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別れを告げない
ノーベル文学賞受賞作家の最新長篇!
作家のキョンハは、虐殺に関する小説を執筆中に、何かを暗示するような悪夢を見るようになる。ドキュメンタリー映画作家だった友人のインソンに相談し、短編映画の制作を約束した。
済州島出身のインソンは10代の頃、毎晩悪夢にうなされる母の姿に憎しみを募らせたが、済州島4・3事件を生き延びた事実を母から聞き、憎しみは消えていった。後にインソンは島を出て働くが、認知症が進む母の介護のため島に戻り、看病の末に看取った。キョンハと映画制作の約束をしたのは葬儀の時だ。それから4年が過ぎても制作は進まず、私生活では家族や職を失い、遺書も書いていたキョンハのもとへ、インソンから「すぐ来て」とメールが届く。病院で激痛に耐えて治療を受けていたインソンはキョンハに、済州島の家に行って鳥を助けてと頼む。大雪の中、辿りついた家に幻のように現れたインソン。キョンハは彼女が4年間ここで何をしていたかを知る。インソンの母が命ある限り追い求めた真実への情熱も……
いま生きる力を取り戻そうとする女性同士が、歴史に埋もれた人々の激烈な記憶と痛みを受け止め、未来へつなぐ再生の物語。フランスのメディシス賞、エミール・ギメ アジア文学賞受賞作。
別れを告げない
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別れを告げない
2024/06/03 10:58
「済州島四・三事件」とは
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「少年が来る」で光州事件という韓国の暗部、恥部を綴った作者、今回もそれ以上の暗部、恥部、「済州島四・三事件」を綴った。これは済州島の共産化を恐れた南朝鮮当局側が暴動に南朝鮮労働党が関与しているとして、政府軍・警察及びその支援を受けた反共団体による大弾圧をおこない、少なくとも約1万4200人、武装蜂起で多くの民間人が死亡した事件、軍事政権下では隠蔽され続けていたという。この虐殺に大きく関わったのが北から逃れて来た青年で組織された「西北青年団」、その手口は悪辣極まりなかったという、彼らには済州島民への差別意識と南の政府に認めてもらいという意識が混在していたのだろう。物語は、いま語っている人は生きている人なのか、死人なのか不明のまま終了する、その答えを出すのは読書、私はどういう答えをだしてみようか