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39件
傲慢と善良
著者 辻村 深月
婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》
傲慢と善良
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傲慢と善良
2022/09/17 21:18
親ガチャもある一方、当世ならではの様態も。
20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プロローグを除き前半は男性側から語られ、後半は女性側から語られるという構成になっています。全体的には著者の特徴である気持ちの描写が非常に濃やかで、その為かグイグイ引き込まれました。
本書では随所に『傲慢』と『善良』の言葉が出てくる為、その度に本書のタイトルを思い起こします。傲慢の謂わんとする事柄、善良の謂わんとする内容がじわりと沁み入ってきます。この二つの言葉、本書だけではなく現実世界でも、基、現実世界こそ恋愛に於いて、婚活に於いて、キーワードとなります。
他方で親からの干渉、親の言いなりという事も本書では描かれており、この事についても現実と同様です。
本書で印象的な箇所がありました。それは結婚相談所の女性の言葉「婚活で成功する人は結婚後のビジョンを持っている」といった内容の台詞です。自分自身で何か少しでもビジョンを描くという事は自立的であり、腑に落ちました。
本書はフィクションではあるものの、現実と何ら変わらないテーマとなっており、否応なしに感慨深さが高まります。こういったテーマの本を読んだ事が無かった為、新鮮さを味わえたのと同時に色々と考えさせられました。
エピローグでは安堵感を得られました。
傲慢と善良
2022/11/25 15:58
自分はどう?
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本を図書館で借りて読み衝撃的だった。
内容の記憶は薄れているのに衝撃は忘れることなく、改めて読もうと文庫で購入。
自分の善良さ、傲慢さに気付かされ苦しくもなるが、誰しもがそうであって、それを“良い” “悪い”と決めるべきものではないとも思える。
朝井リョウさんの解説が更に考えを深くしてくれ、かつ気持ちを軽くしてくれて最高!
その時自分がおかれている環境や状況によって捉え方が変わってくると思うので、また読み返したいし、読んだ人と感想を話したい。
傲慢と善良
2022/09/24 14:56
傲慢と善良
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
結婚、婚活における、傲慢と善良さから始まっているが、もっと自分の内面の、無自覚な傲慢さ、善良が過ぎた傲慢さに、目を向けさせようとしていた。わかりやすい表現で、読み応え充分だった。
自分を低く評価する人ほど自己愛は強いとか、無意識に自分の価値はもっと高いのに、と思っているから婚活がうまくいかないとか、印象的なフレーズがたくさんあった。特に、結婚相談所の所長の、観察眼の鋭い、ひねった考え方が、興味深かった。