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6件
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著者 横山秀夫
阪神大震災が起きたその朝、700キロ離れたN県警で幹部の一人、警務課長の不破義仁が失踪した。人望も厚い筆頭課長がなぜ? 組織を大きく揺るがしかねない事態に、本部長以下幹部らはそれぞれに手がかりとなりそうな情報を調べるが、保身や対抗意識から駆け引きや情報戦の応酬に陥ってしまう。不破の安否はおろか、蒸発か事件かも判らぬまま時間が過ぎ――。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス。
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震度0
2008/06/01 21:34
警察小説とはいえ、推理物としての解決編を明快に
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は横山秀夫が描く警察内部のドラマである。N県警本部の本部長、部長の人間模様が描かれている。いつもながら面白く読めた。
N県警本部の警務課長が出勤してこないという。当然官舎を探すが、行方不明となる。その警務課長の行方を巡って、本部長、警務部長、それ以外の刑事、生安、交通、警備の各部長間の主導権争い、責任のなすりあい、キャリアとノン・キャリアの確執など日頃の不満が一気に噴出する。
キャリアとノン・キャリアの対立はよくある話だが、キャリアの間でも揉め事が起きる。キャリアとはいっても、N県警ではキャリアのポストは本部長、警務部長しかいない。ほとんどの県警本部はこの2つである。本部長と警務部長の対立がある。これから警察庁長官を目指す30歳台の若手の警務部長とそろそろ先の見えてきた本部長とでは警察職務への意識が違う。ここに端を発した姿勢の違いが対立を生んでいる。
それだけではない。ノンキャリの部長連中の間にも対立はあるし、キャリアとノンキャリの間にも鋭い対立があり、会合では罵倒の連続である。身内の事件になると、立場の違いを反映してこういう対立があることは想像はできるのだが、横山の描写は真に迫っている。
N県警本部では、どういうわけか部長以上はみな官舎住まいである。したがって、その家族同士にも対立は様々な陰を落としている。この辺まで来ると、やや書き過ぎの感があるのは否めない。『半落ち』でも警察内部の揉め事がストーリーの中心を占めていた。ここでも警察官の個人的事情が最後のオチになっているようだが、なぜそのような行動をとったかの理由がそれでは困る。読者に対して明快な解決編を提供しているとは言い難い。
長編になればなるほど、その事情を明快にする必要があるのだが、やや不自然で論理が屈折している。読者としても素直には受け入れられない。そこが面白いという人がいるかも知れないが、何回もこれが続くと横山の魅力が失われていくような気がする。
地方の役所である身近な警察の中で、現実に生じていることをそのまま描いて欲しいと思う。警察内部の事情を描くことは面白い着想だが、推理の筋道は明快であって欲しい。
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2017/09/26 07:07
こんな警察はいやだ!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まんだかず - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪神・淡路大震災が発生したその日、
N県警の警務課長が失踪した。
本部長、警務部長、警備部長、
刑事部長、生活安全部長、交通安全部長が
失踪の捜索を始めるが、
失踪した警務課長の動機を我先に行おうとする6人の幹部たち。
おのおのの情報線のなか、互いに疑心暗鬼となり分裂していく。
そこには己の保身と野心しか見ることができない。
浮き彫りとなるキャリアとノンキャリアの構図。
はたして揺れているのは神戸か?警察内部か?
こんなバカな!と思いながらも、
警察の不祥事が報道されるたび、まんざら嘘ごとではなさそうな話と
感じてしまうのが皮肉だ。
震度0
2015/04/11 08:30
事件解決より保身
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪神淡路大震災の日に、N県警警務課長が失踪します。事件なのか、家出なのか?
しかし、N県警の幹部たちは、自らの保身や損得勘定ばかり考え、お互いに攻撃しあうばかり。事件は全く解決へとは向かいません。N県警は崩壊の危機にたたされます。
さすが横山氏です、安定の面白さです。