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覇王と革命:中国軍閥史一九一五‐二八
著者 杉山祐之(著)
1912年1月、南京で中華民国臨時政府が成立し、孫文が臨時大総統に就任。翌月には宣統帝が退位し、清朝が滅亡した。新生「中華民国」はこうして産声を上げたが、その後の歩みは“平坦でない”どころではなく、各地の軍閥が権謀術数をめぐらせ混沌をきわめた。
本書のねらいは、これまで注目されることのなかった「軍閥とその時代」を再構築することである。扱うのは、国家の統合が壊れた袁世凱統治の末期から、 蒋介石が全中国を統一するまでの軍閥混戦の時代(1915-28年)だ。主役級の袁世凱、段祺瑞、孫文、 蒋介石、張作霖のほか、徐樹錚、馮国璋、呉佩孚、馮玉祥ら、数多の群雄が三国志さながらの激しい攻防を繰り広げた時代である。
この時期、中国で覇権争いをしていたのは軍閥ばかりではない。列強諸国、なかでも大陸進出をねらっていた日本と、革命の輸出をもくろんでいたソ連の影響は大きく、軍閥とこれら国外勢力との間で展開した駆け引きの様子が詳しく描かれる。
本書は、今世紀に入って中国で相次いで発表された、革命史観にとらわれない文献をもとに、こうした軍閥の動きを丁寧に追い、複雑にからみ合った勢力関係のひもを解きながら、中国史のなかに軍閥を位置づける試みである。
覇王と革命:中国軍閥史一九一五‐二八
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覇王と革命 中国軍閥史一九一五−二八
2023/11/14 20:33
覇王と革命
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
袁世凱の台頭から張作霖の死まで、軍閥が覇権をかけて戦いあった時代を描いている。単なる情報の紹介だけでなく、人間ドラマも描きつつ、中国語の資料も駆使してリアルに描かれている。
あるときまで勢いがあった勢力が勝利の後にすぐ没落したり、共通の敵を倒すために手を組んだ同盟が仲間割れをしたり、を繰り返している感じ。いずれの勢力も統一するだけの決定的な勝利を収められない中で、日本の戦前の中国政策のすごさを感じると共に、後の収まりがつかない介入にもつながるきっかけのようなものも描かれていた。