- みんなの評価
12件
スピノザの診察室
著者 夏川草介
現役医師として命と向き合い続けた著者が到達した、「人の幸せ」とは。
380万部のベストセラー『神様のカルテ』を凌駕する、新たな傑作の誕生!
その医師は、最期に希望の灯りをともす。
【あらすじ】雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。
●著者より 読者の皆さまへメッセージ
医師になって二十年が過ぎました。
その間ずっと見つめてきた人の命の在り方を、私なりに改めて丁寧に描いたのが本作です。
医療が題材ですが「奇跡」は起きません。
腹黒い教授たちの権力闘争もないし、医者が「帰ってこい!」と絶叫しながら心臓マッサージをすることもない。
しかし、奇跡や陰謀や絶叫よりもはるかに大切なことを、書ける限り書き記しました。
今は、先の見えない苦しい時代です。
けれど苦しいからといって、怒声を上げ、拳を振り回せば道が開けるというものでもないでしょう。
少なくとも私の心に残る患者たちは、そして現場を支える心ある医師たちは、困難に対してそういう戦い方を選びませんでした。
彼らの選んだ方法はもっとシンプルなものです。
すなわち、勇気と誇りと優しさを持つこと、そして、どんな時にも希望を忘れないこと。
本書を通じて、そんな人々の姿が少しでも伝われば、これに勝る喜びはありません。
(夏川草介)
●著者プロフィール
夏川草介(なつかわ・そうすけ)
一九七八年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。二〇〇九年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は二〇一〇年本屋大賞第二位となり、映画化された。他の著書に、世界数十カ国で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』など。
スピノザの診察室
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スピノザの診察室
2024/02/10 18:33
人の死に向き合う
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高い技術を持ち、将来を嘱望されていた医師が、妹の忘れ形見を養育するために野に下り、そこで人の死と幸せに真摯に向き合う姿が感動的に描かれています。
医療小説としては一番好きかも。
ミステリー性とか全然ないくて、淡々と現場に向き合い、患者のことを考え、悩みつつも自分の良心に従う姿が美しい。
スピノザの診察室
2024/02/07 10:59
スピノザの哲学に触発された医療者
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療を正面からではないが、まじめに思いを込めて描きあげている物語。医療技術や診断主義の巧みさだけに目を向けることなく、医療者が持つ哲学的な心持を著者は大切にしている。スピノザに心を惹かれている優秀な内視鏡医が、看取りを控えた老人や難治療患者のいる市中病院で働く日々を、主人公の持つ遠くを見ながらも温かく支える姿を描く。暗闇で凍える隣人に、外套をかけてあげることが医療者の役割だと思っているのかも。難しい病気を治すことではなく、治らない病気にどうやって付き合っていくかを考えなくてはいけない、私たちは。
医療の力は、本当にわずかなもの。人間はどうしようない儚い生き物で、世界はどこまでも無慈悲で冷酷。けれど、だからと言って無力感にとらわれてもいけない。努力しなければ。
スピノザの診察室
2023/11/17 10:42
科学者で哲学家
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
人を見ない医者か。
大学病院には多いのかもね。
医療系の作品を読んでると、ホント、大学病院っておかしいって思う。
なんでそんな体制が残ってるの?って。