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12件
超訳ニーチェの言葉
著者 白取春彦 , フリ-ドリヒ・ヴィルヘルム・ニ-チェ(著)
ニヒリズムや反宗教的思想といった独自の思想により
二十世紀の哲学思想に多大なる影響を与えた、十九世紀ドイツの哲学者ニーチェ。
「神は死んだ」という主張やナチズムとの関わりを噂されるなど、様々な伝説に彩られた孤高の哲人だが、
実は彼は、ほとばしる生気、不屈の魂、高みを目指す意志に基づいた、明るく力強い言葉を多数残している。
本書では、それらの中から現代人のためになるものを選別した。心ゆくまで、
あなたの知らなかったニーチェの世界を堪能していただきたい。
超訳ニーチェの言葉
本日まで通常1,870円
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超訳ニーチェの言葉 1
2010/04/26 21:44
「超訳」という言葉がフィットする本です。
17人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
「超訳」という言葉がフィットする本です。
ニーチェの哲学書は、最近でこそ口語調のものが出てきましたが、だいたいが文語調のもの。
文語調のものは格調が高く、読んでいてもなんとなくインテリの仲間入りをしたような気になるものです。
しかし、どれだけ内容を理解しているかは、別問題。
本書は、ニーチェの著書の中から、人生訓ともいうべき部分をピックアップしています。
しかも、その訳は口語調でかなりの意訳しているため、読みやすく、理解しやすいです。
「ツァラトゥストラかく語りき」から引用している部分もいくつかあったのですが、どの部分からの抜粋か分からないほど”こなれた”訳となっています。
内容はずばり人生について。この本を読んでいくと、大変勇気づけられます。物事の本質の部分をみることは、
人生を有意義に過ごす動機づけにもなると思います。
日常生活の中に埋没している人にとって、「はっ」となる言葉がたくさんならんでいます。
1ページについてひとつのトピックについて書かれているので、毎日少しずつ読んでいくのもよいかもしれません。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
超訳ニーチェの言葉 1
2010/04/04 18:18
読者層や世相に合った現代風ニーチェ名言集
14人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニーチェは、昔々、高校の倫理・哲学の教科書で出会ったきりだった。
倫理・哲学の先生は、2時間続きのコマを持っていて、
ある2時間は愛や哲学を語り、
ある2時間は教科書をやるという形で授業をしていた。
お話は結構おもしろかった記憶があるのだが、
結局テストは暗記力を試すものでしかなく、
苦い思い出しかない。
結局、教科書で太字で書かれている書名や言葉だけを断片的に記憶する形となり、
それがそのまんまニーチェのイメージになっていた。
『ツァラトゥストラはかく語りき』とか「神は死んだ」とか。
書名の方は、読もうとすると噛むだけなので、正しく書くのも当然困難だった。
主張はなんだか激しくて、宗教嫌いで、人嫌いで、厭世的で・・・・みたいな、
一部の言葉でイメージばかりが膨らんだ。
なにをもってそう思ったのかすらもう思い出せない。
教科書に載っていたであろうもとの言葉をきれいさっぱり忘れているのである。
本書への狸パンチさんの書評冒頭を見て、しばし考える。
若いときには色々な思想家にかぶれるものです。
年代が上であれば、まずはマルクスかぶれが筆頭でしょう。
その後にサルトルかぶれがあり、ニーチェかぶれは3番手くらいでしょうか。
年代がくだると、フーコーやデリダといったポストモダン思想にかぶれた人も多いでしょう。
おそらく自分はこの下の世代になるのだろうなぁと。
自分より若い人で哲学専攻でニーチェを研究していた人は知っているが、
ニーチェにかぶれていた人は知らない。
大学時代にポストモダン思想の本を読んでいたという人を知っているが、
その人はちょうど私の8歳年上である。
ちなみにその人はいわゆる新人類世代、私は団塊ジュニア世代になるのだが、
自分の周りには、思想家にかぶれている人すらいなかったように思う。
代わりに世代的特徴があるのかどうかわらかないが、
自己啓発的なビジネス書を読む人が多いという印象がある。
しかも、そんな知り合いすらリアルではいなくて、ネット上の世界の方が多いのだが。
さて、私が本書を手にしたのは、周期的にそんな気分だったからというのがまずある。
自分の読んだものについてできるだけ書評にしたりブログで語ったりしてみようと思うと、
