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3件
全体主義の起原
著者 ハンナ・アーレント(著) , 大久保和郎(訳)
〈反ユダヤ主義(たんなるユダヤ人憎悪ではなく)、帝国主義(たんなる征服ではなく)、全体主義(たんなる独裁ではなく)が――次から次へと、より残酷なかたちで――示したのは、人間の尊厳が、新しい政治原理、新しい地上の法においてのみ見出されうる新しい保証を必要とするということである。その有効性は今度こそは人類全体を包括する一方で、その力は厳密に限定され、新しく定義された領域的なものに根をおろし、それによって制御されなければならない〉
20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。
国家や法という伝統、さらには人間の本質まで破壊した全体主義への道筋とシステムを描いた20世紀の記念碑的大著の新版を、最新の研究成果を反映し、より正確かつ読みやすくして、ここにおくる。
〈理解とは、現実に予断をくだすことなく注意深く向き合い、それに負けないことなのだ〉
全体主義の起原3 新版――全体主義
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全体主義の起原 新版 3 全体主義
2017/10/10 08:06
現代的現象である全体主義
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体主義は現代的現象である。アーレントはそう警告する。つまり、ナチスだけでなく、現在も身の回りに全体主義の危険があると言うことだ。
資本主義の発達は、帝国主義となり、それを基盤に西洋では新たな反ユダヤ主義が台頭した。それを影響としてナチスなどの全体主義が沸騰していく。しかし、全体主義と呼ばれるものはファシズムだけではない。スターリニズムもそうである。現在、思想、信条的に窮屈な時代になりつつあるのだろう。アメリカでは、アーレントの全体主義の起原が、最近良く読まれていると言うことだ。彼女は、ナチスにドイツを追われたユダヤ人であるが、それは出自に過ぎない。彼女は、人間という立場で、ユダヤ人問題や全体主義を俯瞰する。
全体主義の起原 新版 1 反ユダヤ主義
2017/08/31 10:07
全体主義の培養装置?
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体主義は、反ユダヤ主義から始まり、帝国主義が培養したと言っても良いでしょう。資本主義の発達による帝国主義は、大衆社会のみならず、植民地獲得競争が激化し、全体主義を育てるためのゆりかごとなりました。
全体主義の起原 新版 2 帝国主義
2017/08/31 10:02
全体主義の出発点?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体主義を解明するためにアーレントは、まず反ユダヤ主義を取りあげる。西洋での反ユダヤ主義は、近代になりユダヤ人差別がとくに法的になくなっていくなかで醸成されていった。過去の中世などのユダヤ人迫害と、近代の反ユダヤ主義はまた違うものである。