプレーヤー・岡ひろみと出会う。宗方コーチの情熱的な指導に対し、周りはひがんだり、変な目でみたりする。しかし、ひろみの努力と上達を認め、次第に皆がひろみを応援するようになる。

お蝶夫人という素敵な先輩の指導を受け、藤堂先輩ら素敵な男性陣や友達に温かく見守られ、強力なライバル達と戦いぬく。そしてひろみは日本のトップへ、世界へと羽ばたいていく。

コーチからひろみへと、テニスの技が伝えつがれていくのだけれど、そこに「技」だけじゃなく「優しさ」がある。コーチの指導は厳しい。しかし、その根底には果てしない優しさが広がっている。人に何かを教えるには優しさや愛情が必要だ。自分を踏み台にしてでも、岡ひろみを成長させたい…という周りの優しさにきちんと気づき、それに応える岡ひろみ。
人は、人の優しさを受けて生きているんだな、人と人はつながっているんだな、と当たり前のことを改めて感じた。

このマンガを図にしてみると、私の大好きなマンガ『ガラスの仮面』と構図が似ている。テーマはテニスと演劇で全く異なるけれど、基本構造はほとんど同じ。考えてみれば、熱中できる事があって、絶対的に信頼できる指導者がいて、あたたかく見守ってくれる素敵な男性がいて、敵対しながらも力を認め合えるライバルがいて、何でも話せる友人がいる…これは女の子の理想なのではないだろうか? 現実にはなかなかありえない究極の理想型——。だからこそ、夢中になって読みふけってしまうのだ。これぞ名作!

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紙の本

いつだって、いっしょうけんめい。

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上目づかいのクリクリとした目。
まん丸で大きな丸い耳。
目の上にポツンとある、マロまゆげ。

ある熱帯の森に住んでいた、その動物は名前がありませんでした。ある日、彼は輸出用のオレンジの箱に入ったまま眠り込んでしまい、目覚めると知らない国に着いていました。ずっと箱の中にいたため、手足がしびれてバタバタと転んでばかり。そして彼は「チェブラーシュカ(ロシア語で「ころんでばかりいる」という意味)」と名づけられたのです。

自分の知らない街でも、自分の知り合いがまったくいない状況でも、自分が何者かわからなくても、チェブラーシュカは一生懸命に生きていきます。
色んな難題に、小さなチェブラーシュカは体いっぱい精いっぱい立ち向かう。
この「いっぱいいっぱい」な感じが愛らしくてキュンとしちゃいます。

チェブの他にも、動物園で「ワニ」として働くワニのゲーナ、いじわるばあさん・シャパクリャークなど、愛らしいキャラクターがいっぱい。一方で、手を抜いて半分だけ仕事をする役人や、現実をおもしろい話に変えて書く記者など、嫌な大人も出てきます。愛らしい、一方で、リアルなメッセージも含んでいます。

『チェブラーシュカ』は児童文学のジャンルに含まれますが、そのストーリーは単なる児童文学にはとどまりません。だからこそロシアを飛び出して、日本の大人にも幅広く受け入れられているのでしょう。キャラクターの愛らしさと話のリアルさが絶妙に絡み合って、チェブラーシュカ独自の「暗×可愛い」雰囲気を作り出しています。

哀愁を帯びたチェブラーシュカの目を、一度見たら、もう放ってはおけません!

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