自分の読書の記録が時系列的に残ることになる。
そうすると、ある時期にはある傾向の本を読んでいたりするというのが見えてくる。
今の気分はなにかしら滋養になるような言葉を
たっぷりと浴びたいような元気になりたいような・・・。
これらの本は、ただ読んだ言葉を自分に刻んでおきたいと思うだけで、
自分がどうこう語るのを超えてしまっている。
少し前までは、そういうものは自分は書評に書く力はないとがっかりしていたのだが、
まとめられるかまとめられないかはわからなくても
InBookにして取っておこうと思えるようになった。
引用だから、自分の言葉ではなくて、原本の言葉なのだが、なかなかどうして個性が出る。
そして、個性が集まると今時期の世相も支持される引用に現れていたりする。
本書は、近所の本屋にポップ付きで紹介されていたのを見て手に取ったのだが、InBook的だなとも思っていた。
現にInBookでも大人気である。
4月4日18時現在、本書からの引用は、
「引用セリフ:99 拍手:290 好きなユーザー:11人」である。
99ものセリフが引用され、その引用を投稿したのは11名で、その言葉に拍手を送った票が290票。
一番票を取っているのは、87票で、こちらの言葉である。
自分をだめだと思ったり人に対して憎しみを覚えたりしたときは、疲れている証拠だ。
そういうときはさっさとじぶんを休ませなければいけない。
次いで、36票はこちら。
疲れたと感じたら、考えない、思わない。
疲れたと感じたら、考えることをやめ、休んだり寝たりするに限る。
そして、また毅然として活動できるように明日に向かって備えよう。
これらの引用がこれほどまでに支持されるのは、みんな疲れているのかな。
そして、疲れているのに、休みたいのに、休めていないんだ。
なんだか鬱々とした世相を反映していると思ってしまった。
ちなみに、さっさと休めについては、狸パンチさんも言及していらっしゃる。
根底にあるのは、「懺悔を中心としたキリスト教倫理への批判」らしいのだが、
自分はそこまでは読み取れていなかった。
おそらく、票を入れたメンバーもこれについては、
自身の現状を想起したに違いない。
名言は、時代に合わせて読まれるものなのかもしれない。
InBookはtwitterと連動したシステムなので、
投稿者も拍手を送るのもほぼtwitter利用者である。
おそらくは哲学書をきちんと読んだことがある世代より
ずーっと若い人がほとんどであろう。
そして、InBookの利用者は、同時に自己啓発的なビジネス書を読む人も多い。
本書は、こういった世代や層に当てたメッセージとして、
今の世相にあわせてニーチェから引用を取り、
わかりやすい言葉で語り直した、
時代に合わせて登場した本だといえよう。
本書は、以下の10項目に分けて232のニーチェの言葉を収録している。
1 己について
2 喜について
3 生について
4 心について
5 友について
6 世について
7 人について
8 愛について
9 知について
10 美について
まるで今現在そこにいて、
お茶を飲みながら普通に話してくれているような親近感を覚えた。
読むべき本についてはこんなことを語っている。
わたしたちが読むべき本とは、次のようなものだ。
読む前とよんだあとでは世界がまったくちがって見えるような本。
わたしたちをこの世の彼方へと連れさってくれる本。
読んだことでわたしたちの心が洗われたことに気づかせるような本。
新しい知恵と勇気を与えてくれる本。
愛や美について新しい知識、新しい眼を与えてくれる本。
書名通りの『人間的な、あまりに人間的な』ニーチェに出会える1冊である。
そして、たぶん、ここにある言葉が気に入ったら、
前よりも少しお友達になれるのではないだろうか。
超訳ニーチェの言葉 1
2011/01/16 14:10
ある意味で視点がすぐれている本です
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マッシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔の読書子は、ニーチェあたり、岩波文庫に線引きをして記憶に留められた方も多いと思われます。
この本は、それをやっちゃいました。読書が、線引きをしそうなところを、ニーチェの著作の色々な箇所から持ってきて、一つの本にまとめちゃいました。
ありそうでなかった本です。その着想だけで満点です。
内容はその通りなので改めて論評することはありません。
強いて言えば、超訳と題していますが、奇抜な意訳でもなんでもなく、正統な訳と思われます。(すみません。このあたりは原文にあたっていないので単なる主観です。)
おお、そういえば、こんなことも書いてあったかな、と懐かしく頁をめくっています。