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データサイエンスで解く邪馬台国 北部九州説はゆるがない
著者 安本 美典
古代史最大のナゾである邪馬台国所在地はデータサイエンスの手法を使えば、北部九州で決着する。畿内ではありえない、その理由を古代鏡や鉄の矢じりなどの発掘地の統計学的分析を駆使しながら、誰にも分かりやすく解説。その所在地はズバリここだと示す。
データサイエンスで解く邪馬台国 北部九州説はゆるがない
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データサイエンスが解く邪馬台国 北部九州説はゆるがない
2021/11/14 16:30
現在の考古学に対する警鐘の書
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は元大学教授で、現在は古代史研究者として活動している。本書は第1章と第2章の構成で、第1章は邪馬台国とは関係のない「文章心理学」、「計量国語学」についての解説である。文章心理学とは文の長さ、動詞、名詞の使用度などを調べて文学作品の文章を統計的に分析、それによって文体の特徴を明らかにする。この手法を用いて著者は、『源氏物語』の「宇治十帖」と「他の四十四帖」の文体には大きな違いがあり、作者が異なる可能性があることを示唆している。確率論・統計学・多変量解析論などを基礎とする計量国語学の手法により著者は、日本語と250ほどの世界の言語との関係度合いを数字で評価した。その結果、日本語はインドネシア系言語、ビルマ系言語、中国語などの言語が流れ込む形で成立したものらしいと判断している。一般には数的処理に適合しないと思われるような事柄について、数的処理で問題解決していく科学的アプローチが、有効であることを示している第1章は、殊の外興味深い内容である。科学的アプローチの有効性を踏まえて、邪馬台国の所在地をこの手法で推理するのが第2章である。魏志倭人伝にでてくる「鉄の鏃」と「鏡」について、◆その出土数が多い県ほど邪馬台国があった確率が高い。◆邪馬台国は福岡県もしくは奈良県に存在した。という2つの前提で確率計算の結果を評価すると、福岡県にあった確率が99.9%であるというのが著者の結論である。著者の日本の考古学に対する見解は、発掘をできるだけ精密に行い、遺跡・遺物の観察と記録をできるだけ正確・詳細に行うというもので「記述考古学」というべきものである。これは、過去を推測・復元するための質の良いデータを提供するものではあるが、過去を客観的に正確に復元するためには、「科学」を必要とする。科学的アプローチをしない「肉眼観察主義」に固執しているため、考古学の権威者ですら贋作を本物と鑑定する誤りを幾度となく犯していると手厳しい。現在の考古学に対する警鐘の書としても一読の価値があると思う。
データサイエンスが解く邪馬台国 北部九州説はゆるがない
2022/08/30 21:53
「邪馬台国問題」は終わったのか?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに「邪馬台国」関係の本を読んでみた。
安本先生の「卑弥呼の謎」を40年前に読んだことがある。
データサイエンスを駆使して、「畿内説と九州説」論争の決着への迫力を感じる。
データサイエンスとの出合い
私の研究歴
「邪馬台国問題」は、なぜ解けないのか
邪馬台国問題をデータサイエンスで解く
確率を計算する方法
法則を発見する方法
「三角縁神獣鏡」問題
「年号鏡」と「仏像鏡」の問題
データに基づかない論争に、論調が厳しくなったように思う。