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10件
ナオミとカナコ
著者 奥田英朗
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知った。その顔にドス黒い痣を見た直美は義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始める。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」。やがて計画は現実味を帯び、入念な準備とリハーサルの後、ついに決行の夜を迎えるが……。
ナオミとカナコ
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ナオミとカナコ
2021/08/31 02:43
世界を敵にしたって
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投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラマを先に見ていたので原作はちょっと設定やイメージが違うんだなと思いましたが、ドラマも面白かったし、小説はすごくよかった。これはすごいぞ計画は完璧、と思ったのに後でいくつもボロが出てヒヤヒヤ。DVに苦しんだカナコを応援してしまうし、カナコを守ろうとするナオミとどこかで幸せに生きていってほしいと願ってしまう。でも本を読んでみるとちょっとダンナもかわいそうというか、イケメン好青年エリートなんだから、好みの通りに喜んで尽くしてくれる女の子いくらでも(?)いただろうに、カナコはおとなしくはあるけど芯が強くて「あなたの色に染まりたい」女ではなく、結婚が間違ってたんだなという気もする。終盤の疾走感の中、「世界を敵にしたってずっと一緒君のことを守る」というような歌詞の曲が頭の中で流れていて、ナオミとカナコの曲だなと思った。
2020/12/13 10:49
周辺登場人物の描写がとてもいい。
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物の造形描写が大変に優れた作品。主役の二人の描写が生々しいのは当然だが、周辺登場人物の描写がとてもいい。特に中国人社長と義妹は準主役といってもいいほど。主役の二人との様々な点での対比が面白い。
ストーリー内容は欠陥だらけの犯罪の実行であるが、話の進行とともにどんどん緊迫感が高まってゆくところのストーリー構成はなかなかのものだと思う。もっともミステリーをよみなれている読者にとっては、犯罪計画のどの欠陥をついてくるのかな という興味しかないのだが。ミステリーとしては凡作だが、人物描写 そして DVという問題を扱っている点で大変優れていると思う。
2019/01/08 03:09
彼女らは逃げ切れるのか?
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
奥田英朗の作品としては珍しいサスペンスドラマです。望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美は、あるとき、親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知り、その顔にドス黒い痣を見て義憤に駆られ、達郎を排除する完全犯罪を夢想し始めます。「ナオミ」の章では、完全犯罪の計画と実行までが描かれ、「カナコ」の章でその後の展開が描かれます。彼女たちが考えた【完全犯罪】は、実は穴だらけで、後半大分追い詰められていきます。彼女らが逃げ切れるかどうかハラハラしながら一気に読めます。
DV夫から解放されるには、別居や離婚では往々にして十分とは言えず、シェルターに逃げ込んだりしてもいつか見つかってしまうのではないかと不安を抱えながら生きなけらばならないことがあります。だからいっそのこと二度と追いかけてこれないように夫を排除してしまおうとする発想はよく理解できます。しかしそれを本当に実行に移すとなると大ごとです。その大ごとを果たした彼女たちの堅い友情に畏敬の念を持つと同時に、最初から海外逃亡してもよかったのではないかと思わなくもないです。